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ちびっこ転生。パパがダメダメなので私、がんばりましゅ。  作者: 紫楼


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第3話 お買い物

「……」


 おいしー。


 は初めて食べたものを美味しいと感じた。


 でもなんていうか素材の味だよ。子供だから濃い味付けはダメだとわかっている。これは離乳食を食べる幼児向けよりはちょっと上の子向けかなとは思う。


 ……美味しいと感じる横で薄いと不満を持つ自分がいる……


 舌は喜んでるのに脳は「ちがーう」って訴えてる。


「フィー、おいしいか?」

 パパが必死にもぐもぐしているほっぺを撫でたり揉んだりしてちょっと邪魔だ。

「ちょーだい」

 パパの手をペシペシと叩いて口を開けてお代わりを要求する。


「お嬢ちゃんはパパにそっくりで可愛いですね」

 店員さん、お客さんが少ないから子供な私をじっくり見てるみたい。まだ自分の顔は確認できてないけど、ママに似せたらしいルルカは美少女だったし、パパも箒じゃなければ超イケメンだから私の造形もきっと良いはず。

 だけど、残念なパパに似てるのはちょっとイヤかもー。ママに似てた方がきっと人生楽勝な可愛さだったよ。


 パパは私が必死に口を動かして食べているのが楽しいのか、食べさせることに夢中になっていて自分のスープが冷めていくのに無関心だ。もったいない。

 私がパパのスープを指さして「のむでしゅ」って言ったら欲しいと勘違いした。


「む?こっちか」

 ふつうに私の口に運んでくれた。


「……おいちー」


 大人の味、塩と具の出汁が効いていて普通に美味しかった。

 もっと欲しい。お肉の油がいに染みたよ。


 「まぁ!!ダメですよ。お子様にはまだ濃い味は早いですよ。お腹が痛くなるからこっちを食べさせてくださいな」

 店員さんがすっ飛んできた。

「ぁぅ……」

 残念だけど、子供な私の身体に問題が出てきたら大変だ。


 子供食を耐えたら、未来は美味しい食事になるとわかっただけで大収穫だと思おう。


「フィー、美味しかったのか?」

「あぃ……」

 パパは首を傾げてから一口、口に入れた。

「う……む。ここ数年レーションばかり食べているから味の良し悪しがわからないな」

 なんてこったい。ご飯を味わって食べないなんてもったいない生き方をしてる。


「まぁ、お客さん、レーションは栄養だけを考えて味は壊滅的ってやつでしょう?冒険者たちの携帯食の方が数倍おいしいって聞きますよ」


 店員さんが呆れたように言う。


「ギルドの事務方や魔導師たちは食事の時間がもったいないって言うらしいですけどねぇ。ちゃんと食べたほうが身体も頭も動くってものですよ」


 そう、食事がおろそかだと元気が出ないよね!!

 栄養だけとれればいいってサプリメントばっか飲んでいた若い子、すんごく細くてスラっとしてたけどいつもダルそうにしてたもの。え、痩せていることへの嫉妬じゃなくてよ??


「それにね、お子様はパパと毎日一緒に食事をしたほうが幸せですよ」


 いいこと言うな~。店員さん。レーションの話はスルーだったダメパパが奮起する言葉を巧みに入れたよ。


「フィー、パパと食べるのが幸せか?」

「ちょーでしゅよ!!ごはんは家族でたのしくたべるのでしゅ」

 ルルカにお任せのままじゃまた無言でレーション汁を突っ込まれちゃう。


 店員さんがにこにこ見守ってくれて食事は終了した。

 パパは店員さんにチップを弾んでいた。

 チップ制度があるのかと思ったら、ただ子供用に気を使ってくれたことの感謝だったみたい。店員さんがとても恐縮していた。


「またどうぞ」


 店員さんとバイバイしてお店を出た。お耳と尻尾触りたかったなぁ。



 

「パパ、りーょりできましゅか?」

 抱っこしてくれているのでパパの胸元をタシタシと叩いて、さっきは人前だったので聞けなかったことを聞いてみた。


「む⁉パパは食事を作ったことはない……かな」


 ですよねー。 頭上で目をそらしているような気配がするよ。


「フィーはたべたいものがありましゅ。つくれるようにてつだってくだしゃい」

「おお、フィーは賢すぎるな。でもまだ危ないからルルカに指示をして作れるようになろうな」


 パパがふつうにご飯を用意してくれるならなにも心配ないんですけどー。


「おうちに食材がないならかってかえりましゅよ」

「ああ、いろいろ買っていこう」


 そんなわけでお店を見て回ることにして、ミルク、パン、野菜、果物などいろいろ買ってもらった。お米とかはないのかな。

 調理器具は一通りそろっているらしい。アニーが使っていたのかな……



「アアアアァァァァァァァーーン、キテェーーー!!ダメヨォーーーア゛ア゛ア゛ア゛ーー」

「あー、うるせぇ!!!!!」

 街の商店街のハズレで唐突に謎の叫び……喘ぎ声?と大きな怒声が響いた。


「……魔獣屋だな」

 どうやらファンタジーなペット屋さん的のお店らしい。


「パパ……きになりましゅ」

「ん?」


 元の世界では年齢的に十年以上長生きするペットは自分に何かあったらと思うと怖かったからお猫様を亡くしたあとはもう諦めちゃったんだよ。

 実際ぽっくり逝ってしまったわけだしね……


「まじゅうやさん、みたいでしゅ」


 パパは「森にいくらでもいるが……」と言いかけて「安全にみられるからいいか……?」って思い直したみたい。


「……妙な鳴き方をするイキモノがいるようだが……見てみるか」

「パパ、だいしゅき」


 私は子供っていう状況はあざとく使って生きるよ。

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