64、ヒイラギ山
64話です
[ミツキ]
グリフォンを召喚して、ギルドの外で北に見えた大きな山を目指して、空を飛ぶこと1時間。
目の前に大きな山がそびえ立ち表面は紅葉した綺麗木々に覆われて地面の様子もわからない。
天辺は雲に覆われて見えないが下7割が見えているがかなりでかい。
今まで背景の一部だったから気にもしなかったが。
「ご主人!あの山かいな?」
「多分?ネリー、姉ちゃんあれでいいのかな?」
「北に見えてる山はあれだけですし、間違いないのでは無いでしょうか?」
「取り敢えず行けばいいんじゃないかしら?」
俺達はあやふやな状態でヒイラギ山らしき山に向かっていた。
うん、こんな適当なことしていていいのだろうか。
いや、ダメだろうな普通に考えて。
装備を整えることもなく、回復薬すら持たず、ドラゴンに挑むパーティーは俺達くらいだろうな。
「で、どうするんや?ご主人頂上まで行くんか?それとも麓に行くんか?」
「うーん、どうしようかな。
そもそもこれがヒイラギ山なのかもわからんのだが。取り敢えず麓に降りよう!」
俺達はグリフォンに山の麓に下ろしてもらった。
「ほな、ご主人わいは帰るで!」
「ありがとうグリフォン!」
「ありがとうね。」
「バイバイグリちゃん!」
3人で霧散していくグリフォンを手を降りながら見送った。
目の前に山道を囲むように木々が並んでいた。
周り人気も無くて静かな山道がのびている。
「で、どうでしょうか。」
「山に上りますか?」
「どうするいっくん?」
「まぁ、行くしかないよね。」
みんなで山道をゆっくりと歩きながら先を進んでいく。
魔物の気配もなく不気味なほど静かな道を紅葉した木々を眺めながら進んでいく。
紅葉狩りに来たみたいだなこれでは。
まぁ、見たことない葉っぱだから紅葉狩りでもないけど。
「綺麗ですね、ミツキさん。」
「いっくん、狐がいるよ!」
「はぁ?何処に?」
姉ちゃんが、横を向きながら上を指差していた。
その方向に目を向けると。
白い子狐が岩の端に頭だけ見えているが、ぐったりとした様子で倒れていた。
何で?あんなところに?
「ちょっと、捕まえてくる。」
俺は身体強化をして子狐の所にジャンプして着地した。
綺麗な白い毛並みはボサボサで所々に怪我をしているのか血のような後が付いていた。
それに尻尾が9本ある、これは九尾の狐?
「ドラ、ちょっと来て。」
「ピィ!」
俺の呼び掛けに答えドラが俺の頭の上に現れた。
「ドラ、こいつ直せるか?」
「ピィピィ!」
と頭の上を跳ねながら子狐の体に飛び乗って体を包みこんだ。
ドラの体の中で子狐がふよふよと浮かんでいる。
大丈夫だとは思うけども食べてないよねドラさん。
しばらく眺めているとドラが子狐を吐き出した。
さっきとは打って変わって綺麗な艶々した真っ白な毛並みに変わっていた。
「ピィ!」
「うん、ありがとう助かったよドラ。」
ゆっくりと霧散していき俺の中にへと帰っていった。
俺はドラが直した子狐を抱き抱えて下の山道にへと降りた。
「どうでしたかミツキさん。」
「取り敢えず怪我してたみたいだから直したけど。」
「可愛この子もふもふしたい。」
姉ちゃんが俺の抱き抱えた狐を撫でながら俺の頭もついでになで始める。
止めてもらえませんかね。
ネリーが急に俺の背後に回り込んで肩から手を伸ばして抱きついてくる。
「ね、ネリー急にどうしたの。」
「何ですかミツキさん、私何か変なことしましたか?」
「いや、何で背後から僕を抱き締めてくるのかなって。」
「決してナツキさんがミツキさんを撫でていて、うらやましいとかそんな事ちっとも思っていませんよ。」
「そ、そうですか。」
そんな事をしているうちに子狐が目を覚ましだした。
「あれ?ここは!」
「お?目を覚ましたか?」
「な、ななな、何だお前!俺を捕まえてなにするつもりだ!」
「落ち着けよ!」
子狐が目が覚めて暴れだした。
こいつ喋りやがったよ、ただの狐ではないのか。
手足を空中でバタバタさせて身をよじっているが逃がさない。
「離せ、離せよ。」
落ち着くようすがない。
仕方がない、荒療治だがこれを喰らえ。
「ミツキちゃんダイナミックボンバー!!!」
「どわーーーー!!」
魔力を解放させて思いっきり両手で空中に放り投げた。
くるくると体を回転させながら青空に飛んでいく。
ネリーも姉ちゃんが上を眺めながら見上げている。
空中で小さくなった子狐が徐々に落下してきた。
「おーらい、おーらい。」
「落ちるーーーーーー!」
「ナイスキャッチ!!」
「・・・・・。」
空中で手足をバタバタさせていた子狐を俺は再び子狐を胸に抱き締めて捕まえた。
さっきとは打って変わっておとなしくなった。
「落ち着いたか?」
「バカかお前は!!!
