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60、戦いの後

60話です

フェンリルにお別れを告げられて、俺は目が覚めた。

またもや、学校の治療室にお世話になっているようだ。

俺はいったいどれだけお世話になってんだか。

周りは暗くどうやら夜のようだ。

周りを見渡すと、ベッドには、ネリーや姉ちゃん、それにシヴァとアリスちゃんかな?アリッサと一緒に寝ているのは。

良かった、無事に終わったのか。


俺はベッドから起き上がって外の風を浴びにいった。

学校の中庭に向かうと、ジンが一人月を眺めながら立っていた。

ゆっくりと近づいて声をかけた。

 

「ジン、一人で何してんだ?」

「おや、目が覚めましたかミツキ君。

いや、少し考え事をしていましてね。」

「これから学校はどうするんだ?」

「アリッサ君を処罰しなくてはいけません。

いくら魔族に妹が操られていたとはいえ、罪は罪なのです。

アリッサ君の処罰はミツキ君に一任します。」

「何で俺が決めんだよ?」

「貴方がアリッサ君の一番の被害を受けたからです。私は教え子なので、何をされても自業自得なので。」


 

ジンが辛そうな表情で綺麗な月を眺めながら言葉をはいていた。

 

「・・・そうか。

実はさっきフェンリルに別れを告げられたよ。

フェンリルを殺したシヴァに、僕を倒したことを光栄に思え、だとよ。」

「そうですか、フェンリルも神の元に帰りましたか。」

「今回のアリッサの罰は校舎の修繕でいいんじゃねーのか?

他の生徒は知らねーんだろ?魔族に操られていたことも。

それに死者も幸い出てねーわけだろ。」


一応ジンに提案した。

するとこっちに顔を向けて真剣な表情で言ってきた。


「後から聞いたのですが、貴方の仲間を差し出した彼女をそんな処罰でいいのですか?

普通ならミツキ君に殺されても文句は言えないのですよ。」

「そうだったのか、それは許せないな。

・・・だけど今回はみんなは帰って来た、もし一人でも死んでいたら許してなかっただろうな。

まぁでもこれも、神様のお陰なんじゃねーの?」

 

正直友達を差し出されたことに怒りを感じないわけではないが。

どうすることも出来ない辛さは俺が体験したことがあるから責めようにも、責められない。

自分は力があったから解決出来ただけの話なのだ。

逆の立場の可能性があっても不思議ではないのだ。

俺はそう言いながら、治療室で再び寝るために、学校の中に帰っていった。


「ありがとうございます。」

 

急にお礼を言われて、後ろを振り返るとジンが俺に頭を下げていた。

 

「何で、頭下げてんだよ?

今回はジンも手伝ったから勝てたんだろ、お互い様だろ。」

 

俺はそうジンに向かってそう言葉を吐いて、治療室にへと向かっていった。

すると途中の廊下で、ネリーと鉢合わせた。

ネリーが俺の顔を見た瞬間逃げ出した。

俺も慌てて、ネリーの後を追った。

まさか、操られていた記憶が戻ってないのか!!

 

俺はネリーに向かって全力で走り、手を掴んで、こっちに引っ張る。


「何処に行くつもりだネリー。」

「離してください、私はミツキさんを殺そうとしました。

そんな私がミツキさんと一緒にいる資格なんてありません。」

 

と逃げようと必死に俺の手から逃れようとする。

何で、そんな事を気にするのかな。

俺は身体強化をして、思いっきり引っ張った。

引っ張る勢いが付きすぎて、ネリーが俺の方に倒れてきた。

 

「きゃぁ!!」

「うを!」

 

俺はネリーに押し倒されて、ネリーの頭が俺の胸の位置に来るような感じで倒れた。

そして、俺の胸でネリーが泣き出した。

俺は優しく頭を撫でながら、抱き締めた。

 

「そんな事気にしなくてもいいんだよ。むしろ操られたネリーが僕を裏切ったと思って、攻撃してごめんね。痛かったね。」

「私を許してくれるんですか。」

 

ネリーが涙目になりながら俺の顔を見つめてくる。

 

「許すもなにも、操られてたんだから仕方ないじゃないか。」

「でも、でも!」

「うん、うん、大丈夫だからね。」

 

