~傲慢の遊戯②~
「はーい!ちゅうもーく!!ほな卒業試験の説明すっでー。」
集まった部隊の者達がざわめく。
卒業とは一体何からの事なのかさっぱりわからないでいたのだがその事をゼネガーがヴァンに聞いてきた。
「卒業って何の事だ??」
「そやな。そっから、説明せなアカンかったな。」
「ああ頼むぜ。」
「えー、皆の衆、三ヶ月の間厳しい訓練よう頑張った。これから自分等は他国に出向き潜入することになる。そこでは死ぬ事もあるかもしれん。死ぬ覚悟も持ってくれてるとは思うが、ワイは自分等に死んで欲しゅうは無い。そこで今回卒業試験に合格した奴だけ送り出そうと思う。不合格の奴は、これからまた三ヶ月、より厳しい訓練をさせる。わかったか?」
「マジかよ……。」
「嘘だろ……。」
「また、三ヶ月って……。」
「勘弁してくれー。」
兵達の心底の嘆きを他所にヴァンはニヤニヤと薄ら笑いを浮かべ奇々怪々と喜んでいた。
ゼネガーは兵達を落ち着かせるためヴァンの言葉に喰ってかかった。
「ちょっと待て!ってことは、あの地獄の日々へ逆戻りってことか?」
「せや。ワイもこんな事は、しとう無いんやけど自分等が死ぬ事に比べたらワイは涙を飲んで鬼になる。わかってくれや。」
「わかるかー!!テメーその割りには、嬉しそうに笑ってんじゃねーか!!」
「五月蝿いわボケ!!なんなら全員もっかい地獄の訓練に落としたろか!!」
「きたねーぞ!!テメーが地獄に落ちろ!!」
「へへーん!ワイは魔王やさかい地獄になんか落ちませーん!!」
「この野郎!ふざけやがって!」
「なんや?なら試験受けへんか?」
「受けるに決まってんだろーが!早く内容を教えやがれ!!」
「よっしゃ。ほな教えたろ。試験はミーアの街全体を使って行う『鬼ごっこ』や。ジルにも許可はもろてるが街を破壊するのはアカンで。ただし鬼は自分等全員。逃げるのはワイ一人や。ワイを捕まえた奴だけ合格。後は不合格。後、街を破壊したり一般人に危害を加えた奴も不合格。わかったか?」
「アホか!!それじゃあ、合格者一人だけじゃねぇか!どうやって後の任務すんだよ!」
「それも、そやな。……ほな、誰か一人がワイを捕まえたなら全員合格にしたるわ。そのかわり日暮れまでに捕まえることが出来ひんたら全員地獄に逆戻りや。どや?」
「それじゃあ足りねーな!」
「なんやと!ほな、自分等が勝ったら褒美に何でもひとつ言うこと聞いたるわ!これでどや?」
「武器や道具を使うのはアリだな?」
「勿論や。実践のつもりでやれや。ハンデでワイからは攻撃しいひん。」
「よし、それでいいだろう。おい野郎共、死ぬ気であの阿呆を捕まえっぞ!!」
「「「「うおぉぉぉーーーー!!!」」」」
「ほな、ワイは今から隠れるさかい10分後に鳴る3時の鐘が開始の合図や。日暮れまでは約3時間、精一杯気張りやー。」
「分かったから早く行け!!」
「武運を祈ってるでー。ほなサイナラ……。ダッハハハハハハ。」
ヴァンは嘲笑いながら姿を消すように素早く街の中に消えていった。ヴァンが出ていくのを確認した残された者たちは平静を取り戻していく。
「行ったな。」
「ええ。気配が消えましたから間違いないでしょう。」
「しっかし、単純ですねーーー傲慢さんは。」
「まったくだ。こちとら今までジルの旦那に付き合わされてきてんだ。んな事ぐらいで腹なんか立ちゃしないってのにな。お前らも芝居ご苦労さん。」
ゼネガーの言葉に、嘆いてフリをしていた兵達も普段通りになっていく。
「問題無いっす。」
「どうせ、こんな事かと思ってましたから。」
「ほんと、遊び好きなんですから。」
実は、ヴァン以外の者達は気づいていたのだ。卒業試験をするとヴァンが練兵場にいたネロや兵達に言った時点で、その場にいる者達がヴァンの行動に予測を立て、呼びに向かったゼネガーやルゥ、他の兵達に報告し全員で一芝居打ったのだ。
「よし!んじゃ早速作戦立てるぞ。あの阿呆は俺たちがバラバラに動くと思ってるしそれを利用する。一時間は適当に動け。一時間後、奴がいそうな場所に当たりを付けたら範囲を徐々に狭めていき確保する。」
「その間私はジル様のところに行きどんな物をヴァン様に渡したか聞いてきます。」
「僕は、空から偵察しながら随時連絡するねーーー。」
「頼んだぜ二人とも。いいかお前ら、これは演習だが本気でやるぞ。あの阿呆にやられた地獄の日々を思い出せ!今度はあの野郎に地獄を味わせる番だ。」
「「「 おおぉぉぉぉぉぉ!!! 」」」
「さあ、狩りの時間だ!」
そして開始のゴングが鳴った。




