第39話 しゅうかく……
三日後、畑にはイチゴ、キャベツ、アスパラ、ニンジンが成っていた。
「ふぉぉぉぉ!!」
アルノーとピエールが森から採ってきたのと、パパと一緒に植えた種……成長速度を無視しておいしいカーニバル。
「すごいでしゅ!!」
「ア゛ア゛ア゛ー」
私が大喜びでピョンピョン跳ねるとピエールも真似して跳ねてる。
「ふぉぉぉ、せいれいしゃん、ありがとうごじゃいましゅ」
ピエールも嘴で毟って食べているし、アルノーは葉っぱごとパクッとした。……葉っぱもおいしいのかなぁ?
全部食べられたら大変!!と自分の背丈でも摘まめるイチゴをプチプチちぎって籠に入れて、一粒、口に入れた……街で買ったものより甘い。
あの酸っぱいイチゴがジャムにしなくても食べられるレベルになっている。
『まずは私にも感謝すべきであろう』
(アルノー、もちろん感謝してるよ)
アルノーとピエールが精霊に声を掛けてくれたの、とてもうれしい。
「パパ、これたべてくだしゃい」
私は美味しくなったイチゴをパパに差し出す。パパはイチゴは酸っぱいイメージが沁みついてるわけで……ちょっと躊躇したあとパクッと食べた。
……あーん、になったね。
「……ん?」
パパは一回首をかしげて、自分でも一粒プチっとして食べた。
「ほう、少しまろやかになったな」
うーん、砂糖菓子くらいの甘さを期待しちゃダメだよ。
「このくらいまぁるいの、じぇんぶ、しゅうかくしてくだしゃい」
ルルカにお願いして、私はアスパラを見る。
「にひひ……」
アスパラベーコンや茹でたのをマヨネーズつけて食べるのを想像したらヨダレが出そう……
ああああああ!!マヨちゃんがない!!!!
これは、由々しき問題……
植物油をゲットしたら絶対作るぅ……ルルカが。
うむうむ、栽培したのは初めてだから良くわからないけど、とりあえずしっかり育ったものだけ収穫だ。後日また楽しめるといいね。
キャベツもわさわさ。とりあえず食べる分……パパの便利空間に入れてもらえばいつでも食べられるようにストックできる。
「パパ、まんまる、おっきいの、ほかんしてくだしゃいでしゅ」
うれしい悲鳴だけど、一気に育つと大変だね。
ニンジンなら、私も収穫を手伝えそう。
「ニンジンをとりましゅ」
まだこぶりなニンジンなら葉っぱもおいしく頂けそう。
私はご機嫌にニンジンを引っ張った。
「ア゛ア゛ア゛ーァ」
『ん!?待て!!』
「フィー!?」
スポーンと抜けて尻もちをついた私、焦った顔のパパ、あちゃーっと言ったようなピエール、私のそばにビョンと飛んできたアルノー……
「ギャァァァァァァーーーー」
私の手の中のニンジンが悲壮な声を上げ。そして体……身、実?をひねってストンと地面に落ちて、なんと埋まっていた場所に走っていってまた埋まった。
「えええええええ!?」
『魔力を帯び過ぎたか』
何それ!?
あのニンジン、セクシーポーズみたいな感じで実が動いてたけど……生きてるの!?
「マンドラゴラに進化したのか……」
なんだそれ!?食べられなくなっちゃったの!?
マンドラゴラってなんかファンタジーでおどろおどろしい錬金術の素材だったような……
『あの三本以外は普通だ。良かったな』
アルノーがその三本の葉っぱを手でパシッと叩くと、
「ぎー」
「きっ」
「きゅー」
と、葉っぱを揺らしてなにか抗議しているみたいな声をあげた。
ニンジンが鳴いた!!
『まだ成長しきれていないからもう少し埋まっていたいそうだ』
(アルノー、ニンジンと意思の疎通ができるの!?)
『大まかに言えば精霊に近しいものだ。お前は〈言語理解〉のスキルがあるのだから意識を向ければコレらの言葉もわかる
だろう』
アルノーが呆れた声で言う。
〈言語理解〉!!そういえば前に何か言ってたね。
私のスキルがどうとかって言ってたの、すっかり忘れていたよ。
魔法も教えてもらいたいのに!!
「きー」『まだ』
「ぎっ」『もう少し』
「きゅー」『眠い』
ふむ、とりあえず引っこ抜くのはまだダメらしくて、きゅーちゃんは寝たいらしい。
きーちゃん、ぎっちゃん、きゅーちゃんと呼ぶことにしよう。
「ほかのはいいでしゅか」
ニンジンは生でもスープに入れてもおいしい。パンケーキにいれたらオレンジ色になって見栄えが良くてカロテンが摂れる。良きものだ。
きーちゃんたちはさわさわと揺れて「いいよ」って。
さて、今日は新鮮野菜とイチゴを食べられるよ。




