~郷里~
ガチャ。
執務室のドアをガーネットが開け、客人を中に招き入れた。室内に客人達が入るや否やすぐにドアを閉め、その前にライルとエリスそれにカムイがドアを塞ぐように立った。
客人は全員で6名。
サングラスをした金髪青年、茶色の髪を片方だけ束ねたの若い女、巨漢の男、腰まである長い白銀色の髪をなびかせ頭から耳を出し紅い唇が特徴の艶かしい女、背が低く黒髪で青いメッシュが一部あるショートボブの小女、黒髪で物静な綺麗な顔の男。
見たこともない面々で、間違いなく初対面だ。だが、その者達が着用している服装を見た瞬間、雷に打たれたような衝撃が体に走った。
それは前世の服、つまり俺が死ぬ前に暮らしていた世界の服を着ていたのだ。
金髪の青年はファーがついた白いコートを着て、茶色の髪の女はギャル服、巨漢の男は動物の毛皮で出来た猟師みたいな服、白銀髪の女はキャバクラのドレスみたいな感じで、少女は制服を着用し、綺麗な顔の男は黒スーツに黒コート。
そいつらが、着ている服装に俺一人が驚いていると、金髪青年が…。
「込み入った話があるし、人払いしてくれるかぁ?」
「あっ……ああ。ライル、エリス、ガーネット。悪いが席を外してくれ。ラベンダーも、茶の用意が終わったら出てくれるか。」
「わかりましたわ。ですが………。」
「頼むよラベンダー………。」
「……承知いたしましたわ…。」
ラベンダーは俺の驚いている表情を見たためか、すぐさまテーブルに紅茶を注いだティーカップを人数分用意し、「失礼します。」とこちらに向かって頭を下げ執務室からライル達と共に出ていった。
「ここにいる者には話して、ええんやな?」
金髪青年はアル、マツバ、グレイを見ながら俺に聞いてきた。
「ああ。かまわない。」
そういうと、金髪美青年は出された紅茶に口を一口だけ飲み、俺に向かって話だした。
「はじめまして、ジル=ヴァンクリフ、アルディ王、あとその他の皆さん。ワイは、ヴァン=スピリタス。ワイ等を知らんやろうけど、ワイ等は自分等のことは、よう知ってるで。」
「だろうな。じゃなきゃここに来ないだろ。で同郷のお前らが一体何用で来たんだ?」
「やっぱ服見たら分かるわな。今日来たのは、挨拶と勧誘や。」
「勧誘??」
「ワイたちは『七贖』と言うて、この世界の裁定者なんやわ。」
「裁定者?」
「そう。この世界ってな、異世界から転生する奴が結構多くおんねん。そいつらは、前世の記憶を持ちながら種族は違えど以前の姿形を多く残して転生しよるねん。その中に、どうしようもない者がおってな、そいつ等は高い確率で悪事を働く。ゲームの世界かなんかと勘違いして、やりたい放題しよる。んでそのアホ等を律するため『七贖』がいるわけや。」
「へぇー他にも、転生者がいたんだ。まだ、会ったことないな。」
「この辺にもおると思うで。転生の事を黙って普通に暮らしとる、まともな人たちも少なからずおるからな。」
「悪事を働くってのは?強盗とかか?」
「強盗なんか可愛いほうや。人殺しなんか当たり前。そいつ等は、村を襲って村人を遊び感覚で拷問したり、手足を切断し村人をおもちゃにしたり、ひどいもんや。女子供でもおかまいなしにな…。」
「……………。」
知らなかった事とはいえ、元いた世界の人間がしている事を知らぬ存ぜぬと捨てておける内容じゃない。だがこいつが言っている言葉が本当だと決めつける事もできない。何か決定的な証拠があれば別なのだが……。
「で、なんで俺なんだ?」
「自分を知っとると言ったの覚えてるか?」
「ああ。」
「海の王バルバロッサとの闘技場での戦いを見てたんや。」
「闘技場に来ていたのか……。」
「強さはまずまずや、仲間に慕われ、敵に情をかけへんところが気に入った。」
「ってことは、お前らは俺よりも強いということか…。」
「そらそやろ。」
「力任せに協力を仰がないのか?」
「そんなんしたらアホと、同じやんけ。」
「なるほどな。今までのお前が言った話が本当だと言える証拠は?」
「証拠はあらへん。」
「……なら、話は終わりだ。初対面の奴の話を全て信じる事など俺には出来ない。」
「まぁ、待ちーや。証拠は無いけど証人ならおるから。」
「証人???」
「ああ。いま呼んだるわ。」
そういうと、ヴァン=スピリタスは天を仰ぎ大声である者の名を叫んだ。
「じいさん!!聞こえてるやろ?ちょっと人界に来てくれやーーー!」
「じいさん??」




