第36話 らっきーなの
コッコ鳥の解体は羽をむしるところから。
私より大きな鳥なので羽の量、すごかった。
こういう作業で私は戦力外ので、パパたちが処理している間にちまちまと零れ落ちる羽を入れる作業を手伝っている。
リカちゃんとルルカがものすごい勢いで毟るので、パパは解体に回った。
私は机の上を見れない場所にいる。
パパの横でダリルくんは解体の様子を真剣に見ながら捌かれたお肉を横に置いたりしてるらしい。
『羽など焼いてしまえば早かろうに』
アルノーはうんざりした声音で言うけど、羽も売れるららしいし、命を頂くなら無駄に捨てるものが少ないのがいいんだよ。
「ア゛ア゛ア゛ーーー、ピエ!!」
「わっ!!こら、まだ捌いているだろう」
ピエールが突然コッコ鳥のお腹を突いた。
「まってっ」
ダリルくんがピエールを抱いて必死に止めようとして。
『お、私も欲しい』
アルノーまでテーブルの上に乗ろうとした。
「アルノー、ピエール、まて!!でしゅよ」
慌てて止めたけど、アルノーたちは私に飼われてくれてる
だけで、ペットなつもりはゼロなので言うことは聞かない……
そしてピエールはダリルくんを蹴り飛ばして、パパの腕をかいくぐってお目当てのモノをゲットした。
ピエールの口元から黄色くて丸いものが鈴なり……
「あああーーー、キンカン!!ぜんぶは、メッでしゅよ!!」
まん丸でツヤツヤのプルプルの未成熟卵……もつ鍋に入れたいし、醬油で煮たり、漬けたりしたい……
「キンカン?」
ピエールはすでに数個食べちゃって……
アルノーはさすがに机の上には上がらなかったのでピエールに二つばかり投げてもらっていた。
「フィー、この卵のもとが食べたいのかい ?」
「にても、やいても、おいしいのれしゅよ」
パパが私を抱っこして机の上を見せてくれる。
グロ……でも今まさにキンカンが取り出される寸前なのだ。
「おー、そいつはたまご持ちだったか、俺の勝ちだな!!ははは」
「ア゛ア゛ーーー!?」
『だが身体は小さいではないか』
せっかく勝敗についての話が流れたのに、リカちゃんってば。
アルノーとピエールの言葉は理解できてないはずなのに。なんで分かり合ってるんだろう。
しかし、鶏と違って雄雌が外見でわかりにくいなぁ。
『メスは脚がひきしまっているし、尻が上をむいておるぞ』
は!?そんなの個体差じゃないの!?
私の考えていたことが分かったのもびっくりだし。
って、鳥のことじゃなかったらセクハラ発言だし。
「たまご持ちを狩れたのは運がいい」
成体のメスならみんなあるんじゃないのかな……
「メスは魔獣に狙われやすいからなぁ」
あ、数が少ないってことか。
「ピエール、アルノー、にたり、やいたりしたほうがおいしいでしゅよ」
新鮮さが一番かもだけど、せっかくならいろいろな食べ方をしようよ。
「ア゛ア゛ー……イヤーン」
ピエールはイヤーンと言いつつも引いてくれた。
アルノーはおいしくなるなら任せるって。
「よし、フィー、早速作ってくれないか、ベラにも持ち帰りたい」
なぬ!!夕食までゲットして帰ろうとは……貪欲!!
でも狩ってきたんだから当然の権利かなぁ。
「さすがに遅くなるのではないか」
「あー……そうかな」
パパがため息をつくと魔石を便利空間から取り出して何やら呪文を唱えて『レイナルドだ。少し帰りが遅れるが心配ない』って言うと魔石がぐにゃっとして鳥になって飛んで行った!!
「伝心鳥だ。遠くの相手に簡単な連絡をしたいときに使う」
私がめっちゃ見てたからかパパが説明してくれた。
録音機能付き、伝書鳩みたい。相手が魔力がないと返信が来ないらしい。一方通行。って、パパ、レイナルドだったんだ。
牛と鹿……これも魔獣らしい。全部解体して、ダリルくんのお願いで内臓の下処理をして見せた(ルルカが)
キンカンを昨日のもつ鍋に追加で入れたり、スープにも入れたりして。
そして串に刺して焼いてみた。
お醬油が無いのでシオコショウだけだけど。
焼いたものをみんなで食べてみた。
「ほぅ……」
「濃厚だな」
「キンカン、おいしいんだな」
「ア゛ア゛ア゛ーーー、モットーォ」
『うむ。次からはメスを探そう』
リカちゃんは冒険者なので普段は売ってしまうらしい。卵は栄養が詰まっているから薬の素材になるんだって。
乱獲したら絶滅しちゃうよ……
全部の解体を終えてそれぞれの取り分を分配した。
もつ鍋は煮込む時間が足りないので下処理を二回したものを持ち帰って家で作るってダリルくんが。
「うちの息子はすごいな」
「私のフィーが考えたんたぞ」
私以外は焼いたコッコ鳥の肉をしっかり食べて。
私はまたパンケーキだ。
そして、やっともつ鍋が食べられた。
アルノーとピエールはガツガツ。許可がでたのでリカちゃんとダリルくんにもたっぷり出した。
「うまっ」
「……やわらかい」
鍋はすぐに空っぽになった。
外はもう夕暮れだ。
「……二人を送ってくる。アルノー、ルルカと一緒にフィーを寝かしつけてくれ」
森の中はもう薄暗い。リカちゃんはともかくダリルくんには危ない時間だ。
「おお、ありがとう。レイ。フィー、今日はありがとうな。またな」
リカちゃんが「また」って言ったらパパが少し眉を寄せたよ。
「フィー、街に来た時は俺が案内する。またな」
リカちゃんとダリルくん、そしてパパが出ていって急に静かになった。
私は急に電池が切れた。
「ア゛ア゛ー」
『おやすみ』




