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リスの騎士、うりぼうに乗りて訓練すること

「どーれ、せっしゃをのせてみよ、グレよ」


「ぶーい」


 グレちゃんはボーリスさんの言葉が分かるので、おとなしくしゃがみ込みます。

 その上に、ボーリスさんがひょいっと飛び乗りました。

 ちょっと黄色っぽいグレちゃんに、茶色いボーリスさんがくっつくと、二色のちっちゃいもふもふができあがってついつい抱きしめたくなります。

 あたしはうずうずっとするのを、一生懸命こらえました。


「ししょー。グレちゃんにのっても、全然ちっちゃいまんまだけどホントに馬にするの?」


「むろんでござる。グレのかおを見よ。いいつらがまえをしている」


「ぶぶう」


 ボーリスさんはそう言いますけど、グレちゃんはつぶらな瞳であたりをキョロキョロしています。

 これ、多分今から何をするのか分かってないんじゃないかなあ。


「ようし、グレ、まずは森のおくまですすむぞ。はいよー!」


 グレちゃんの背中を、ボーリスさんがぽふぽふします。


「ぶ?」


 あ、やっぱりグレちゃん分かってない?


「グレちゃん、こっち、こっちよー」


 あたしはグレちゃんの前に立って、手招きしました。


「ぶいぶいー」


 しましまのグレちゃんは、あたしを見るとトットコと近づいてきます。


「よっし、僕も手伝う!」


 お兄ちゃんもやって来て、二人で手を叩いてグレちゃんを呼びます。

 すると、ちっちゃなうりぼうがトコトコやって来ます。


「いいぞいいぞおぬしたち! グレよ、そのちょうしだ! ……だが、前にふたごがいなければうごかないのではもんだいだな」


 グレちゃんの上で、ボーリスさんがぐにゃっと首をひねりました。

 考えてる考えてる。


「ふむ、ヘーゼル、ひとつやってみてほしい」


「なんだいししょー?」


「木の実をぶらさげて、ちょっとうしろにいってくれ」


「おっけーい!」


 お兄ちゃんが、残っていた木の実をぶら下げて、てくてく下がりました。

 すると、グレちゃんの目の色が変わります。


「ぶーい! ぶいぶい!」


 グレちゃん、すっごい勢いで走り出しました!

 トトトトトッと地面を駆けて、あっという間にお兄ちゃんに追いつきます!


「う、うわー! グレちゃんはやいー!!」


「これがうりぼうのそこぢからか! なるほど、めしでつるのがよさそうでござるな」


「ぶっぶぶー!」


 グレちゃんはぴょーんとジャンプすると、お兄ちゃんのお腹にへばりつきました。

 勢いにやられて、すってんと転ぶお兄ちゃん。

 手放しちゃった木の実を、ボーリスさんがキャッチします。


「よーしよし、よくやったぞグレ。やはりおぬしには、せっしゃの馬となるさいのうがある!! ……そのためにはもうちょっと、くんれんせんとな……」


 またボーリスさんが首をひねりました。

 むつかしい顔をしてます。

 なので、あたしは思いついたことを言いました。


「魔女のところに行くんでしょ? だったら、そこまで行きながら練習すればいいんじゃない?」


「それもそうでござるな! 行ったあとでかんがえることにしよう!」


 ということで、あたしとお兄ちゃんを先頭にして、後ろからグレちゃんがついてくることになりました。

 訓練のために、ずーっと上にはボーリスさんが乗っています。

 グレちゃんの上で、何か作っているみたい。

 あれは何かなあ。


「あれは釣り竿だよ、きっと!」


「ええー!? だって、川もなんにもないよ?」


「だったらきっと、お魚を釣るんじゃない釣り竿なんだよ!」


「そうかなあ……?」


 でも、どうやらお兄ちゃんの予想は当たってたみたい。

 ボーリスさんが作っていたものを、ひゅんっと振り回しました。


「しかり! ヘーゼル、よいよみだぞ! これはせっしゃが作ったつりざおにござる!」


「やった、当たった!」


「でもでも、ボーリスさん。お魚もいないのに、森の中で釣り竿なんかどうするの?」


「うむ。それはこうするのだ」


 ボーリスさんは、あーんと大きくお口を開けました。

 あっ、頬袋に何か入ってる!

 どんぐりです!

 ボーリスさんは、ドングリを釣り竿の先にくっつけました。

 グレちゃんったら、ドングリのにおいが気になって仕方ないみたいです。


「ぶぶぶ? ぶいー?」


「それ、グレよ、ドングリはここだぞ!」


 ボーリスさんが、釣り竿に付けたドングリを、グレちゃんの鼻先に差し出しました。


「ぶいー!」


 目の前にドングリに追いつこうとして、グレちゃんが走り始めます。

 速い速い!


「わーっ! 待ってよ、ししょー!!」


「ひえー! あたしスカートなのにー!」


 ぴゅーっと走って行っちゃったグレちゃんを追いかけて、あたしたちも走ります。

 わいわいと騒いでいるけど、魔女の手下は出てきません。

 ここは魔の森。

 魔女フォクシーが住んでいる森のはずです。


「あんしんせよ。このあたりのじゅうじんは、せっしゃが全部やっつけておいた」


 グレちゃんを自在に操りながら、ボーリスさんが言います。

 うりぼうに乗っちゃうくらい小さいのに、このリスさん凄いことを言います!


「フォクシーであればまだしも、手下ならばせっしゃのてきではな……」


「ぶーい!」


 あっ!

 グレちゃんが釣り竿のドングリに追いつきました!

 パクっとドングリをくわえて……。


「うーわー!」


 ボーリスさんが釣り竿ごと、グレちゃんに引っ張られてしまいました!

 なんか、ぶんぶんとボーリスさんが振り回されてます。

 大丈夫かなあ?


「グレちゃん、ししょーよりも強いかもしれないな!」


 お兄ちゃん、それは違うと思うなあ。

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