俺は強くネリーを抱き締めてあげた。

すると再び胸の中で泣き出した。

しばらく廊下でネリーを撫でながら慰めていた。

ネリー、泣きつかれてしまったのか再び眠ってしまった。

俺はこのままここに寝るのはさすがに嫌なので、身体強化をしてネリーを廊下に仰向けに優しく置いてから、立ち上がって、お姫様抱っこをして、治療室にへと向かっていった。

治療室のドアを開けて、空いているベッドに下ろしてからシーツをかけてあげる。


俺も眠くなってきたので、空いてるベッドに寝転がった。


「疲れた!しばらく戦いはしたくないや。」

 

そう呟きながら、ゆっくりと睡魔に誘われて眠った。

 


2度寝から目が覚めてベッドから起き上がった瞬間、床に額を付けた状態で石のように固まったシヴァの姿があった。

何で、目覚めた瞬間に人の土下座を目撃しなくちゃいけないんだか。

人生で始めての経験に戸惑いを隠せない。

声をかけにくいが、仕方なく声をかけた。

 

「あのー、シヴァ顔あげてくれない?」

「誠に申し訳ありませんでした。

私の修行不足により、フェンリル様に手を出した罪を自分の命で償います。」

 

と、すぐさま手元に剣を出して、自分のお腹に向けて振り抜こうとした。

ちょっとまてや!!いきなり一人で事を進めるな!!

俺は慌てて起き上がりシヴァ剣を弾き飛ばした。

剣が空中を舞、治療室の壁に突き刺る。

 

「何故止めるのですか!」

「朝っぱらから自殺なんか見たくもねーわ!!」

「ならば勝手に死んできます。」

「そういうこと言ってんじゃねーよ!」

 

なにこの人、すごくめんどくさいんだけど!


「シヴァ先に訂正しておかないといけないことがある。

僕はフェンリルじゃない、フェンリルは・・・死んだんだ。」

「生きているではないですか!」

「僕はフェンリルじゃない、転生者だ!本当の名前はイツキだ。」


俺の言葉を聞いた瞬間シヴァは驚きの表情を浮かべていた。

まぁ、そうだろうな。


「え、そんなまさか私は、ふ、フェンリル様をこ、殺してしまった。」

 

どんどんシヴァの体が震えだして、言葉がつっかえ始める。

不味いなこれは、いきなり事実を告げるべきではなかったか!

すぐさまベッドから降りてシヴァの顔を両手で掴む。

 

「シヴァ、お前にフェンリルから伝言がある。」

「・・・。」

「僕を倒したことを光栄に思いなさい。」

 

俺はフェンリルに言われたことをシヴァに向かって伝えた。

すると、瞳から涙が溢れだして、床に顔を伏せ始めた。

まぁ、今はそっとしておくべきだろうな。

俺にはどうすることも出来ないのでそのまま放置した。

治療室のドアを開けて廊下に出ると、

金髪の目がくりくりした可愛らしい女の子が1人で廊下を散歩していた。

赤い服に茶色いスカートを着ていた。

 

俺の姿を見つけると、近づいてきた。

何処と無くアリッサと似ているこの女の子は、もしかしてアリスちゃんなのかな?

 

「お姉ちゃん、助けてくれてありがとう。」

「君がアリスちゃん?」

「うん!そうだよ。」


あ!やっぱりそうだったか!

でも、アリッサはどうしたんだろうか?


「アリッサは?」

「ジン様に呼ばれたよ。」

 

じゃぁ今頃、アリッサはジンから学校の修繕でも伝えられているのか。

俺はアリスちゃんの頭を撫でた。

「えへへ。」と無邪気な顔を俺に見せてきた。

子供のこういう笑顔を守ることが出来たことは良かったと心から思う。

姉ちゃんとネリーはいったい何処に行ってしまったのか?