いきなり空中に放り投げる奴がいるか!!」
いきなり俺に顔を近づけてきてどなりだした。
「いや、だってお前がバタバタ暴れてうるさいから。」
「誰だって目覚めていきなり知らないやつに抱き抱えられたら驚わ!!」
「何だよ、治療してやったのにこの狐は!」
「別に頼んだ覚えはない!」
「可愛くない狐だな!」
「ここは狐族の住む神聖な山だぞ!
この山に何のようだ。」
狐族の住む神聖な山?なんだそれは?
俺は姉ちゃんとネリーに振り向いたが知らないと首を降っていた。
「ヒイラギ山かここは?」
「そうだ!文句あるか?」
お、ここはヒイラギ山で合っていたのか!
「なぁ、この辺りにドラゴンが巣を作ったって言うのを聞いたんだけど知らねーか?」
「お前らドラゴンを退治しに来てくれたのか!!」
さっきまで敵対していたのにいきなり食い付いてきた。
「まぁ、そうだけど。」
「本当か!あいつら繁殖期に入ったせいで山を荒らされてみんなが困ってたんだ!俺は、ククモって言うんだ。
お前らは何て言うんだ?」
「僕はミツキだ。」
「私はネリーです。」
「私はナツキ、ミツキちゃんのお姉さんです。」
「そうか、よろしくな。」
ククモの小さな前足を目の前に突き出し挨拶した。
ククモを俺の胸に抱き抱えたまま更に山の奥にへと進んでいった。
しばらく山道を進んでいくと
「ミツキ、こっちに行ってくれ。」
ククモが木々の間指差して別の道を前足で指差した。
ククモに言われた通りに葉っぱで埋め尽くされた地面を踏み歩きながら、先を進んでいく。
「所でククモは何であんなとこで倒れてたんだよ?」
「いやーー、ちょっと村を離れて遊んでいたらドラゴンに見つかって、命からがら逃げてたんだよ。」
「魔物が見当たらないのはドラゴンがいるせいなのか?」
「あぁ、みんな怯えて巣から出てこない。
普段はここは食べ物も豊富で争うこともあまりないんだけど。
ドラゴンに住みかを荒らされた奴もいるからみんな困ってんだよ。」
「みんなで倒せばいいじゃないか?」
「な、何言ってんだよ!奴はレッドドラゴンだぞ!火を吹かれたらこの山が火事になってしまうだろ!
だから何処かに立ち去るまでみんな我慢してんだよ。」
ククモがあきれた様子で俺に反論してきた。
ドラゴンかどれ程強いのだろうかな?
「姉ちゃん、ネリーはドラゴンとか倒せる?」
「どうでしょうか?ドラゴンの体はかなり大きく、尻尾は大木のように太くて振り払うだけで人が死にますし。
それにブレスは一度吐かれると骨も残らないと言いますし。」
「私はこのドラゴンスレイヤーで真っ二つにしてやるわ。」
マジかよ!その綺麗な大剣ドラゴンスレイヤーって言うのかよ!
ドラゴンスレイヤーっていったらもっと黒くて禍々しいイメージだっけど。
魔神、勇者、吸血鬼の3人がいればドラゴンなんて余裕だといいんだけどな。
すると目の前が岩壁に突き当たり行き止まりになった。
「道が無いんだけどククモ。」
「気にすんなそのまま壁に突っ込めばいいよ。」
「本気で言ってんのか?」
「壁を手で触ればわかるよ。」
ククモに言われたとおりに壁に近づいて手を伸ばしてみた・・・。
が普通に壁に手が当たった。
「壁じゃねーか!!」
「そんな高い位置は壁に決まってんだろうが!!お前の腰くらいの位置だよ!」
再びしゃがんで壁を触ると、壁を手が突き抜けた。
何だこれはどうなってるんだ!
ククモを腕から放して顔を突っ込んだ。
壁の向こうに洞窟が続いている。
「ミツキさん大丈夫ですか?」
「うん、ネリーこれって幻術魔法なの?」
俺は壁に顔を突っ込みながらネリーに魔法の事を聞いてみる。
「多分そうだと思いますがいったい誰が維持しているのでしょうか?」
俺はそのまま入り口を四つん這いで通り抜けて洞窟の中に入った。
俺の後をククモが通り抜けて、後からネリーと姉ちゃんがこっちに出てきた。
「それはカグヤ様が俺達の村を守っているのさ。」
「カグヤ様?」
「そうさ、村の中で一番魔力の高いものが長となるのさ。
この村に人が来るなんて滅多にないんだからな。」
「勝手に俺達を連れてきて良かったのかよ?」
「さぁ?」
おいおい、村に着いた瞬間攻撃されるとかは勘弁してほしいぞククモ。
「村はすぐそこだよ付いてきて!」
ククモが先に進んでいき俺達はその後を追っていく。
「ネリーは幻術魔法使えるの?」
「いえ、幻術魔法は特殊な魔法で誰でも使えませんよ。
無属性で使える者も少ないのでどんな魔法かもあまり知られてはいませんよ。よく知ってましたねミツキさん。」
「まぁ、知ってても使えないしな。」
幻術魔法かかけられたら厄介だろうな。どうやって攻略したらいいだろうかな?
