うりぼうとふたごとリス、交流すること
「ぶきゅ~」
うりぼうちゃんが、困った顔をしてあたしたちを見上げています。
「どうしたの?」
「ぶ~」
「もしかして、おなかすいてるんじゃないかなあ」
お兄ちゃんがいいこと言いました!
うりぼうちゃんは、きっとお腹がペコペコなんです。
あたしは、さっき食べ残した木の実を持ってきました。
「どうぞ」
「ぶ!?」
お鼻の先に差し出すと、うりぼうちゃんはくんくん、とにおいをかいでいます。
それから、「ぶいっ」とちっちゃく鳴いて、もうれつな勢いであたしの手にお鼻を押し付けました!
手の平の上の木の実を、すごい勢いで食べていきます。
「よほどくうふくだったのでござろうな。しかし、うりぼうの親はどうしたのであろうなあ」
お鼻を木の実で真っ赤にしてもぐもぐしている、うりぼうちゃん。
ボーリスさんは、そのお顔をのぞきました。
うりぼうちゃんは、いきなりリスの人がのぞいてきたから、びっくりしたみたい。
「ぶい?」
食べるのをやめて、顔をあげました。
「おぬし、じじょうがあろう」
「ぶ……」
うりぼうちゃんが、悲しそうな顔をしました。
ボーリスさんの言葉がわかるのかな。
リスさんとうりぼうちゃん、どっちもどうぶつだもんね。
「ぶぶぶ、ぶい」
「ほうほう」
「ぶいぶいぶ、ぶうぶー」
「なるほどなるほど」
「ぶぶい、ぶう、ぶぃ~」
あっ、うりぼうちゃんが泣き出しました!
ボーリスさんが、うりぼうちゃんの頭をなでなでします。
「うりぼうの親イノシシは、フォクシーの手下めにやられてしまったようでござるな」
「やられちゃったって……」
お兄ちゃんが息をのみます。
「イノシシのおみそしるにされたのでござろう」
「かわいそう……!」
一瞬、おいしそうって思っちゃいました!
あたしのばかばか!
うりぼうちゃんは泣き止むと、また木の実をもぐもぐ食べ始めました。
お腹いっぱいになったみたいで、少ししたらぐうぐうと寝始めます。
「ねえししょー、うりぼうつれていこうよ!」
「むっ……しかしな」
「おねがい、ボーリスさん! ちゃんとうりぼうちゃんのめんどう見るから!」
「名前もつけてかわいがるから!」
「うーむ。そうだな。せっしゃものりものが欲しかったところではある。うりぼうをきたえて、せっしゃの馬にしよう」
「ししょー、うりぼうに乗るの!?」
「か、かわい……かっこいい」
あたしは言い直しました。
でもでも、想像した姿は、どう考えてもかわいいに決まってます!
もこもこのリスさんが、フワフワなうりぼうちゃんに乗ってトテトテ走るんです。
「よし、じゃあ、うりぼうの名前かんがえようぜ!」
「うむ。どちらにせよ、うりぼうがめざめるまでは、せっしゃたちはいどうできぬしな」
ボーリスさんはそう言いながらも、つま先立ちになってくんくんとお鼻を鳴らします。
おヒゲもひくひく動いています。
「すこしでてまいろう。なに、すぐもどる」
ボーリスさんはその辺りから枝を拾うと、何本もつる草で背中にゆわえました。
そして、ぐうぐう寝ているうりぼうちゃんを撫でると、トテトテと走っていきました。
何をしに行くんでしょう。
「ボーリスさんが戻ってくる前に、うりぼうの名前つけちゃおうぜ!」
「うん、そうだねお兄ちゃん!」
あたしたちは、名前を考え始めます。
「ハム!」
「だめ!」
「ソーセージ!」
「だーめ!」
「ベーコン!」
「お兄ちゃん……さっきから、食べたいものの名前ゆってるだけでしょ」
「ばれたか」
お兄ちゃんがごまかし笑いをしました。
これは、お兄ちゃんはあてになりません。
あたしが考えないと。
うーん、うーん、と頭をひねります。
うりぼうちゃんをじいっと見ると、背中のしましまがグレーの色をしているのが分かります。
あたし、ピーンと来ました!
「グレーのしましまだから、グレちゃん!」
「えー、変だよー」
お兄ちゃんが口をとがらせて文句を言いました。
「じゃあお兄ちゃん、何か考えがあるの?」
「ええと、ええと、ハム! じゃなくて、ベーコン!」
「もう言ったー」
「む、むむむー。僕、そんなにたくさんのブタ料理知らないよ」
「やっぱり!! お兄ちゃん、ブタさんの料理から名前考えてた!!」
あたしが怒ると、お兄ちゃんは、しまった! っていう顔になりました。
それから笑ってごまかすと、
「グレちゃんいいよな! いい名前じゃん!」
決まりです!
「ぶいー?」
たっぷり寝たのか、うりぼうちゃんこと、グレちゃんが目をさましました。
「うりぼうちゃん。あなたは今日から、グレちゃんだよ」
「ぶー?」
「グレちゃんー!」
あたしがむぎゅっと抱きしめると、グレちゃんは「ぶうぶう」と鳴きながら、あたしのほっぺにお鼻をくっつけました。
グレちゃんも名前を気に入ってくれたみたいです。
「……なんか、遠くから聞こえるなあ。えいやー、とか、えいやさー、とか。ししょーかな?」
お兄ちゃんは、ボーリスさんが歩いていった方を気にしてます。
少ししたら、テクテクとボーリスさんがやって来ました。
あっ!
たくさんのビスケットを頭の上にのせています!
「おうい、こどもたちよ。ぐうぜんビスケットを手にいれたでござるぞ。たべるがいい」
「わーい!」
お兄ちゃんは大喜びでボーリスさんのところに走っていきます。
でも……。
「ビスケットって、魔女の手下をやっつけると出てくるんじゃなかったっけ。つまりボーリスさん、獣人をたくさんやっつけてきた……?」
ボーリスさんのおヒゲにも、しっぽにも、汚れひとつありません。
やっぱりこのリスさん、すっごく強いんだ……!




