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村の出口を見に行くこと

 お風呂代わりの水浴びをしたので、スッキリしたあたしたちです。

 お兄ちゃんはじゃぶじゃぶと泳いでいます。

 お風呂で泳いだらいけないのに!


「僕は修行で汗かいたからいいの!」


「よくなーい!」


「ぶぶー」


 あたしたちがわあわあと騒いでいると、水の中からちっちゃいものが出てきました。


「これこれ、けんかをしてはいけない」


「あっ、細いものが!」


「細い!」


「せっしゃだ」


 ぺったりした黒くて細いのは、ボーリスさんでした!

 リスさんって、水に濡れるとひょろっとするのね。

 すぐ近くに、ノームさんたちが起こしてくれた焚き火があって、これで濡れたのを乾かします。

 そう言えば、ボーリスさんと同じように、グレちゃんもしっとりしてます。

 だけどグレちゃんはうりぼうだから、毛の下にもちもちしたお肌があるので丸いままでした。


「さあ乾かそうねー、グレちゃん」


「ししょーは僕が乾かすぜ!」


 あたしとお兄ちゃんで、ボーリスさんとグレちゃんを抱っこして乾かします。

 ぽかぽか暖かい焚き火に当たっていると、なんだか気持ちよくて眠くなります。

 うとうとしていたら、焚き火に近づき過ぎたみたい。


「ぶっぶ! ぶいぶいー! ぶきゃー!」


 グレちゃんがバタバタしたので、ハッと目が覚めました!


「あっ! ごめん! グレちゃん熱かった!?」


「ぶー」


 グレちゃんが抗議してきます。

 でも、もう随分乾いてきたみたい。

 毛皮がふわふわして来ました。


「おー、ししょー、すぐ乾くなあ」


「きしたるもの、つねにりんせんじょうたいなのだ。ぬれていては力がだせぬからな」


 リスは濡れてると元気が出ないんだ。

 ボーリスさんは、もうすっかり乾いてふわっふわです。

 毛皮の汚れが落ちたからか、出会った時よりもふわふわになっているような。


「よし、ではおひるねをしたら、外をみにいくとしよう。いつまでもノームの村のせわになっているわけにはいくまい」


「ししょーはどうしてノームの村に来たの? ししょーは強いから、一人でも魔女のところにぴゅーっと行けちゃうでしょ?」


 お兄ちゃんの言葉を聞いて、ボーリスさんはうんうんうなずきました。


「せっしゃ一人でもたたかうことはできるだろう。だが、もんだいがある……」


「問題?」


「問題?」


「うむ……。せっしゃ、まのもりに入ってきづいたのだが、どっちが北で南なのかまったくわからなくなったのだ……」


 ボーリスさん、道に迷ってた……!?

 じゃあ、あのままだったら実は危なかったのかもしれない。

 ノームさんに見つかって、助かったなあ。


「めんぼくない」


「面目ないって言いながら、ししょーは胸を張ってるなあ」


「おちこんだところで、ことがかいけつはせぬからな! ではおひるねだ」


 ボーリスさんの号令で、あたしたちはお昼寝することになりました。

 確かにあたし、さっきなうとうとしていたもんね。

 ノームさんたちに、敷物代わりのふわふわしたものをもらいました。

 これは、ノームさんたちが飼ってる昆虫が出した糸をほぐしたものなんだって。


 お兄ちゃんとあたしで並んで寝ます。

 真ん中には、グレちゃん。

 ボーリスさんはあたしたちが寝ている間に、新しい技を研究です!

 あたしもお兄ちゃんも疲れてたみたいで、横になったらあっという間に寝てしまっていました。




「ぶー」


 グレちゃんにほっぺをつつかれて、あたしは起きました。


「あ、グレちゃん、おはよー」


「ぶい!」


 グレちゃんの向こうでは、お兄ちゃんがまだ寝ています。


「グレちゃん、お兄ちゃんを起こそう!」


「ぶーいー!」


 お兄ちゃんのお顔に、うりぼうヒップアタックです!

 ぼいーんっと決まって、お兄ちゃんが「うーわー」と言いながらじたばたしました。

 子供とはいえ、猪のグレちゃん。

 お尻のボリュームはなかなかなのです!

 お顔にぐりぐりお尻をつけられて、お兄ちゃんが慌てて起きました。


「うわー、なんて起こし方するんだよう」


 泉に顔を洗いに行くお兄ちゃんです。

 でも、グレちゃんのお尻はあたしがいっつも拭いてるので、きれいなのです。

 少ししたら、ボーリスさんがノームさんたちを従えてやって来ました。


「おきたでござるな。ではおやつを食べたら、でぐちをみにいくとしよう。あすにはここをたつ」


「あした!」


 思っていたよりも、ここでのんびりするみたいです。

 でも、あたしはちょっとホッとしました。

 やっぱり魔女は怖いし、魔女の家に行くのは後にできるならしたいなーと思っていたからです。

 そんなあたしを見て、ボーリスさんが言いました。


「まじょというのは、しょうしょうやっかいでな。ふつうのにんげんがゆうきをふりしぼり、まじょとたたかわねば、本当にはやっつけられないものなのだ」


「へえー」


 戻ってきたお兄ちゃん、ふんふん、とうなずきます。


「じゃあ、僕がやっつける!」


「ひとりではあぶないでござるな。つかまって、おみそしるにされて食べられてしまう」


「ひええ」


「だめ! お兄ちゃんをおみそ汁にさせないもん! あ、あたしもがんばる!」


 思わずそう言って立ち上がったら、ボーリスさんが目を細めました。

 なんだか、リスさんが笑ってるみたい。


「そなたらの身はせっしゃがまもろう。だが、ちかいうちに、ゆうきがひつようになるでござる」


 ボーリスさんの言葉に、あたしたちはちょっと緊張するのでした。

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