第千四百十話 イオーヌの述懐
「いや、無事で何よりだ」
シェスターが、申し訳なさげな二人に対して、優しく声を掛けた。
するとアルスが代表して口を開いた。
「はい。こちらのイオーヌたちに助けられ、何とか無事におります」
「そうか。本当にそうだったのだな。イオーヌ」
シェスターはあらためてイオーヌを見、礼を言った。
「ありがとう」
イオーヌは軽く微笑んだ。
「構わないわ。成り行きだしね」
「そうなのか?最初から彼らを目的としていたわけじゃないと?」
「ええ、そうよ。あくまで成り行きよ」
「そうか。ではその成り行きという奴を教えてくれないか?」
「ええ、いいわ」
イオーヌはそう言うと、ゆっくりと語り始めた。
「そうね……そもそもは、わたしも地下水路の怪物を探していたからなのよ」
「なにっ!?本当かそれは!?」
シェスターの驚きの声にも、イオーヌは冷静に答えた。
「ええ、そうしたら同じように探している人たちがいるから、話しかけてみたのよ」
シェスターは自らの記憶を探った。
「……それは、ホテルリードでのことか?」
「ああ、そのホテルでも話しをしたわね。よく知っているわね?」
「ああ、ホテルの従業員たちの証言を聞いていたのでな」
「あら、そうだったのね。まあいいわ。でも初めて会ったのはそこじゃないわよ。ねえ、そうよね?」
イオーヌがアルスたちに対して問いかけた。
するとアルスがそれに答えた。
「ええ、初めて会ったのは道ばたです。そこでイオーヌに話しかけられました」
「ふむ、ではその後数回会っているというわけだな?」
「ええ、そうよ。で、色々話していたらこの二人がガイウス・シュナイダーの関係者だってことが判ったってわけよ」
「なるほどな」
「わたしからしたら、地下水路の怪物も重要だけど、ガイウス・シュナイダーはもっと重要だものね。それは驚いたわよ」
するとシェスターの瞳が爛々と輝いた。
「そうなのか?地下水路の怪物が何故君にとって重要なのかは知らないが、それよりもなお、ガイウス君は君にとって重要なのか?」
するとイオーヌがあっさりと認めた。
「ええ、そうよ。何よりも重要なのはガイウス・シュナイダーよ。地下水路の怪物なんて、ガイウス・シュナイダー絡みだから興味があるってだけだもの」
「なるほど、そういうことか……君の関心のすべては、ガイウス君……というわけなんだな?」
「ええ、そうよ。で、なんだったっけ?」
イオーヌがとぼけた感じで言った。
すかさずシェスターが先を促す為に答えた。
「アルスたちがガイウス君の関係者だと判ったところだ」
「ああ、そうね。そうだったわね。そう、そうしたら彼らが地下水路へ行くって言い出したのよ」




