第11話 ごご
パパはため息を一つついて、なにかつぶやいた。
焼野原になっているお庭の石と土がボコボコっと動いて固まっていき、土人形が三体、姿を現した。
『お前の父親は大した錬金術師だな』
良くわからないけど、多分……かなりすごいと思うんだ。
「フィー、ここをどうしたいんだい」
あ、怒らずに希望を叶えてくれるの??いいの?激アマでいいの!?
火事になるとか怒らなくていいの??
「パパ……ごめ、しゃい。わたし、おにわであそんだりしたかったのれしゅ」
パパが無条件に優しすぎて切なくなってじわじわと涙がでた。
「庭の手入れを怠っていたのが悪かったんだ」
パパが私を抱き上げて背中をトントンとしてくれる。
「普通の庭にすればいいのか?」
「あっち、はっ……んと、んー……」
私はパパに一生懸命説明した。
そして今じゃないけど畑も欲しいと伝えたら、管理はルルカができるからと畑も作ることに。
土人形はゴーレムというらしい。
ゴーレムはカクカクした動きで土を馴らして、パパが倉庫においてたらしいレンガを出してくれて、それを綺麗に敷き詰めた。
なんでレンガが置いてあるのかと思ったら、温室と温室周りを整えたときにたくさん仕入れていたらしい……、その時にここもやればよかったのにね……
ちなみにごりごりルルカはせっせと畑を耕している。
ムキムキの二の腕がなんか嫌……ルルカって思わなきゃければ逞しくてかっこいいけど、ルルカの姿が目に焼き付いているわけで。
私も手伝いたいけど、三歳児、クワ持てない……。
結局小一時間程度で石畳みの綺麗な……(植物は後日手配だけど)庭ができた。
ゴーレムはお仕事を終えたら畑のそばで崩れた。
アルノーが言うにはゴーレムは製作者の魔力で姿形を維持しているから魔力を送るのを止めたら役目を終えるんだって。
なんとなく切ない存在だなって思った。
ルルカが石を避けて土は畑に混ぜちゃった。
「フィー、これでいいかい?」
「はい。パパ、ありがとうでしゅ」
あっという間に庭がきれいに整って、我が家の雰囲気が良くなった。
やっぱり雑草がボーボーは良くないよね。見た目。
「まだ外にいたいのか?」
パパはお仕事をほおりだして出てきているので、私は大人しく家の中に戻ることにした。アルノーとピエールはしばらく庭にいるって。
「〈洗浄〉〈再構成〉」
パパが呪文を唱えると土で汚れた私たちはきれいになって、ルルカがもとのメイド姿に戻った。
……うん。やっぱりこの姿が落ち着くな。ママに似てるからというより、最初に見たイメージの問題だと思う。
「パパ、よるごはん、ルルカとつくりましゅ!」
お仕事に戻ってと伝えると渋々戻った。
私から目を離すと危ないとか思ってるっぽいけど、さっきのはアルノーとピエールが謎にすごかったからで私は大したことできないんだから!
と言っても私とルルカだけじゃ細かい作業はできないので、簡単料理の基本的な分量と味付けを一緒に作ることでルルカに覚えてもらうことに。
ルルカに食材の指定をして出してもらう。
小麦粉的なものはちょっと粗挽きの大麦と小麦が混ざったものだ。
これを水とほんの少しの塩を混ぜて捏ねる。
大雑把なうどん生地を作る。ペンネやパスタっぽくも使えるはず。
同じように砂糖を混ぜたものでパンケーキ生地の説明も。
分量は大雑把だけど、ルルカに目分量が通じないので私が取った分をそれぞれお皿に乗せて「これくらい」って見せた。
ルルカが相手だから、辿々しくても最後まで聞いてくれるし、黙々と作業してくれるのだ。
レーションを砕いてミルクで煮ることしかできなかったのが昨日は野菜スープとパンを焼くことを覚えて、今日もうどん生地とパンケーキ生地を覚えた。
おかずは蒸し野菜にする。私のは細かく刻んでクタクタに。パパたちの分は一口大でお肉も入れて…
ドン
テラスから物音が聞こえて、アルノーたちが戻って来たのかなとルルカと覗きにいったら、オオカミ?と大きな蛇が置かれてて。
『肉を獲ってきたぞ』
「ア"ーーー、スゴイヨー!」
えー、餌、自分たちで狩ってきてくれるってうちのコたち優秀すぎる……
蛇はちょっと嫌かもー。