「姉ちゃんはもし幻術魔法をかけられたらどうする?」
「私?私なら剣で両断するよ。」
だいぶあてにならない攻略方法を言ってきたな。
脳筋な姉ちゃんが心配になった。
「ネリーはどうする?」
「そうですね、かけられた魔法を越える魔力を流したら、干渉して弱まるそうですけど。」
「つまり相手より強くないとどうしようもないと。」
「まぁ、そうなりますね。」
まじかよ、幻術をかけられたら厄介すぎだろ。
そう思いながらククモに目線を戻したらさっきまで前を歩いていたはずのククモがいなくなっていた。
あれ?何処に行ったんだククモの奴は。
俺は立ち止まって周りを見渡した。
「ミツキさん、どうしましたか。」
「いっくんいったいどうしたの?」
「ククモが消えた!」
すると目の前から誰かが歩いてくる。
俺達は警戒しながら前を睨みつける。
俺達と同じ格好で同じ姿の奴が歩いてきた。
これはまさか!
「ネリーこれは確実に幻術魔法にかけられてるよね!」
「えぇ、そのようですね!」
「いっくんそれならここは任せてよ!」
姉ちゃんが手にドラゴンスレイヤーを出して前に進みだした。
「姉ちゃん、大丈夫か?」
「ナツキさん一人では流石に!」
「大丈夫大丈夫、お姉ちゃんに任せなさい。」
姉ちゃんにそう言われて俺とネリーは後ろに下がっていつでも飛び出せるように準備する。
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[ナツキ]
「ネリーちゃんといっくんを斬るのは嫌だけどごめんね。行くよピト。」
「前までは操られてて大変だったからね、油断しないでよナツキ。」
「もう、余計なこと言わないでよピト反省してるんだから。」
ピトに痛いところを指摘されてへこんだ。
私だって次はいっくんを守るんだから。
「最初から飛ばすよ!《聖気解放》」
「ナツキ、今回の相手は自分かい?何かの試練?」
「バカなこといってないでサポートしてよピト。」
足に力を込めて3人に飛び込んでいく。
まずは私から倒す。
「はぁ!!《空間切断》」
目の前を剣で切り裂いて空間に裂け目を作り出して飛び込む。
「ピト相手の後ろの場所を座標計算して!」
「もう、人使いが荒いな!
・・わかった!そのまま直線5メートル行って2時の方向!」
「《空間切断》」
ピトの指示に従ってすぐさま剣で裂け目を再び作り出して飛び出す。
飛び出た場所は偽物の私の背後。
実は現実と異空間の時間の差は10倍つまり現実の1秒が異空間の1分だ。
向こうからしたら私が一瞬で背後に現れた様なものなのだ。
デメリットは余計に年をとってしまうことくらいかしらね。
自分の背後に思いっきり剣を振り下ろす。
「さようなら私《魔法切断》」
私が偽物に頭から真っ二つになって地面に倒れこむ。
「《空間切断》」
すぐさま空間を切り裂いて中に入る。
「ピト次は!」
「2時の方向に3メートル先!」
「《空間切断》」
今度は偽ネリーちゃんの後ろを取った。
私が偽物を切り裂いて距離を取ろう空中に逃げているところの背後をすぐさまとる。
「ごめんねネリーちゃん《魔法切断》」
偽ネリーちゃんを横に両断して空中から落下させる。
「《空間切断》」
また異空間に移動して最後に偽いっくんを仕留めにいく。
「ピト最後は。」
「真下を斬ればいいよ。」
「《空間切断》」
今度は偽いっくんの頭上に出る。
いっくんに手を出すのは、心が、心がものすごーくいたいけど仕方ないよね。
「ごめんなさいいっくん!《魔法切断》」
偽いっくんの頭から剣を落として地面に着地した。
そのまま地面に倒れこんで3人の死体が地面に転がっている。
確かこれは幻術魔法と言っていましたねそれなら!
「《魔法切断》」
私は周りの空間に斬撃を放つ。
すると空間に亀裂が走り、バラバラに砕け散った。
さっきまで転がっていた死体も綺麗に無くなっている。
「これで終わりでしょうかね。」
私はいっくんの近くにゆっくりと歩いていった。
まだドラゴンとは戦いませんよ!




