第6話 帰宅
パパはすぐに私を抱き上げてぎゅむっと抱きしめた。
「私のプティ・アンジュ。とてもかわいいよ」
甘々なパパに店員たちは生暖かい目で笑ってくれた。
少し待って、持ち帰れる分の衣服を簡易に荷造りが終わった。パパが礼を言って手をかざすと荷物はスッと姿を消した。
やっぱり魔法ってすごい便利。私も使えるのかなぁ。
店員たちはちょっとだけ驚いたみたいだけど魔法があることは知ってるみたいで「素晴らしいですわね」って。接客のプロは余計なことは聞かないのか。
「では残りはよろしく頼む」
「はい。お買い上げありがとうございます」
店員たちにお見送りをされて外に出ると「もう買い物はいいかい?」と聞かれた。すでにペットと服と靴、下着、食糧とたくさんお買い物をしている。
「いまはおもいうかばないでしゅ」
「そうか。何か入用だったらすぐに言うのだよ」
パパが隣の部屋から出て来てくれるならね。
記憶の中では、私のお世話はアニーにまかせっきりで途中からルルカがいて。
ん?……ルルカを作るのに大変だったのかな?
多分、たまに私の様子を見にきてアニーに叱られていたような。
箒になってばっちくなってたからとか?
ポーションもあんなにたくさん作ってたならお仕事が忙しかったのかも。
そんなわけで魔獣屋さんにリターン。
「ア゛ア゛ア゛ア゛ーーー!!ソコハチガウヨーー!オイコラーーー」
私たちの顔を見るなり「コラー」って。
「あ、お帰りなさい。準備できてますよ」
鳥かごとリード、餌、おトイレセット、お世話セットみたいなものがそろっていた。
「餌はお嬢さんには大変だと思ったので小分けにしてありますよ」
素敵なペット屋さんだよ。至れり尽くせり。
「では登録証をお願いします」
パパが出された書類にサインをすると一緒に出された首輪と足環が光った。
「ではこちらを付けたらお渡しできます」
モノリスキャットには首輪を、ルージュビークには足環を店主がそっと付けた。
「ア゛ア゛ー、ダメヨーーイタッ!!イヤー!!コラーー!!ア゛ァ゛ァ゛ーー」
ルージュビークは脚を触られるのが不快だったのか羽で店主を叩いて、
『ふむ、センスが悪いがまぁ仕方ないであろう』
と、渋々と首輪をつけやすいよう頭を差し出したモノリスキャット。それぞれ性格が違ってておもしろいね。
パパが荷物をやっぱり魔法で仕舞って?転送なのかな?お取引き終了。
モノリスキャットが『おい、乗るが良い』とルージュビークに声をかけると「ア゛ー、ダメヨー、ナニヨー」とか鳴きつつ、ちゃんと乗っかった。
意思の疎通ができてるなら、森のお家に帰ってもうるさい時とかちゃんと注意してくれたりするかな。
「何かあればご相談ください」
店主は病気や飼い方、なんでもお気軽にご相談をって言ってくれた。良いペット……魔獣屋さんだ。
「では帰ろうか」
パパはそう言うと私を右腕にモノリスキャットを左腕に抱いた。ルージュビークには「肩につかまれ」というとすぐに肩に乗った。
ん、このコ、ちゃんとわかって行動できるのね。
「転移するぞ」
行きには私にそんな注意はしなかったのに魔獣にはいうんだ!!
『……』
そしてすぐさま森の中に帰ってきた。出たときはお昼前くらいだったのにもう日が暮れたよ。
『ふむ、まぁまぁだな』
(なにがよ)
『街中よりは魔素が濃く、過ごしやすい』
魔素ってなんだ。
『お前、賢いと思ったが……そうか、その年頃は教育を受けていないのだったな』
ここの基準は知らないけど、三歳児は幼稚園か保育園だからまだ常識とかは学んでないでしょ。
「まずは君たちの寝床を……あのテラスでいいか」
パパはマイペースに庭に面したテラスに魔獣屋で用意されていたセットを出して適当に配置した。
「家の中に入るのは自由だが排泄は外でしてほしい」
『失礼な。自分の住まいを汚すような愚かものではない』
モノリスキャットの言葉はパパには聞こえていないっぽいのにパパは頷いた。
ルルカが私たちの帰宅に気づいてテラスに出てきてお辞儀をした。
「ルルカ、このモノリスキャットとルージュビークはフィーのペットだ。世話を手伝ってやってくれ」
ルルカは頷いてお世話セットの確認をした。
「さて、フィー、このコたちに名前を付けてやるといい」
わ、何も考えていなかった。
モノちゃんとルーちゃんじゃだめだよね。
私はモノリスキャットとルージュビークをじっと観察する。
『私には高貴な名前を頼む。アレは適当でよい』
自分で一緒に飼えって言ったくせに、ツンデレ?
「ア゛ー、カッコイイースゴイネー」
ルージュビーク(このコ)ってなんか、実はいろいろ違う言葉を言ってるよね……
「アルノー、ピエール……でいいかなぁ」
モノリスキャットかアルノーでルージュビークがピエール。
アルちゃんとピーちゃんって呼べる。
『アルノーならいいがアルちゃんはダメだな』
なんでよー。
「ピェ……ピー?ビビビーーア゛ァ゛ー」
あ、ピーちゃんなんか覚えたっぽい。
「ん、アルノーとピエールだな。フィー、良い名前を付けたな。そろそろ冷えてくる。中に入ろう」
家の中に入ると朝よりきれいになっていた。ルルカ、実はできる子じゃない?




