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Magic of OZ~天性持ちの転生者~  作者: 赤間 そあ
~第三章 国境都市編~
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~甘味~

十大竜王が一角翠蒼竜ニーズヘッグが平穏にミーアで暮らしていけるための呼び名は猿人族ヂヂ=アームライトが考えた名を採用することに決まった。ニーズヘッグは普段から『人化』という竜王が持つ技能で人の姿で生活をしている。本来の大きな竜の姿だと消費魔力が多く体の負担が半端では無いため消費魔力が少ない『人化』という手段を取っている。人の姿の時は『マツバ』で、竜化した場合は『翠蒼竜ニーズヘッグ』と呼び名を変える事としたのであった。


そんな中、グレイから忘れていた事を思い出させてくれる言葉をかけられた。


「ジル様、王が来られたのですから領地名変更の旨をお伝えしては?」


父シリウス=ヴァンクリフが治める領地と俺が治める領地の名が『ヴァンクリフ領』と被っていたので、分かり易くするために変更できないかと皆から相談されていたのだ。

偶然にもアルディ王がミーアに訪問してくれたし、どうしたらいいか聞いてみたら元来領地名はその時の王が付与する事になっているらしく領主が勝手に変えることは許されないみたいだった。それならばと、アルに新領地名の命名をお願いしたら快く受けてもらえたが、記録や手続きを必要とするので王都エルシャに戻った時に新たな領地名を考え、後日知らせてくれる事になったのだった。オズワルド王国では領地名以外の街の名前や城の名前なんかは自由にして良いとのことだった。


新たな役職を書き入れた羊皮紙を各自が担当する持ち場や組合に掲示するため一度解散となった。名付けで疲れたし俺とアルディ王、大老マツバ、宰相グレイは執務室で休憩がてらお茶をすることにした。守護騎士のライルとエリスは街を見たいと言って散策に出掛けた。案内にガーネットとカムイが付き添う。


「良い名がつきましたね。」


「うむ。ヂヂには感謝じゃよ。他の名前じゃったらと思うとゾッとするわい。」


「確かに………。」


「して、ジル君。我らをこの場に残した意味を教えてくれるかいの?」


「あっバレてました?少し3人にお願いしたい事がありましてね。」


そう言うと、ラベンダーが三人の前にそれを出した。それは紅茶と甘味だった。


「ジル、これは??」


三人の前には皿の上に丸い形をした二段に重ねてある甘い香りを漂う甘味があった。それを見たアルが不思議そうに聞いてきた。


「パンケーキと言うお菓子なんだ。作ってみたから試食をしてほしくて残ってもらったってわけ。」


「なるほどの。じゃがジル君。我は、あまり食には関心がないぞ?」


「まぁ、一度食べてくださいって。」


「そうか………。ならば、頂くとしよう。」


アルディ、マツバ、グレイはフォークを持ち、パンケーキをゆっくりと口に入れ食べ始めた。口に入れ一噛みしたとたん三人は顔が溶けたような笑顔になり驚いた。


「「「 うっ!!!」」」


「う??」


「「「 美ぅ味ぁいぃぃぃぃぃぃーーー!!!!! 」」」


三人は口を揃えて大声で叫んだ。執務室の外いや街まで聞こえるような大きな声で。


「なにこれ!すげー美味いよジル!」

「丸いパンがすごく柔らかいですよ!!」

「いやいや、その上に乗ってある果実を煮詰めた物がたまらんのー!!」


パンケーキはムギムギと岩鶏(ロックバード)の卵とミルクを混ぜ焼き上げ、モモノミの皮と種を取り除き小間切れにし、ツツミ竹の若芽を潰したときに出た製糖前の汁と共に煮込みソースとしてパンケーキにかけてある。モモノミのジャムだな。


「ははは。喜んでもらって何よりなんだけど、それ完成品じゃないんだ。」


「なんで??」


「ちょっとパンだけ食べてみてよ。」


三人は俺のいうようにパンケーキだけをたべたが。


「美味いよ!けど何か口に残る気がするね。」


「だろ?それ、ムギムギの穀なんだよ。このケーキだけじゃなく、この世界は料理が残念ながらお粗末な部分が多いんだ。専門家じゃないから詳しくないけど、この『食』の部分を何とかできないかと考えてるんだ。」


「ジル君のいた世界じゃともっと美味いよ物があったのか??」


「ええ、もちろん。ですが、俺が出来るのは家庭料理レベルしかできません。それでもこの世界では美味いと思いますよ。」


「なるほどね………。けどジルが考えているのは、『食』だけじゃないんだろ?他にも改革すべき事も考えているんじゃないの?」


「よくわかったなアル。前に会議で話していて『衣』『食』『住』『医療』『道具』『観光』『娯楽』も必要と思ってる。」


「多いな……。」


「絞ったんだけど、これ以上は減らすことはできないかな。『道具』に関しちゃ俺が出来るからいいんだけど一人で作るにも限界があるしな……。」


「で何故、我たちにこの事を相談したのじゃ?」


「ここからが本題です。この世界をよく知るあなた方ならば専門的な人材を知らないかと思いましてね。」


「そういうことか……。んーー、すまんが我には思い当たる者はおらんのう。」


「私もだ。料理人ならば多くいるが、正直ジルが作った以上の物を食べたことがない。」


「そっか……。しょうがないか。」


残念がっていると、黙って話を聞いていたグレイが疑問を投げ掛けてきた。


「あのー。さっきからジル様は何を仰っているのですか?恰もこの世界の人間じゃない言い方をしてらっしゃいますけど………。」


「あっ……。」

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