みんなで魔女の土地を覗くこと
あたしたちは、ノームさんに案内されて、地下の出口に向かいます。
ここは本当は、魔女のいるところにつながっているから、ふたをされているんだそうです。
「この先は、本当に恐ろしいところじゃからのう。わしらノームは、この穴に勘付かれたら、みんな魔女とその手下にやられてしまうかも知れんのじゃ」
案内のノームさんが、ぶるぶる震えながら言います。
今まで魔女に、とてもひどい目にあわされてきたんだそうです。
「そんな怖がんなくてもさー。ししょーが教えてくれたワザがあるじゃん! あと、ししょーもいるし!」
「むっ?」
お兄ちゃんがボーリスさんの話をしました。
リスの騎士さんは、お兄ちゃんの頭の上に乗っかって、周りを見回していたところです。
出口に向かう道に、獣人の足あとがないかとか探しているみたいです。
お兄ちゃんに名前を呼ばれて、ボーリスさんが振り返りました。
「よんだでござるかな」
ちょろちょろっとお兄ちゃんの背中を駆け下りてきます。
「ボーリスさんの名前をゆったのはお兄ちゃんだよ。ボーリスさんがいたら、出口から獣人が来てもこわくないねーって」
「ふむ! それはまちがいないだろう。だが、せっしゃだけにたよっていては、いざという時にたいへんなことになるかもしれぬ。だからこそ、せっしゃが伝えたわざがだいじなのだ」
ボーリスさんが腕組みしながら言います。
「でも、技って言ったってのう。わしらノームは小さいから、枝なんか振り回しても獣人には通用せんのじゃないかい」
「あいてのかたいところをねらってはいかん。木のえだの上から、みみとかはなをねらうのだ」
「な、なるほど!」
「からい木のみをつかって、はなをヒリヒリさせてやるのもいいぞ。みみにはむしを入れてやるのだ」
「そうか! 力だけで戦うのじゃないんじゃな! それは気づかんかった!!」
ノームさんの顔が明るくなりました。
帰ったら村の者にも教えてやろう! と喜ぶノームさん。
あたしたちを案内する足取りも軽やかです!
土に囲まれた穴の中を、てくてくと。
高さはあんまり無いから、あたしもお兄ちゃんも、ちょっとかがんで歩きます。
大人の人なら入れないんじゃないかな。
「こっちじゃ、こっち!」
ノームさんは何もない壁のあたりまで行きました。
「なんもないみたいだよ」
お兄ちゃんの言葉に、ノームさんはチッチッチ、と指を振ります。
「当然、仕掛けをしてあるんじゃよ。ほれ、こうじゃ!」
天井からのびている根っこを、ノームさんはジャンプして引っ張りました。
そうしたら、何もない壁だったところが、ごろん、と音を立てて横に動きます。
これは大きな岩だったのです!
それで、仕掛けがしてあって、根っこを引っ張ると動かせるようになってるみたい。
「こっちじゃよ! ついてくるのじゃ!」
ノームさんトテトテと走っていきます。
「ぶーいー!」
「むっ、まつでござるグレ!」
グレちゃんがその後を追っていき、さらにボーリスさんが続きます。
それからお兄ちゃんで、最後はあたし。
ちっちゃい人たちがはやい!
「行くぞグレーテ!」
「待ってお兄ちゃん! あーん、スカートじゃまー!」
あたしはちょっと進むだけでも大変!
ということで、一番あとに、あたしはみんなに追いつきました。
そこは、ノームの村の出口。
上を見上げたら、大きな木が生えています。
「木の根元にうろがあってな。そこを出口にしたんじゃ。周りに草が生えておって分かりにくいし、獣人どもはなんでか、あまり木の近くにはよってこないのじゃよ」
「どれどれ?」
あたしはちょこっと顔を出してみました。
目の前まで、草がぼうぼうです。
手を伸ばして草をかき分けると、そこはちょっと開けた場所でした。
「お日様が照ってる! 今、朝なのかな、お昼なのかな?」
「ちかにいると、じかんがわからくなるでござるな」
ボーリスさんも分からないみたいです。
ノームさんたちの村では、しょっちゅうご飯食べたり、お昼寝してたりしたからなあ。
「あっ、獣人!」
お兄ちゃんがなにかに気付きました。
指差す先を見てみたら、オオカミやクマの獣人が歩き回っています。
なんでしょう。
二人か三人で一組になって、ぺちゃくちゃ喋りながらなにかの周りをぐるぐる回るみたいに歩いています。
「あやつらのちゅうしんにいるのであろうな」
「いるって?」
「まじょだ」
ボーリスさんの目が鋭くなり……あっ、いつもの可愛いリスさんの目です。
どうぶつさんはあまり顔が変わらないのかな?
「うおー、ししょー、気合い十分だぜー! ぼ、僕もむしゃぶるいしてきたー」
お兄ちゃんがぶるぶるしてるのは、怖いだけじゃないかなーと思いました。
さあ、ノームさんの村を出たら、どうやら魔女の家はすぐそこみたいです。
これからどうしよう。
作戦会議をしなくちゃ……?




