第千四百十八話 エリースとアリエル
1
「なんだって?」
ルーボスの町にようやく戻ったガイウスが、同じく地獄より舞い戻ってきた傍らのカルラに対して問いかけた。
カルラは手に取った手紙の文面を読み終えると、顔を上げてガイウスの問いに答えたのだった。
「シェスターからだ。すぐに来て欲しいとのことだ」
「ふ~ん、どっちに?」
「両方だ」
「てことは、結構な敵でも出てきたのかな?」
ガイウスが、楽しそうに言った。
するとカルラがガイウスを窘めるようにキッと一回睨み付けてから言った。
「その判断が自分では出来んから、我々に来て欲しいんだそうだ」
「ああ、なるほどね。シェスターさんは頭は凄く切れるけど、魔導師としては中の上ってところだしね。自分の力量を超える敵なんだったら、自分で判断しない方がいいね」
「そういうことだ。それ故、我々に下駄を預けたいということだろうな」
「了解。だったら早速ひとっ飛びといきますか?」
「ああ、とっとと片付けるとしよう」
カルラは言うや、ニヤリと口角を上げた。
ガイウスも同様に、不敵に微笑むと、二人はそれを合図に部屋を出た。
そして広々とした中庭へと出るや、周囲を見回し、人影を探した。
すると折良く、メルバ家の使用人が顔を出した為、ガイウスが大きな声を上げて呼び掛けた。
「おお~い!すまないけど、俺たちまたしばらく出かけるから、皆によろしく言っといて!」
ガイウスはそう言付けると、カルラと目配せし、すかさず猛烈な勢いでもって上空高くへと飛び上がるのであった。
2
「ところで他の二人の美女は顔を出しませんね?」
アジオがはたと気付き、シェスターへと問いかけた。
「ふむ、確かに言われてみれば顔を出さないな。何か思惑でもあるのかな?」
シェスターがそう告げた途端、部屋の扉が勢いよく開け放たれた。
「別に思惑なんてないわよ」
突如現われたイオーヌが、扉にもたれかかりながら、とてもけだるそうに言い放った。
「そうか。では何故現われないんだ?」
「そんなことないわよ。ほら」
イオーヌはそう言うと、もたれかかっていた身体を起こし、扉の向こう側に対して軽く手招きした。
するとイオーヌにそっくりな二人の美女が相次いで現われたのであった。
「エリースとアリエルよ」
イオーヌが紹介すると、目も眩まんばかりに鮮やかな赤と青の装いに身を包んだ二人が、シェスターたちの前へと、しずしずとゆっくり歩み出た。
そして二人は、ほぼ同時に口を開いて、ハモるように同じ言葉で挨拶をしたのだった。
「「よろしくね」」