「アリスちゃん、治療室にいた銀髪のおねーさんと、黒髪のおねーさん見てないかな?」

「それならお庭にいたよ。」

「ありがとう、アリスちゃん。」


俺がアリスちゃんにお礼を言って向かおうとしたら。

 

「アリスも一緒にいく。」

 

俺の手をアリスちゃんが両手で掴んできた。

手を繋ぐのが嬉しいのか笑顔を俺に向けてくる。

このくらいの無邪気な感じの子供って可愛と思うよ。

俺はアリスちゃんの笑顔に癒されながら一緒に中庭へと向かっていった。

 

中庭に着くと、ネリーと姉ちゃんが一緒にいた。


「おーい、ネリー、姉ちゃんそんなとこで何してんだ?」

 

俺の声に気づいてネリーと姉ちゃんが振り向いた。

ムネモシュネに操られた記憶が残っているためか、俺の顔を見たとたんに気まずそうな顔を2人ともしていた。

いきなり二人とも頭を下げてきた。

 

「ごめんなさい、ミツキさん。」

「ごめんなさい、いっくん。」

「ネリー、姉ちゃん顔あげてよ、今回は仕方のないことじゃないか。」

 

俺は謝ってきた、2人に顔を上げるようにお願いした。

その様子をアリスちゃんが眺めて、俺の方を向いてきた。


「お姉ちゃん達いけないことしたの?」

「ううん、別になにもしていないよ。」

「なのに何で謝ってるの?」

「あーー、えっと、ちょっと喧嘩したから仲直りしているんだよ。

2人は大人だから先に謝ってきたんだよ。」

「お姉ちゃん達偉いね。」

「そうだね。」


子供をごまかすのは大変です。

そして、2人とも顔を上げて悲しそうな顔をしていた。


「今回はムネモシュネも倒せたし、幸いみんな無事で帰ってこれたんだからさ。そんな顔しないでよいつものように笑っていてよ。」

「本当にごめんなさい。」

「ごめんなさい、いっくん。」

「ほら、これでこの件は終わり、早く朝食食べに行こうよ。」


俺は2人にそう伝えて、一緒に食堂に向かった。

2人も俺とアリスちゃんの後を付いてきた。

食堂に着くと朝食を食べに来ている生徒で賑わっていた。

周りの人が俺の顔を久しぶりに見たせいか驚いていた。


「リトルウルフが子供を連れている!」

「なに!マザーウルフになったのか!」

「あの子可愛ー!、誰かの妹?」

「グヘヘヘ、幼女が2人。」

 

ちょっとまて、今変態がいただろ、出てこい、俺が始末してやるから。

少し、恐怖を覚えながらも食堂に入り朝食を選びいつもの前の席に着いた。

俺達よりも先に先客がいた。

ムネモシュネの部下のエリーカだった。

何でこんなとこにいやがる、俺は警戒しながらエリーカを睨み付けた。

 

「お前、何でこんなとこにいるんだ!」

「あ!ミツキお姉ちゃんだ。」

「まだ、何かたくらんでいるのか!」

「ジン様に大人しくしとけって命令されたから大人しくしているの。」

「はぁ?お前何でジンの命令聞いてるんだ?」

「私は、強いものに従う、今の主はジン様」

 

な、何て自由な奴だ!!

切り替えが早いと言えばいいのか、あきらめが早いと言えばいいのか。

 

(かたき)はとらないのか?一応主(あるじ)だったんだろ。」

「別に、ムネモシュネ様人使い荒くて、虐めてくるからあまり好きじゃなかった。」


ここでムネモシュネの性格の悪さが出たな、部下に見捨てられた、上司って感じだな。

取り敢えずこいつは仲間って事でいいのか?

いや、分からないが注意するにこしたことはないだろう。

俺達も席に付いて朝食を取り始めた。


「「いただきます!」」

 

俺とアリスちゃんが2人で挨拶をして朝食を食べ出す。

相変わらず、姉ちゃんとネリーの元気が無い。

しばらくは2人とも、元気が戻るまでは仕方ないか。

そう考えながら、俺は朝食を食べ始めた。


「お姉ちゃん、美味しいね。」

「そうだね。」


さっきからアリスちゃんの笑顔に癒されている。

エリーカがアリスちゃんの「お姉ちゃん」と言う言葉を言った瞬間ピクついた。

俺は朝食を食べながら周りを見渡すと、アンナとアーサーとキサラギが3人で一緒に朝食を取っている。

他のみんなは元気そうで何よりだな。


姉ちゃんとネリーはあまり食べていなかったが朝食を皆が食べ終えて教室にへと向かっていった。



しばらくは平和に書こうかなと思います

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