第34話 どっちがいいパパ?
ミキサーがあれば、バナナジュースやミックスジュースが出来るのに……
いつかパパが作ってくれるかなぁ。
出来上がった料理をルルカがテーブルに並べてくれる。
いつもより人数が多いのでパンケーキだけは大皿にドーン、具材も大皿にドーンにしてもらった。
私の分だけはいつもどおり。たくさん食べれないからね。
そしてスープともつ鍋……って言うか小鉢ね。もつ煮が入った小鉢。
目前で漂う香りにリカちゃんとダリルくんはゴクリと喉を鳴らす。
野菜とお肉の出汁のみ、少し香味野菜的なものなので物凄く香しいほどじゃないけど、初めてだととても美味しそうな匂いなのかも。
リカちゃんがスープに口をつけるとダリルくんもおずおずと口に。
「っ!!」
そして二人とも目を丸くしてからぐいっーと。
……仕草がそっくりだ。二人ともかわいい。
「野菜まみれで肉は少ないのにうまい!」
「たくさんの野菜を入れたのにちゃんと整った味がする」
おおぅ。リカちゃんはお野菜はそんなに好きじゃなかったみたいだけど、このスープは好きだそう。
ダリルくんは野菜の種類が多くてキノコまでいれたら味がちぐはぐになりそうと思っていたらしい。
「やしゃい、スープ、いつもたべにゃいでしゅか?」
「野菜は芋とニンジンと葉っぱくらいで肉を入れるかな」
ポトフよりあっさりめかな。
「全部一口サイズのゴロゴロしたものだよ」
ダリルくんが教えてくれた。街の食堂でパパが食べたやつみたいなのだね。
「母さんはそれに辛い粉を入れるんだ」
お、唐辛子みたいなやつかな。欲しいなー。でも今は食べられないね。
スープはいくらでも……ではないけどおかわりはしても大丈夫だけど、モツ煮は……
「うま!!」
リカちゃんは一匙持ち上げてフンフンと匂いを嗅いでから口に入れた。
「ふむ、内臓がこんなにも食べやすくなるとは」
パパは普通に口に入れて、プルプルのホルモンがトロトロになったことに驚く。
「内臓……!?」
ダリルくんはちょっと引きつつ、リカちゃんの反応を見てパクリ。
「おいしい……」
三人ともパクパクと食べちゃっておかわりのポーズ。
どうする~なんて昔のCMソングが流れてきそうな顔をしないで欲しい。
「パパ、これはアルノーたちのきょか、いりましゅよ」
「あ、そうだった」
お鍋いっぱい作っていてもほとんどアルノーとピエールの分だからね。
「さきにたべちゃって、おこられるやつでしゅよ」
そんなわけでパンケーキを勧める。
お肉や野菜を挟んで食べちゃえって。
おかずパンケーキだからナイフとフォークでいいんだけど、リカちゃんはきっとめんどくさいだろうなって。
「む、パンより食べやすいな」
街で買ったパンはちょっと堅いからね。ハードパン的なやつ。
「これならベラが喜ぶな」
奥さんの顔を思い浮かべたのかヘニャって表情が緩む。
マッチョのデレ、いただきました☆
私にはパパがフルーツパンケーキを切り分けて食べさせてくれつつ、自分のお肉のせパンケーキも切り分けて食べる。
「レイが父親をしているのは新鮮だなぁ」
まぁね、私が動くまでアニーとルルカまかせだったわけだし。
「ルルカを作るのを最優先にしていたからだっ……」
パパは少しバツが悪そう。赤ちゃんは寝てるかミルク飲むかで、着替えもおしめも乳母任せは普通っぽいし、パパなりに気を配っていたと思う。私が泣いたら飛んできたし……
「ははは、乳母代わりにホムンクルスを造ろうなんて思うのはお前くらいだろうな」
リカちゃんは笑いながらも物凄い勢いでパンケーキを食べてる。
甘いフルーツと生クリームを使ったら目がギュルンって。
「ダリル、こっちもうまいぞ」
って、パンケーキにフルーツを盛り付けて渡す姿は萌える。ミステリアス美少年とゴリゴリマッチョパパ……
「ん、さっきのはアルノーたちに頼めばいいんだなっ!?」
満足いくまで食事を済ませたリカちゃんはお皿をまとめてルルカに渡して。
「ちょっと聞いてくるわ。ダリル、いっぱい味わっておくんだぞ」
隣に座っていたダリルくんの頭をポンっと叩いて、外に走っていっちっゃた。
「リカルドは気になるものに一直線なんだ……」
「知ってます」
パパの遠い目とダリルくんのちょっと醒めた笑顔……
猪突猛進のリカちゃんと夢中になったらご飯を忘れてモサくなるパパ。どっちがいいパパなのか……
……アルノーたちのいる場所、わかってるのかな。リカちゃん……




