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『八洲防衛戦記 ムラサメ』  作者: 水前寺鯉太郎
第一部:異星侵略者編

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第14話「鋼鉄の咆哮、血煙の敷島京」

第14話「鋼鉄の咆哮、血煙の敷島京」

 ズドォォォォォンッ!!

 地響きのような暴圧とともに、八洲国防軍の重装甲車が真っ赤な爆炎に包まれた。

 厚い鉄板の車体が紙細工のように引きちぎられ、黒煙を噴き上げながら横転する。

「なんだ……あの破壊力は……っ!?」

血と硝煙に濡れた八洲軍の将校が、瓦礫の陰から絶叫した。

立ち込める黒煙の向こうから、地を揺らす重厚な足音が迫ってくる。

ガン。ガン。ガン。

煙を破って姿を現したのは、鈍い銀色の金属光沢を放つ巨大な重装甲兵群――敵異星軍が誇る地上重歩兵パワードスーツ部隊であった。

肩に担いだ大型無反動砲が火を噴き、続いて両腕の重機関砲が凶暴な連射音を轟かせる。

ズガガガガガガガッ!!

大口径の実体弾が歴史ある敷島京の建造物を易々と貫通し、コンクリートと鉄筋の豪雨が地上へ降り注ぐ!

「……こいつら……本気でこの街を灰に叩き潰す気か」

操縦桿を握り締める銀太の指先に血が滲む。

ムラサメの蒼き双眸カメラアイが、迫り来る銀色の鉄鬼たちを捕らえた。

「だったら――上等だッ!!」

背部ブースターが蒼炎を噴き上げた!

ガガガガガガガッ!!

八洲の青き巨神が、爆煙を切り裂いて一直線に爆進する!

「撃てぇぇぇッ! 踏み潰せ!」

敵重装甲兵が腰から無数の手榴弾を引き抜き、一斉に投射してきた。

ドカドカドカァァァンッ!

連続する爆発が路面のアスファルトを抉り、豪雨のような破片と黒煙が視界を覆い尽くす。

しかし、ムラサメは止まらない!

右腕の積層からくり大盾が一瞬で全面展開!

重ね合わされた鋼鉄板が爆風と熱線を正面から力づくで受け止めた!

「どけぇぇぇぇッ!!」

爆煙を突いて躍り出たその瞬間、先頭の重装甲兵が巨大な重斬刀を頭上から叩き下ろしてきた!

ガギィィィィィンッ!!

ムラサメの背部から抜き放たれた実体大刀がそれを噛み合わせる!

鋼と鋼が激突し、激しい火花の華が二機の隙間を埋め尽くした。

「……ぬうっ……重い……!」

ズズズ……とムラサメの脚部が後方へ削れていく。衝撃が操縦席の銀太の腕骨を強烈に圧迫する。

敵は圧倒的な機体質量で力任せに押し潰そうとしていた。

だが――銀太の口元に、冷酷な笑みが浮かぶ。

「力比べだけが……戦いじゃないんだよッ!」

操縦桿の副レバーを深々と叩き落とす!

「いけ、ムラサメぇッ!」

ギギギギギギギッ!!

大刀の柄内部で精密な歯車群が唸りを上げた。

からくり伸縮機構が高速作動! 結合していた刀身のギアが滑り、刃が一瞬だけ滑らかに伸長・スライドする!

ガギッ!

噛み合っていた敵の重斬刀が力点を失い、空を切るように大きく流れた!

敵重装甲兵の巨大な体勢が、前方へ大きく崩れ渡る!

「今だッ!!」

瓦礫から身を起こした八洲軍の将校が叫んだ。

「全員、敵の首根っこへ集中射撃ぃぃぃッ!!」

八洲軍の旧式機関銃が一斉に火を噴く!

バババババババッ!!

鉛の実体弾の豪雨が、体勢を崩した重装甲兵の無防備な頭部・首関節へ直撃した。

激しい火花と装甲片が散り、敵がわずかに不協和音を起こして怯む!

「上出来だ……感謝するッ!」

銀太はムラサメを懐深く滑り込ませた。

鋼の左腕を敵の胸部装甲へ直接突き立てる!

「これで……終わりだッ!!」

カシュンッ! バババババババッ!!

超高圧空気が弾けた!

至近距離――零距離から叩き込まれたスチール弾の雨が、重装甲兵の装甲板を破砕し、内部の動力核をズタズタに貫通する!

ドカァァァンッ!!

重装甲兵は胸部から猛烈な黒炎と火花を吹き上げ、崩れ去るように地表へ激突した!

銀太は荒い息を吐きながら、血の匂いのするコックピットで眼前を見据えた。

「……まず、一機……!」

だが――黒煙の奥には、なお十数機の重装甲兵群が不気味に佇んでいた。

大型無反動砲、重機関砲、そして殺傷能力の高い重斬刀。

すべての凶器の銃口が、孤立した青き巨神ムラサメへ向けられる。

しかし、操縦桿を握る銀太の瞳に、迷いや恐怖は微塵もなかった。

ただひとつ、愛する娘を取り戻すという狂おしいほどの執念だけが、青い炎となって燃え上がっていた。

銀太は静かに実体大刀を横構えにセットした。

双眸のカメラアイが、闇の中で鋭い蒼光を放つ。

「紬は……必ず返してもらう」

重厚な一歩を踏み出し、青き甲冑は再び敵の重包囲網の真っ只中へと躍り込んだ!

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