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58、ムネモシュネとの死闘

58話です

俺は森のなかを走り、洞窟の入り口にたどり着いた。


「確か一本道だったはずだな。」

 

前の記憶を探りなが中にへと入っていった。

《レイズ》を自分に発動し洞窟のなかを駆けていく。

途中で懐かしい【バッド】が現れたが、殴って瞬殺させた。

 

一番奥の天井が丸く空いて、そこから太陽の光が明るく周りを照らしている広い空間に出た。

俺がこの世界に転生した場所に。

 

警戒しながらゆっくりと歩き奥に進む。

後ろから気配を感じて振り向く。

 

「何じゃ、1人出来たのか、馬鹿な奴じゃの。」

 

嘲笑うかのように背後にたっていた。

水晶に写っていた着物姿の、あの魔族が後ろにいた。

人を見下したかのような高慢な感じで俺を見下ろしている。


「俺の仲間に手を出した罪を死で償ってもらうぞ。

ムネモシュネ!!!」

「仲間とはこいつらのことかえ?」

 

そういって、姉ちゃんとネリーが岩影から姿を表して、ムネモシュネの前に立った。


「また合いましたわね、ミツキさん。」

「死んでもらうわよ、氷の魔神!」

 

俺に向かって敵対してくる。

早く魔法を解いてやらないと。

 

「じゃが、妾をコケにしたお前をこれだけの人数で相手にはしない。

来るのじゃ、お前達。」

 

俺の後ろから2人の影が現れた。

後ろを確認すると、1人はエリーカだった!まさかエリーカまでもが敵だったとは、もう1人は知らないやつだ!白い髪の青いドレスのような服を着た女性、息を飲むほどに綺麗な顔立ちの女性だった。


「お前を再び、シヴァで殺してやるわ!」


こいつがフェンリルを殺したシヴァだと!

驚いている場合じゃない、俺は氷の壁を想像して、地面に両手を付いて帰り道を(ふさ)いだ。

 

「ムネモシュネ、お前は絶対に逃がさない。」

「ふ、馬鹿な奴じゃな来いアリス。」

 

ムネモシュネの横にアリスと呼んだ奴が現れた。

黒いフードを被っていて顔はわかりなかったが、身長が小さく子供であることはわかった。

今だ!!!!

俺は続けて両手を振り上げて魔法を発動させる。

 

「《安らかに眠れ(ラストインピース)》」


アリスと呼ばれた少女の足元から魔方陣が現れて、一瞬で凍りつき氷の中にアリスが閉じ込められた。

この時を待っていたぜ、きっとお前は出口を(ふさ)げばアリスで逃げると思っていたからな!!

これは敵を拘束するだけの魔法で殺傷能力は無い。

ムネモシュネが俺を睨み付けてきた。

 

「よくも!!お前ら早くその魔神を殺すのじゃ!!」

 

ムネモシュネの命令で4人が俺に向かってそれぞ(かま)え始めた。

俺はすでに魔力を完全に練り上げているために完璧な状態だ。

 

「《氷を纏え》」

 

水色の魔力を全身に纏い、力が溢れ出す。

俺は後ろのふたりにも警戒して姉ちゃんとネリーを睨み付ける。

すると上の穴からジンが俺の背中の方に降りてきた。

 

「なんじゃと!!風の魔神までおるじゃと!」

「ミツキ君後ろのシヴァ君とエリーカ君は任せてください。《風を纏え》」

「あぁ、頼んだ。

俺はムネモシュネを殺してやる。」

 

俺の後ろでコロシアムで使っていた刀を構えながら俺と背中合わせに立った。

 

「また殺られんじゃねーぞ、ジン。」

「本気で相手をいたしますよ、ミツキ君こそ殺られないでくださいよ。」


お互いに言葉をかけながら駆け出した。

 

 

▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼ 

[ジン]

私はエリーカ君とシヴァ君を睨み付けながら問いかけた。

 

「エリーカ君、(きみ)はミツキ君の事が好きではなかったのですか?」

「大好き、ムネモシュネ様より優しくて強いから。」 

「なら何故、ムネモシュネに付いているのですか?」

「魔族は強いものに付くのが普通なの、最初にミツキお姉ちゃんに出会っていたら、違った。」

「そうですか。」

 

エリーカ君と話が終わった途端に、シヴァ君が襲いかかってきた。


「死ね!ジン、お前もフェンリルのように殺してやるよ!」


私の知っているシヴァ君とかけ離れたしゃべり方をしていた。

私はシヴァの剣を刀で受け止めて、押し返した。


「貴方は同じ過ちを繰り返さないよう私が眠らせましょう。」

「は!やれるもんならやってみな!

