第29話 くいいじ
パパは「今日も解体が大変だな」ってアルノーとピエールと作業部屋に。
私はルルカにパンケーキ用の生地を用意してもらい、パパたちのスープも作ってもらう。
……スープも作り置きでいつでもコンソメ味があるといいねぇ。
私用のミルクスープにもコクが出るってものだ。
焦っても仕方ない。
私がたくさん食べられるようになって、いろいろ作れるようになるまでほどほどに。レーション汁よりおいしければ良しとしないと。
パパ……アルノーとピエールはお肉がないと栄養が足らないので別でがっつりステーキを用意。さっきとってきた獲物も食べるかな。
焼くだけじゃ味気ないけど、ソースとかタレもないから……調味料のお店をもっと観察しないとだね。何かあるかもだ。
は!!マヨネーズやドレッシング……ルルカ、頑張ってくれるかな。パパの素敵なお道具で作れるかも。
ちなみにパンケーキやお肉を焼くのには石鹼のようなカチコチの油を使っているよ。魔獣の脂身をギュッと凝縮したものらしい。熱ですぐ溶けるから便利。
どんな魔獣の脂なんだろうね……
多分ちょっとお高い。
お菓子には植物油を使いたい。アニーの使っていた中にないかなぁ。
一回棚の物をパパの解説付きで調べるしかないかな。
あと、パパの使っている素材の中で料理に使えるもの
があるかも知れないし……
……私ってば、ずっと食べることを考えてるなぁ……他にすることもないし仕方ないよね。うん。
「ア゛ア゛ア゛ア゛ーー、ピィエ、オイシーイ」
みんなが戻ってきた。
「アルノーとピエールが森の植物もいろいろ採ってきてくれたから畑に植えておいたぞ」
なんと!?解体だけじゃなく畑仕事まで!?
私も参加したかったな……何もできないけど。
「明日はリカルドたちが来るからな。明後日はいっしょに種を植えようか」
パパは私の気持ちを察してそう提案してくれた。
今日はもう遅いし、明日はお客が来る。じゃせっかくのものを植えちゃった方がいいに決まっているから仕方ないね。
ちゃんと根付いたら、美味しいイチゴとか食べられるのだから。
話が済むとパパは便利空間から解体したばかりのお肉を出した。
「これはアルノーとピエールが生で食べたいというからぶつ切りだ」
……多分内臓……
魔獣屋さんにいたコたちを草食タイプって分類しちゃったけど、アルノーとピエールは肉食なんだった。
魔獣屋さんに用意されていたペットフードにはお肉も入っていたから、弱い魔獣でも肉食……と言うか、雑食なんだろうね。
「もちゅなべ……」
いーーーなーーー。プルプルのモツをぶつ切りにして煮込みたい。
「もつなべ……とはなんだい?」
『お前がそんなかおをするということは旨いもののことか?』
は、思わず口に出していたらしい。
(そのプルプルしたお肉をトロトロになるまで煮込んで食べたらおいしいの)
焼くのもおいしいけど、やっぱ煮込みが好きだな。
『ふむ……半分はつかっても良い。私も食べてみたい』
ニラと白菜はないからごった煮みたいにするしかないけど……味もお出汁も何もないならキノコと塩コショウくらいしか使えないけど……
トロトロになったら私も少しは食べてもいいよね!?
「パパ、きのこありましゅか?」
「キノコ……森にいっぱい生えていると思うが」
パパは困惑顔で答える。
(アルノー、ピエール、人間がたべてもいいキノコとかすぐ採ってこられる?)
『……私を顎で使うとは……だが料理が気になるので仕方あるまい』
アルノーは虚無顔なのに不本意そうな顔をしてピエールを連れて出かけて行った。
「フィーはまるてアルノーと話しているかのようだね」
パパがなかなかするどいことを言う。
「きのせいでしゅ、アルノーがおりこうしゃんなのでしゅ」
「フィーもおりこうさんだよ」
パパは私をぎゅっとして頭を撫でた。
アルノーたちが戻る前にモツを何度か湯がいておく。
ルルカは黙々とやってくれる。
街で買った野菜には葉物があったのでそれを代用。辛味のあるハーブ……を使ったら私が食べられないので最低限の味付け……パパとアルノーには後から唐辛子っぽいものを入れてもらおう。
そんなわけで急遽、鍋なのだ。




