第27話 イチゴ
「買い物、するんだろ?一緒に行く。明日必要なものを教えてくれ」
ギルドを出たら、リカちゃんが付いてきた。
材料を持参してくれるつもりなのはいい感じだね。
「おこな、おしゃとう、たみゃご、ミルクでしゅ」
大したものは無いので一緒に買い物しなくてもいいと思う。
「お、俺でも扱いやすそうで助かるな」
リカちゃんはニコニコでパパの腕の中にいる私の頭をぐりぐり。
「パパ、イチゴ、ほしいでしゅ」
「ああ」
すぐ食べれるものと苗、あったらいいなぁ。
「イチゴってうまいか ?」
あれ?あんまり甘くないのかなぁ……
リカちゃんが微妙な反応だよ。それだとすごく無念だ。
『魔の森では精霊が自分で食べるために美味にしている。おこぼれをもらえると運がいい』
「ア゛ア゛ー」
アルノ―が言うには、お家の畑も精霊にお願いしたら豊作になって美味しい収穫物が採れるらしい。精霊!?お願いできるの!?
『私には加護がある。私が呼べば集まるのだ』
えええ、アルノーにそんな能力が……すごい。
(苗、買えたらお願いしてもらえる?)
『よかろう。私とピエールにもたくさん食べさせるように』
……食い意地が張ってるだけっぽい。まぁ豊作ならいいと思う。
果物屋さんで、目当てのイチゴを見つけた。バナナ、リンゴと前の世界にあったものに似たものをアレコレ買ってもらう。果物なら好きに食べられるからうれしい。
苗は季節とかあるからか売ってなかった。
種から育てなければらしい。
『森から引っこ抜いてこようか?』
(それは精霊さんが怒ったりしないの?おいしくしてるんでしょ)
『たくさんある。人間もたくさん採取したり食べたりしている』
問題がないならお願いしたいね。あまくて美味しいイチゴたべたい。
(怒られないなら採ってきて)
『よかろう』
ってことは……種いらない……一応育ててみるか。
そのあとは小麦粉、大麦粉、卵、お砂糖、いっぱい使うものを買いに。
パパとリカちゃん、そしてアルノーとピエール、これだけ揃って歩くと目立ってる。とおりがかった子供たちがアルノ―を見て「えー……」ってなぜか残念そう。可愛い猫って思ったら違った……的なこと?
それは……気持ちはわからないでもないけどアルノーに失礼よね。
子供たちはささーっと離れていった。
『私は特別なモノリスキャットだからな。恐れおおくおもうのも仕方あるまい』
あ、とても前向きで素敵な性格だった。
街中に他の飼い魔獣がいたけど、うちのコたちより個性的なコはいなさそう。なんていうか普通にかわいらしい魔獣が好まれるみたい。あと番犬的なキリっとしたお顔立ちのコね。犬ではないけど。
「ははは、俺はアルノーのような顔立ちが際立っている魔獣は見分けがつきやすくていいと思うぞ」
リカちゃんは魔獣は同じ種族はみんな似た顔だから見分けがつかないって言う。
……同じ種族でも目の丸み、鼻の形、鳴き声、いろいろ個性があると思うけどなぁ。毛並みとかねぇ。
この世界の人は大雑把なのかなぁ。ペットの顔、見分けれないとかあるのかな。
ちなみに人と共存できない魔獣もいっぱいいるから知らないコ、魔獣屋さんの登録が無いコには近寄っちゃダメなんだよ。
アルノ―たちが狩ってくるような大型魔獣は共存できない系ね。
『個性的だと仲間から弾かれやすいから生き残れぬだけだ……』
え、なんか重い真実が……
『私のように高貴なものには関係ない話だが』
あ、そうですか。
買い物が済むとリカちゃんとは「明日、頼むぞ」って言われて別れた。
「あれは騒がしくてかなわない。あまり家に呼びたくないが」
あ、勝手にルルカが教えることにしてごめんなさい。
「ベラには世話になったから仕方ない。明日、ルルカが作っている分を全部渡してしまおう」
お世話になったんだ。
ベラさん、禁断症状がでるんじゃ仕方ないよね。
私はルルカにいつでも作ってもらえるし、在庫はまた増やせばいいもの。
「さ、帰ろうか」
「あい」
「ア゛ア゛ー、メシーーー」
私たちは〈転移〉で森のおうちに帰った。




