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おなかすいたでしゅ!!~転生したらちびっこだったので、おいしいものを探してがんばりましゅ~  作者: 紫楼


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第32話 ダリルくん、かわゆす 

アルノーとピエールは狩に予定通り出かけた。 


「パパ、きれいきれいでしゅ」

「ああ」

 お家に入る前にリカちゃんとダリルくんを〈洗浄〉してもらう。二人とも身綺麗ではあるけど、森の中を突っ切ってきて、汗もかいただろうからね。


「む、臭かったか?」

 リカちゃんは自分の腕をスンスン嗅いだ。

「くしゃくないでしゅ。ごはんやおかち、つくるまえはきれいきれいでしゅよ」

 パパの魔法でダリルくんは「わっ」って一瞬身体が跳ねた。シュワッとするから初めてだとびっくりだね。

「きれい好きなんだなぁ」

 ……もしかしてご飯の前とかに手を洗うってあんまりしないのかな。

「ばっちいとおかち、ごはん、ばいちん、はいりましゅよ」

 食中毒こわい。この世界のおトイレはどっぽんらしいからね。お腹壊したらどっぽん便所に籠る羽目になるよ……

 私……?ちょっと前まで自力で歩いてなかったんだからわかるでしょ……


「ばいちん?」

 く、ばい菌がきちんと言えなかった。ばい菌の概念もないかも。

「おなか、いたいいたい、おちり、いたいいたいでしゅよ」


「ほー、たまに出先で困るやつか!!あはははは」

 笑い事じゃないです。

 リカちゃんは冒険者はよくなるって。腹下しの薬は持ち歩くけど、飲んでも「数時間動けないんだわ」って。腹痛だってひどいと死んじゃうぞ。

 ダリルくんがちょっと引いてる。

 野営とかで適当に肉を焼いて食べるとか、スープを飲んでとかでお腹壊すって。……それは生焼けかお水の問題かもね……

「だから基本はこの兵糧だ」

 リカちゃんは腰に下げていたバッグからドーンとパパのレーションみたいなものを出す。


「魔道ギルドのレーションとは違って体力や筋力の向上を重視したものだぞ」

 おおぅ。お腹壊すなら携帯食を選ぶのも仕方ないかも……って、プロテインでも入ってるのしら。

「レーションをばかにするな。腹持ちがよくて栄養価も高く、思考力を上げる効果がある優れものだ」

 ……パパ、そこは張り合わなくてもいいと思う。


「ごはん、おいしい、いちばんだいじ」

 兵糧の味はわからないけど、レーションよりマシ程度なら嫌だ。

「そうだなー、依頼先が食堂のある場所だったらホッとするぞ」

 ……そこは家に帰ったときの奥さんの手料理とか言うべきでは……

「うちのごはんはちょっと辛いんだよ」

 私が微妙な顔をしたのを見たのか、リカちゃんは困った顔で頬をかいた。


「母さんのは他所の国の料理だから」

 お、ダリルくんが教えてくれた。

 ベラさんは他国の人らしい。ダリルくんのエキゾチックな感じから勝手にエスニックなイメージに思う。エスニック料理……いいじゃん。いつか習いに行きたいね。


「さ、作ろう。教えてくれ」


 張り切るリカちゃんは早速パパとルルカが材料を並べるのを真剣に見つめて、パパの指示で分量を量ったりするのを手伝う。

 ダリルくんは横で木の板にメモをしている。

 あれ……うちには魔導書とか巻紙がいっぱいあるから気が付かなかったけど、紙は貴重品なのかな。もしかしてうちにある紙は羊皮紙と言うやつか。


 って、ダリルくん、ちゃんとメモとるの、偉いね。

 リカちゃんは大雑把に材料を確認して分量も目分量って感じなのに、ダリルくんは材料を口に出してメモをしている几帳面さ。


「ふふふ、フィーが賢くて驚いたが、うちのダリルも俺に似てかしいこいだろう」


 ベラさん、でしょ。

「どう見てもベラ似だろう」

「母さんだと思う」

  パパもダリル君くんもリカちゃんを微妙な目で見たよ。


「ええー……」

 リカちゃんは口をとがらせながら、ルルカの動きを見てメレンゲを泡立て始めた。


「ダリル、こっちを並べてくれ」

 パパはダリルくんにはちみつぼうろをスプーンで掬って鉄板に並べるように頼む。


「こんなに砂糖もはちみつも使うなんて豪華すぎる」

 

 ダリルくんは材料費を計算して少し遠い目になった。

 簡単に出来る甘いものってほとんど、砂糖と卵と粉だからねぇ……


「ダリル、パパはけっこう稼いでるから大丈夫だ。ベラとダリルが喜ぶならもっと稼いでくるぞ」

 リカちゃんはニコニコとダリルくんの髪をかき混ぜた……粉と卵白にまみれた手で……

「やめてくれよ!!父さん!」

 ダリルくんは汚されるのと恥ずかしいのでダブルで嫌がってる。美少年がふくれっ面で父親の手を押しのける仕草、可愛い……


「パパ、ばっちいばっちいでしゅよ」

 さすがに髪がねっとりしたらかわいそうなので、パパに〈洗浄〉してもらうよ。


「っ……ありがとう」

 ダリルくんが目をそらしつつ、目元を赤く染めてお礼を言ってくれた。


 おばちゃん、何でもしてあげるよぉぉぉぉ。

 





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