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3・どうぶつ騎士揃い踏み

 三人……一羽と二匹の騎士様が揃いましたので、意気揚々と(ほこら)に向かいます。

 わたくしのうしろを、ピョン、ポテ、チュウ、と大中小のお三方がついてこられています。


「まあまあ、ショコラーデ姫様でいらっしゃるので? そう言えば、確かにお顔の色艶とか輝きが全然違いますわねえ! はい、祠はこちらで……」


 お話好きのおばさま方が、わたくしたちを案内してくださいます。

 村の奥の方に祠はあるのだそうで。


「でも、本当にあんな寂れた祠に何の用があるのですか? ずっと昔から、誰もあの扉を開けられなくて」


「そうそう。今でも何かあったら怖いから、お供えは欠かさないけれど……」


「あら、お供えをなさっておられたのですか? 素晴らしい心がけです!」


 わたくしが、村の方々の心がけを労いますと、皆様あらあらうふふと、にこにこなさいます。

 奥様方が作ったお漬物や、燻製のお肉などをいただいてしまいました。

 祠に向かう途中なのに、荷物が増えてしまいます。


「ひめさま、ぼくがもつねー」


 カピバッドさんが元気に挙手なさいました。

 彼はとっても親切です。

 もらいものを袋にいっぱい詰め込んだあと、それを背中によいしょと背負いました。


「チュチューイ」


「パーシハムきょう、だめだよー。これは食べものをいれるふくろだよー。あー、はいっちゃったー」


「パーシハムきょうはぬけめがないところがあるな。きしとしては自由すぎる」


 ピョンスロット様が、むつかしいことをおっしゃいました。

 困っておられるみたいですけど、お顔はいつもの表情がわからないウサギさんフェイスです。


「パーシハムさんは小さくていらっしゃるから、皆様よりもたくさん歩かないといけないのでしょうね。だからこうして、体力を温存なさっているのだとショコラは考えます!」


「なんと! さすがひめ、ふかいおかんがえです」


 鼻息も荒く、ピョンスロット様が何度もうなずかれました。

 わたくしは、騎士の皆さんと並んで行くことにしました。

 ピョンスロット様は、ちょこちょこわたくしを見上げて来ます。

 カピバッドさんは、たまに歩きながらうつらうつらして、眠りそうになっています。

 袋から顔を出したパーシハムさんは、頬袋いっぱいに何かを詰め込んでいらっしゃいました。


 こうして見ると、皆さんとっても可愛い動物さんなのですが、実は凄く強い騎士様なのです。

 なんだか不思議ですね。

 そう思っているうちに、祠に到着していました。

 ここが、村の方々が扉を開けられないという祠なのですね。


「石のとびらですな」


 入り口まで近づいて、ピョンスロット様が鼻をくんくんされました。

 前足で、石をペタペタ触ります。

 あら、ちょっと扉が動いたような。


「どれー? えいやー」


 カピバッドさんが起き上がり、前足を立てかけます。

 あらら、またまた扉が動いたような。

 それに、騎士の方々が手を触れると、ぼんやり石の扉が光った気がします。


「パーシハムさん!」


「チュイー?」


 お漬物をこりこり齧っていたパーシハムさんが顔を出しました。


「扉をちょっと押してみてくださらないでしょうか」


「ひめがそうおっしゃるなら、俺としてはやらぬわけにはいかんでしょう」


 またパーシハムさんがかっこいい声で言いました。

 普段はハムスターさんなのですが、時々キリッとした騎士様に戻ります。

 彼は、わたくしにだけは忠実なようです。

 パーシハムさんは袋から飛び出すと、ちょろちょろっとカピバッドさんの上を走ります。

 そして、彼のおてての上から、小さな前足を扉に当てました。

 これで、ウサギ、カピバラ、ハムスターの三騎士が扉に触れていることになります。

 その時です!


「あっ、扉がピカピカっと光りました!」


 そうです!

 扉がまるで鏡でできているみたいに、すごい輝きを放ったのです。

 わたくしたちについてきていた村人さんたちは、ヒャアーと言いながら皆さん腰を抜かしました。

 この村の方々、よく腰を抜かされるような。


「なんだか、扉も動きそうな気がしてきました。皆さん、わたくし、今から扉を押しますよー!」


「どうぞ、ひめ!」


「がんばれひめー」


「きめてやってくださいひめ!」


「とあーっ!!」


 わたくし、勢いをつけてドーンっと扉にぶつかりました。

 旅に出てから、たくましくなったわたくしです。

 ちょっとくらいの重い扉、このパワーで押し開けてしまいます!

 そう思ったら、扉はあっけないほど簡単に開いてしまいました。

 わたくし、あらららら、と自分の勢いで、祠の中につんのめります。


「あぶない、ひめー!」


 わたくしがすってんと転んだところに、ピョンスロット様がザザーッと滑り込みました!

 素晴らしい機転です。

 わたくしの顔は、ピョンスロット様のふかふかお腹に、ぼよーんっと受け止められました。


「うっぷす」


 ピョンスロット様がうめきます。

 その後、得意そうにカピバッドさんを見ました。


「どうだカピバッドきょう。ちょっとくらいお肉がついていたほうが、やくだつこともあるのだ」


「ほえー、ほんとだー。さすがナイトリーダー、そんなところまで考えてたなんてー」


「はらの肉でひめさまをうけとめるとは、やるなナイトリーダー」


 カピバッドさん、パーシハムさんが、やんややんやと喝采を送ります。

 なんだかんだ言っても、三騎士の皆さんは仲良しさんですね。


「ありがとうございます、ピョンスロット様。やっぱり貴方は、わたくしの最高の騎士様です!」


「おほめにあずかり、きょうえつしごく」


 寝そべりながらかっこいい事を言うピョンスロット様です。

 わたくし、立ち上がりながら彼を抱っこしました。


「ピョンスロット様を抱っこしていると思えば、緊張感みたいなものが出てきて、ショコラは転ばなくなりそうな気がします!」


「なるほど! あえておのれにしれんをかすとは、さすがひめ……!」


 ということで、奥へ奥へ。

 祠の中は一本道です。

 石造りで、照明らしきものは無いのに、空間そのものがぼんやりと輝いているのです。

 そして、一番奥まったところに、それはありました。

 歴史を感じさせる作りの、ですけれど、埃一つついていない鏡です。


「これが、真実の鏡……!」


 わたくしは、ついに魔女シュネーケの魔法を破るものを手に入れたのです……!

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