2・とっとこ走るパーシハム
ついにどうぶつ三騎士勢揃いです!
なんとか、ピョンスロット様を回収したわたくしです。
彼をぶらーんとぶら下げて、お説教です!
「ピョンスロット様、いけませんよ! 村のウサギさんと言うと、後でシチューにするために飼われているんですよー」
「うわー」
ピョンスロット様がじたばたされました。
「ということで、ちゃんとカピバッドさんがおっしゃるように、草も食べましょう。シュッとスマートな体型を保つのです!」
「はっ、こころえました」
ぶらーんとしたピョンスロット様が、素直になりました。
そうそう、騎士は主君に対し、素直であるべきです。
でも、きちんと過ちを認められるピョンスロット様は偉いです!
「許します!」
私は笑顔で宣言しました。
「かんだいなしょちー」
「チュー」
カピバッドさんとカラフルなネズミさんが二匹で踊っています。
……カラフルなネズミさん……!?
「カピバッドさん、うしろうしろー!」
「ほえー?」
カピバッドさんが振り返ると、ネズミさんはシュッと消えてしまいました。
凄い速さです!
というか、あれはネズミさんというか、ハムスターさん?
小さな手には、お野菜の欠片を抱きしめています。
それを、もりもりもりもりーっと口に含むと、頬袋に詰め込みました。
「チュチュウ」
「あっ、今度は横!」
「ほええ?」
ハムスターさんが、シュッと消えます。
「あれ、さいきん村にきたネズミだよ! だれもつかまえられないの!」
「わたしがのこしたおやつ、パクパクってたべちゃうの!」
子どもたちが、わあわあと言いながらハムスターさんを指さします。
「私たちが捕まえようとしても、もう速すぎて全然無理で……! 猫をけしかけたけど、口から野菜の種を吹っ掛けて、猫を一発でのしちゃうんですよ」
「まあ。それはただのハムスターさんではありませんね!」
井戸端の奥さんたちからも、情報が集まります。
誰にも掴まえられない上に、軽々と猫さんを撃退してしまう凄腕のハムスターさん……!
これは、つまり、マーチン様が予言した3人目のどうぶつの騎士様なのではないでしょうか。
「ピョンスロット様!」
「ぎょい!」
反省したピョンスロット様は、シュッと走り出します。
「まつのだ、そこのハムスター!」
「チュチューイ」
ぴょんぴょんと、ハムスターさんが跳ね回ります。
後を追うピョンスロット様。
だけど、なんということでしょう。
ハムスターさんは、あのピョンスロット様よりも速いのです!
前足でムギュッとしようとしたピョンスロット様の、股の間をシューッと駆け抜けます。
そして宙返りして、ウサミミにちょこんと着地しました。
「チュッチュッ」
「くっ、私をちょうはつするとは! まてまてーい!」
どったんばったん、じたばたするピョンスロット様です。
カピバッドさんも、慌ててお二人の近くでオロオロしています。
ですけど、彼は大きいのでどうにも入り込めないみたいです。
「このハムスター、やる……! 私とカピバッドきょうふたりをあいてにして、ほんろうするとは」
「チュウ」
ふむふむ。
ハムスターさん、常にピョンスロット様の正面に入らないようにして動いているみたいです。
それから、ふかふかもちもちした彼の体を踏み台にして、跳び回っています。
「見切りました!! ピョンスロット様、退いて下さい!」
「なっ!? ひ、ひめ! しかしこのハムスターのうごきはすばやく……!」
「もふもふならわたくしの専門分野です!!」
ハムスターさんが飛び上がったところに、わたくしは素早く駆け寄りました。
「チュッ!?」
「もふもふです!」
わたくしの指先がハムスターさんに触れます。
このタイミングで、もふもふします。
すると、ハムスターさんは「チュイー!?」と一声上げると、まったりしてしまいました。
「ハムスターさん、ゲットです!」
「おお……! すさまじきもふもふの技……!」
「ひめさますごいー」
ピョンスロット様と、カピバッドさんが戦慄しています。
しばらくもふもふしていますと、ハムスターさんはひくひく痙攣しながら、こちらに手を伸ばしてきました。
「小さいおてて、可愛いです」
わたくし、もふもふを止めてハムスターさんと握手します。
「お、おみそれしました……。さすがはナイトリーダーをしたがえるしゅくん……!」
あっ!
ハムスターさんが凄くかっこいい声で喋りました!
わたくしびっくりです!
「俺のなまえはパーシハム。こうして力によってしたがえられたいじょう、しゅくんのもとに下りましょう」
「まあ! それじゃあ、騎士叙勲をしないといけませんね。カピバッドさんにもまだでしたから、二人一度にしましょうか」
素敵な思いつきです。
わたくしは、カピバッドさんをおいでおいでして、隣にパーシハムさんをちょこんと置きました。
そして、井戸端の奥様からキュウリを受け取ると、これでカピバッドさんの肩と、パーシハムさんの肩とぽふぽふと叩きます。
「えいっ」
わたくしは掛け声とともに、キュウリを真っ二つに割りました。
それをお二人に差し出します。
「このけんをあなたにむけることはありませんー」
「われらきし、ひめのけんとなり、たてとなってささえましょう」
二人はキュウリを受け取ると、もぐもぐと食べてしまいました。
彼らの隣に、ピョンスロット様が立ちます。
「われら三きし、ひめへのちゅうせいをちかいます」
三つのもふもふが、わたくしの前で跪きます。
なんでしょう。この感覚。
わたくし、あのもふもふの中に飛び込んでしまいたくてしょうがありません!
全身をむずむずさせながら、衝動を必死にこらえるわたくしなのでした。




