第22話 おイモ
今日はパパが急ぎのお仕事を片付けるとお部屋に籠った。
私には「大人しくていててくれ」ってことなので。
この前、街で買ってきたジャガイモとサツマイモも蒸してみるよ。ルルカが。
煮物にしたり、こふきいもにしたりもしたいけど、指示がうまくいく気がしないから。
私が食べられる食事が重要なので、味薄め、硬いものなし。
って柔らかレシピを必死に思い出してるよ。
私が自分で料理ができる程度に成長したら肉じゃがやタンシチューとかチャレンジしたい。
……ルルカが街のレストランで料理を学べれば早いけど、ホムンクルスって内緒なのかなぁ。すごい発明っぽいよね。発明……なのかしら?よくわからないけど。
「おいも、おいもだよぉぉ~」
私はサツマイモがふかし終わったのをみて思わず鼻歌を歌った。石焼き芋じゃないけどね。石で焼くのも、木の葉を集めて焼いのも大変そうだし。
「アギャーーーー、イテッ、ダメーーー、アア゛ア゛ー」
ピエールが鍋の中の熱々のイモをつついて逆切れする。
「ピエール、だめでしゅよ。あっちっちでしゅ」
「ビェーーー、イャッーン」
冷めるまで待たないと触れないからね。……「イャッーン」って。
ジャガイモならフライドポテトやパイユにもしたいけど……油はあんまりないなぁ。木の実から搾るとか?ゴリゴリルルカなら出来そうかなぁ。
少し冷めたところでルルカに皮をむくように指示をだす。私の手はまだ役に立たないっぽい。
蒸したイモは皮がはがれやすいのでルルカはすぐむき終った。
……アルノーもピエールも私も料理は手伝えないねぇ。
「これをぼうでつぶしゅでしゅ」
マッシュににしたいけど、道具がないので擂粉木みたいな棒で地道につぶすしかない。目の細かい金網とかあったらいいのにねぇ。パパに入ったら手に入れてくれるかなぁ。
ちょっと考え事をしていた隙にピエールが鍋の中に足を突っ込んでつぶしてた……お手伝いしたかったのかもだけど……生足はダメだよ……
「ピエール、たべものにあしはだめでしゅよ」
生足で食材を踏むことを許されるのはぶどうの乙女だけ。
昔バイト先のうどん屋さんでビニール越しに足で踏み踏みしていたの見ちゃった時だって微妙な気持ちになったもの。今それバレたら大炎上しそうよね。ビニールで守られていたけど……
「アババーーピエーノ、ヤル」
「ん?ピエール!!」
え、自分の名前覚えたの!?
「ビェー、ゴハン、クソッタレー」
あ、まぐれだったみたい……
サツマイモ、全部ピエールのおやつになっちゃった。
簡単スイートポテトなら出来そうだったのに。タマゴとミルク、蜂蜜混ぜるだけ。
パンケーキの生地に混ぜたり……ねぇ。
カタン
私が少し落ち込んだのを見てルルカが追加のサツマイモを蒸かしてくれた。
「ルルカ……しゅごい。ありがとでしゅ」
黙々と作業をしてくれるルルカかは出来るホムンクルスだよ。
「ゴ……イー、ア゛ア゛ー」
ピエールは自分の確保した分は守られたと気づいて、羽をバッサバッサさせながら鍋の中身を足でつぶし続ける。
『お前、ピエールのアレを私の分にしないであろうな』
(うーん。魔獣同士ならばっちくなくない?)
『私はお前たちと同じものがいいのだ』
味付けをしたモノってことか。
……高貴なアルノーには足蹴にされたものはお出ししてはダメらしい。
お昼休憩にはサツマイモペーストのパンケーキ、おやつにはジャガイモのペーストにチーズをまぶして焼いたものを食べた。
ピエールのサツマイモは団子状にして茹でてみた(ルルカが)
他はペーストのまま保管と、ちょっと甘めにしてスィートポテト、ジャガイモはチーズたっぷりでミルクを混ぜて少しだけお塩を振って焼いた。私の手でもって食べれる程度のものだ。
パパにはもう少し味付けをしてお肉料理の添え物にできるものにしたよ。
『ふむ、生で食べるよりうまいな』
え、ジャガイモやサツマイモを生で食べてたの??
『魔獣屋では生の肉、生の野菜、干した果物だったな』
……まぁ……ペットフード的な感じね。
(野生のコたちは何を食べてるの)
『生に決まっているであろう。採り放題の新鮮なものだ』
新鮮は、素敵だけど、生かぁ。
『なんでも食べられるゆえに人の食べ物が気になるのだ』
そうねぇ。美味しそうなものがあったらとりあえず気になるね。
アルノーとピエールが美味しそうにしていたのを見て、ルルカはいろいろの野菜を蒸しはじめた……
んーー……蒸し野菜も美味しいからいいけど、イモみたいにはならないかな……
後でスープに変身してもらおうかな。