《ブリザード》」

 

シヴァが片腕を付きだして、魔法を放ってくる。

天井に、魔法陣が現れて私に向かって突風と共に、多量の氷柱が襲ってくる。

 

「《トルネード》」

 

竜巻を作り、シヴァの元に向けて放ち、氷柱を砕きながら進んで行く。

後ろから気配を感じて振り向くと、円形の外側に刃物が付いた武器が2つ迫ってきた。

円月輪(えんげつりん)ですか!!、刀で2つ弾き武器がエリーカ君の方に戻っていった。

今度は背後から再びシヴァ君が斬りかかって来る。

すぐさま体を(ひるがえ)しシヴァの剣を受ける。

くっ、相手が魔神でないとはいえ、流石はフェンリルの弟子、中々の力ですね。

これは、殺さずに倒すのは骨が折れそうですね!!


「おらおら、どうした、さっきまでの威勢はどうしたんだよジン!」


シヴァが私を挑発しながら剣を押し当ててくる。

 

「《ゴッドサンダー》」

 

エリーカ君が魔法を唱えた。

今度は、私の頭上から光の柱が降りてくる。

私とシヴァ君は競り合いを止めて距離を取った。

私の居たところが轟音が鳴り響き、雷が落ちる。

洞窟のせいで音が響き、眩しい光を放つ。


「あぶねー、だろうが殺すぞ!!」

「わざとじゃない。敵狙った、貴方がそこにいただけ。」

 

シヴァ君とエリーカ君が言い合いを始める。

連携もない戦いですね、それはそうでしょうね、操った人達をその場で使ってるだけですからね。

その隙に今度は私がシヴァ君に突っ込む。


「よそ見していると危ないですよ、シヴァ君。」

 

私は剣に魔力を込めて放つ。

 

「《真空斬(しんくうざん)》」


シヴァ君が剣で受けようとしたが、その行いは愚行だった。

私の刀がシヴァ君の剣をバターのように両断した。


「馬鹿な、私の剣を斬るだと!」

 

シヴァ君の懷が無防備な状態になる。

さあ、これで終わりですよ!!

私が刀を峰の方に変えて、足と刀に魔力を爆発させて振り抜く。

シヴァ君の腹に私の刀をぶつけて、そのまま空中に持ち上げる。

 

「ぐっ!!」

「記憶が戻ってから、償いなさい、シヴァ君!!」

 

私は、すぐさまシヴァ君の上に移動し、魔力を刀に纏わせて構える。

体を一回転させながら叩きつけるように打ち込む。


「《疾風怒濤(しっぷうどとう)》」


そのまま地面に叩き付けられて、動かなくなった。

この技は範囲が小さく刀に当たらないと駄目なのですが、、当たれば相手が消し飛ぶほどの威力が出ます。

まぁ、今回は控えめで放ちましたが。

私の唯一の力業ですね。

 

私はすぐさまエリーカ君に振り向き刀を構えた。

すると、両手を上げだした。

 

「降参。」

「貴方は諦めが早いのですね。」

「私は強いものに従う、それが魔族だから。こんなとこで死ぬつもりはない。」

「それなら、シヴァ君を縛っておいてください。」

「わかった。」

 

エリーカ君がシヴァに近づき、魔法を詠唱をし始めた。


「雷の鎖よ、この者を封じろ、《サンダーチェイン》」

 

バチバチと音を鳴らして、鎖が地面から生えてシヴァ君の体を縛りつける。

 

「終わった。」

「ありがとうございます、大人しく座ってミツキ君の勝利を待ってください。」

「わかった。ミツキお姉ちゃんを待つ。」

 

こちらは終わりました。

すぐにそちらに向かいます。

私は洞窟の奥に響く戦闘音に向かって走り出した。

 

▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

[ミツキ] 

