第12話 セシル
どーんと置かれた獲物たち……
「これ……どうやってたべましゅか」
まずルルカはお肉、焼けないかも。パパはわからない。
そして、もちろん……さばけません。
『む、私は生でもいいが……人間、生で食べないのか』
さぁ……?この世界の食事情はわからないってば。
ただ、ナマモノこわいと思ってるので生では私は食べないかなー。せめて半生くらいだよね。ローストビーフとかカツオのたたき。
今の私は子供なのでナマモノはダメだと思う。多分。
『ふむ、父親は錬金術師なのだから一通りやれるだろう。部屋から出てきたら処理させよう』
魔物の素材も扱っているから解体とかできるだろうって。そうなの?
業者に頼んだりしないのかな……
「ア゛ア゛ー、コレ、ピー、タベルヨー」
あれ、ピエールが自分の意思を言葉で発した!?
ピエールは狩ってきた蛇のお腹をつついて「ア゛アア゛ー」って。
『ピエールはポイズンスネークの肝臓がたべたいようだ』
ん??ポ……ポイズン?
「ピエール、それはたべたらだめでしゅよ」
毒、食べたら死んじゃう。肝臓なんて一番怖いでしょ。
テラスに転がされている蛇は紫が混じった青色……毒があるのか……
「アルノー、ピエールをとめるでしゅよ」
『私たちは毒耐性があるから問題ない。ポイズンもサンダーも魔力器官と内臓を傷つけなければ人間も食せよう』
サンダー……?あのオオカミののことかなぁ。
って雷って味あるの!?食べたらビリビリしびれるの?
「なんだぁ??レイが魔獣屋で珍妙な魔獣を飼ったとは聞いていたがマジで変わった顔してんなぁってなんだこの魔獣は」
玄関の方から大きな声とともに大きなオジサンがドカドカと足音を立てて庭からテラスに回ってきた。
あ、この獲物たちも魔獣枠なんだ……
「…………」
ルルカのゴリゴリマッチョはこの人のイメージで設定したのかも。顔は違うけど。
私はポカーンとオジサンを見上げていたら、オジサンは私をひょいと抱き上げた。
「お前は覚えてないだろうが、ちょいちょい会いに来てるぞ。俺はお前の父親の親友のセシルだ。よろしくな」
オジサン改めセシルさんはニカッと笑って私の頭を撫でた。
魔道ギルドやお洋服屋さんででてた名前の人……セシルって名前からパパみたいな優男をイメージしていたからびっくり。
「ちょっと前までは寝てるだけの赤子かいきなり立ってるんだもんなぁ」
たびたび様子を見ていたのに成長を見逃したことが悔しいらしい。
『珍妙な魔獣とは失礼な人間だ。嚙んでもいいか』
突然の登場にびっくりしすぎてアルノーとピエールのこと忘れていた。
(噛んだらだめでしょ)
魔獣屋さんのコたちは人間に危害を与えないんじゃなかったの。
「ア゛ア゛ー、ダメヨォ!!イイワネェ」
いいのか悪いのかどっちなんだ、ピエール……
「ワハハハハ、なんだ、こいつは街で噂になっていた鳥だな」
ピエール、噂になってたんだ。お店の外まで声響いていたから仕方ないか。
「だが魔力が多そうな良い魔獣だな。フィーのために飼ったのか……」
ん、セシルさんの中ではパパが進んで飼ったことになってる。
ま、いっか。
「おじしゃま、まどうのひと?これ、おにく、さばけましゅか?」
セシルさんが錬金術師かわからないけどギルドにいる人ならいけるかも。
セシルさんは「おじさま」にちょっとショックを受けたっぽい。でも三歳児とゴリゴリボディのパパのお友達はオジサンであってると思う。
「アルノーたち、これたべましゅ、おにく、ごはんでしゅよ」
「おー、捌けるぞ。フィー、口が達者だなぁ、レイも賢いが上いくかぁ?」
セシルさんのつぶやきでパパが神童と言われるくらい子供のころから賢かったと知った。
私は中身が45歳なだけで、特別なことはわからないんだけど、ちゃんと喋れると賢く見えるのかなぁ。
「両方、解体してもいいのか?」
「おねがいしましゅ」
セシルさんは私を抱いたまま、獲物をに手をかざした。
シュルンと獲物が消えてしまった。
パパと同じ、あの便利な魔法だよね。すごーい。
「じゃ、作業室いくか」
作業室って?と思ったら、キッチンでさばけないサイズだし、魔獣の皮や骨は素材になるから綺麗に仕分けないとだから、広い場所で捌くんだって。
……我が家の奥行ってそんなにあるの?
まだ全体を見れていないのかなぁ。
「……なんだ、来ていたのか」
いつのまにやらパパが出てきていた。
「おう」
パパとセシルさんが並ぶと身長と体格差がすごい。
ってパパ、数時間でまたもさってしてるよ……




