~色欲のお仕事③~
プリスデンからの来訪者、ダリル=マグワインとメリル=ラッシュ。
道具屋と奴隷商が新たに街の一員としてミーアにおける『歓楽街』に移住することになった。
ローズとジルの考えでは、メリルに『歓楽街』の表の顔として、ダリルには酒場を切り盛りさせる予定だったのだが………。
「ローズ様、『歓楽街』表の顔お引き受けますが、少し歓楽街構想変えても宜しいですか?」
先程とはうって変わって真面目な顔つきに戻ったメリルがローズに進言の許可を申し出た。
「んーと。どういうことメリちゃん??」
「メ……メリちゃん………。ゴホン。 えーと、先程の話から察するに携わる者、すなわち従業員を教育し、高級な宿や酒場にするとの事でしたが…。」
「そうよん。煌びやかな街にしたいのよ。」
「でも、それでは敷居が高くなり客が寄り付かない恐れがありますよ。」
「そう言われればそうね……。」
「貴族や豪商はまだしも、冒険者や行商人それに城勤めに一般人には利用出来ませんよ。それに……。」
「それに?」
「ローズ様の裏の仕事には悪どい者も含まれるはず。ならば、人目につかない場所や安い酒場や宿なんかが無いと都合が悪いかと。煌めく夜の街での暗躍は貴族や豪商が、一般人に紛れての暗躍には大衆店が。それぞれに合った場所が必要かと思いまして。」
「ふむふむ。なるほどね。誘きだすにもまずは場所をってことね。」
「ええ。ミーアはこれから良くも悪くも注目されることは間違いないでしょう。間者も多く入ってくる事も予想されます。ならば最初から目が届きやすいように固めておくに越したことはないかと。『歓楽街』に高級店街と、大衆店街を疎らに位置し、間者に有利に動けるように仕向け、こちらがそれらを制御すれば…。」
「いいわね。その案、採用ね!」
「有り難う御座います。」
「じゃあ、高級店街はメリちゃんが、大衆店街はダリル君が取り仕切って貰おっかな。お願いできる?」
「わかりました。」
「了解だ。だが何故まばらに店を点在させる必要が?固めておけば管理しやすいんだが?」
ダリルの問いに溜め息混じりにメリルが答える。
「はぁー。あのね間者がこの街に来る理由はなに?」
「そりゃ、ミーアの偵察かなんかだろ?」
「それ以外は?」
「それ以外っつたら、街に来た奴に関係する事とかだろうな。他所の貴族やらが来るだろーし。」
「貴族は何処に泊まるのよ?」
「そりゃ、高級宿だろ。」
「じゃあ、その貴族を狙う間者や隠者は?」
「そんなもん、潤沢な資金があるわけじゃなし安宿だろうな。」
「そこまでわかって何で分かんないのよこのバカ!」
「はぁー!どういうこった!!」
「高級宿に貴族が泊まりそれを狙う間者が同じ高級宿を泊まれば資金が底をつくのが早まるでしょ!そうなれば、行動を早める。こちらが情報握る前に事が及べばどうなるかわかるでしょ!たちまち変な噂が広がり誰も来なくなるのは明白よ!それに長期滞在を貴族がしてくれれば儲かるし、間者も長い期間になれば安宿でもそれなりに稼げるでしょうが!!」
「お、おう……。なるほどな……。」
「ちょっとは頭を使えー!!」
「す、すまん……。」
「ほんっと、このバカに大衆店街任せて大丈夫かしら……。」
ダリルの考えの無さにほとほと愛想が尽きかけていたメリルをローズがなぐさみ
「まぁまぁメリちゃん。そんなに怒んないの。美人さんが台無しよん。」
「ですが……。」
「メリちゃんが表の顔として高級店街と大衆店街両方の代表なんだからとりあえずは大丈夫でしょ?ダリル君は道具屋の事もあるんだしね?」
「そうですね。私が目を光らせておけば問題ないでしょうし、信頼出来る者を、このバカにつけておけばいいですしね。」
(俺の扱いがひでぇ……。)
「メリルさんやダリルさんの仕事はわかったんですが俺たちはどうすればよろしいので?」
話終わるのを見計らいオーガストがローズに自分達の歓楽街での役割を聞いた。
「その前にダリルさんってやめてくれ。ダリルで良いぜ。」
「私もメリルでいいわよ。」
「そうか。なら俺もオーガストで構わない。」
「ああ、わかった。」
オーガストとダリルの会話終わりにローズが話を始めた。
「あっごめんなさいね。言って無かったわね。」
「お願いします。」
「細かいところは後から決めるとして、シェリーちゃんとラベちゃんは高級宿で貴族や豪商への接客や応対をしてもらいます。オーガスト君は喧嘩や店のいざこざにすぐさま駆けつけられるよう若い兵達と共に夜間巡回。ガー君は、貴族夫人や豪商夫人が飲んで遊べる女性客限定のお店『ホストクラブ』の店長として接客相手を。その逆の男性客限定のお店『キャバクラ』をワタシ。人手がいるときにはシェリーちゃんとラベちゃんにも手伝ってもらいますね。」
「シェリーが接客ですか?」
「姉さんが接客?」
「あら、オーガスト君、ガー君、二人とも心配?」
「大丈夫よ。浮気なんてしないから。」
「わたくしも、弟に心配されるほど落ちぶれてはいませんわ。」
((そういうことじゃないんだが……。))
メリルが更に口を挟み。
「それいいですね!ガーネットは寡黙なイケメンで女性受け間違いないし、ミーアを代表する美女3人がいるお店なんて流行るの間違いない!!あぁーん!お金の臭いがぷんぷんするわぁー!!」
「あら、メルちゃんはお上手ねぇ。」
「代表する美女だなんて。嬉しいー。」
「ウフフフ。当然ですわ。メリルさんも美人だし接客一緒にしましょうよ?」
「おもしろそうだし、考えておくわ。」
それを見ていた3人の男達は呆然。
「いつもこんな感じかよガーネット?」
「うす。大体は…。」
「メリルが三人の中に入って益々勢いが増した気がするな…。」
「俺ぁ、えらいとこ来ちまったなぁ……。」
「諦めろダリル……。」
「諦めが肝心すダリルさん……。」
「はぁーーーー先が思いやられるぜ……。」
女達が和気藹々と調子を上げてるなか、男達はより強固に結束を誓いあっているのだった。




