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第十一章 神の棺

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第千四百二十話 権力闘争

 1



「ですね。そのガイウス君が、いつ頃来るのかを知りたくて顔を出したんでしょうね?」


 アジオがウンウンと、したり顔でうなずきながら言った。


「おそらくはそんなところだろうな」


 シェスターは笑みを収めて、真剣な表情で言った。


「特異点……でしたっけ?」


「ああ。そこにこそ興味があるのだろうな」


「カルビンもですかね?」


「そうだろう。だが……カルビンが何故特異点たるガイウス君に興味があるのか……そこはまだ判らんな」


「ですね。特異点の性格を使って、権力闘争でもやるつもりですかね?」


「特異点の性格でそんなことが出来るとは思えないが……」


「う~ん、確か、物事が特異点中心に回るんでしたっけ?」


「そうだな。大体そういう認識でいいと思う。まあわたしも正直、あまりよく理解していないがな」


「難しいですね。ていうか本当にそんなことが起こるんですかね?」


「そう聞いているがな」


「なら、権力闘争にも使えるかも。だって特異点中心に良いことが起こるわけですよね?」


「いや、必ずしもそうではない。ただ人が集まり、何事かが起こる。決して良いことばかりというわけではない」


「そうなのか……じゃあ不確定要素が強すぎて、権力闘争には使えませんね?」


「そうだな。既にローエングリン教皇国のナンバー2としては、どちらかといえば危険因子だと思うが……」


「ですよね……自らの地位を崩されるかもしれないって考える方が、権力者としては自然ですよね」


 シェスターはうなずきつつも、何か心に引っかかる物を感じていた。


 だがそんなこととは露知らぬアジオが発言したことで、その考えは雲散霧消した。


「ところで、実際そのガイウス君はいつ頃ここに到着するんですか?」


「うん?……ああ、手紙は出したが、いつこちらに来られるかはわたしには判らんよ」


「そうですか。では気長に待つとしますか」


「ああ、そうだな。では折角だ。館の主が言ってくれたとおり、くつろいで待つこととしよう」


 シェスターはそう言うと、アジオたちと軽く笑い合ったのだった。



 2



「どうであった?」


 カルビンは、自室に入ってきたイオーヌに対し、背を向け手元に開いた本を読みながら問いかけた。


 イオーヌは、カルビンの顔を見ずに済んだことに喜び、笑みを浮かべながら答えた。


「さあ、いつ来るのかは判らないわ。ただ手紙は出したみたいだから、いずれ来るんじゃない?」


「そうか」


 カルビンが興味なさそうに短く答えた。


 イオーヌは内心腹を立てたものの、早くこの場を去りたい為か、やり過ごした。


「じゃあ、わたしは行くわよ」


 イオーヌはそう言う途中でサッサと身を翻して、足早に去って行った。


 カルビンはイオーヌが去ったのを確認するや手に取った本を閉じて振り返り、吐き捨てるように言ったのだった。


「生意気な小娘め……だがまあいい、貴様など使い捨てにすぎんのだからな……」

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