 

俺はムネモシュネに向かって走り出す。ムネモシュネは入り口を諦めて洞窟の奥にへと向かって逃げていく。


「逃がすか!」

「ここで死んでもらいますミツキさん。」

「ムネモシュネちゃんのために死んでもらうわよ、氷の魔神。」

「ネリー、姉ちゃん先に謝っておくよ、今から本気で戦うけど文句は受け付けないよ!!!」

 

すぐさま、姉ちゃんとネリーが俺の行く手を阻む。

俺はすぐさま分身を作り、2人で駆け出す。

 

「僕はネリーに行くから姉ちゃんを頼む。」

 

分身が頷き、それぞれに別れて戦闘を開始する。

俺はネリーに近づいて蹴りを放つ。

ネリーが両手で受け止めて、耐えた。


「コロシアムの時より力が落ちてますよ、ミツキさん!」


と言って俺の足を掴んで壁に投げつけられた。

だが、ネリーを無視して、ムネモシュネが逃げた方に、向かって壁を蹴って向かう。


「行かせません!!」

 

ネリーが俺の行く手を再び遮ってくる。

仕方ないあまり傷つけたくは無かったけど。

 

「来い!《スノウフェアリー》」

 

俺の目の前に魔方陣が現れて、ネリーに向かって飛び出した。

 

「ご主人様の邪魔はさせませんよ。

敵になるのなら容赦いたしません!!」

 

ネリーの拳を掴みすぐさま殴り飛ばし、地面に叩き付けた。

 

「あまり傷つけるなよ!!」

「了承いたしました。

お気をつけて、行ってらっしゃいませ。」

 

空中で俺に向かって、胸に手を当てて頭を下げてきた。

そのまま洞窟の道にへとムネモシュネを追っていった。


道でないせいで足場が悪く、岩肌がつるつるしているせいで滑りやすく進みにくい。

しばらく洞窟の奥にへと進んで行くと、洞窟を跳ねながらかなりのスピードで逃げていた。

くそが、腐っても魔族か速い。

 

「待ちやがれ、ムネモシュネ!!」

 

俺はムネモシュネに向かって叫ぶ。

するとこっちを向いて何かを叫び出した。

 

「下僕よ妾を守れ!!」

 

俺の横から、巨大な牛の化け物が3体襲ってきた。

 

「ブモォーーーー!!!」 

 

鳴き声を響かせながら、一匹が斧を俺に向かって振りかぶってくる。

頭に【ミノタウロス】と名前が出ていた。

こいつは魔物まで従えてやがるのか!!


「邪魔だ!!どけ!」

「ブモ!」


俺は目の前のミノタウロスを蹴り倒し壁に吹き飛ばす。

あと2匹!!

俺に向かって再び、斧を振り抜いてくる。

斧をジャンプで避けて、頭上を取った。


「邪魔だっつてんだろうが!!!」

「ボムッ!」

 

そのまま頭に踵落としを喰らわせて、地面に叩きつける。

あと1匹!

 

「死にさらせ!!」

「ブッ!」

 

すぐさまもう1匹に近づいて、お腹を殴り付けた。

そのままゆっくりと膝を付いて前のめりに倒れた。

再び、ムネモシュネに向かって追いかける。

くそが、ここで逃がしたら水の泡だ!!

 

ムネモシュネが逃げていく姿が見えていた。

もう逃がさね!!俺は氷で足場を作り、ムネモシュネに突っ込んだ。


「喰らいやがれ!!」

「くっ!!」


背後から思いっきり殴り付けてた。

ムネモシュネが振り返り体を覆う障壁でガードした。

ちっ、硬い!

お互いに、にらみ合い出方をうかがっている。


「妾が操るだけだと!思うたら大間違いじゃ!

《アブソリュートゼロ》」

 

ムネモシュネが魔法を放った瞬間、俺の体が凍りつき巨大な氷の中に閉じ込められて動けなくなる。


「愚かじゃ、お前を氷魔法で殺してやるわ!!!死ね!」


俺は魔力を練り上げながら、氷にヒビを入れぶち壊した。

 

「馬鹿な!原初魔法をぶち壊すじゃと!!」

「馬鹿はお前だ、氷の魔神に氷魔法で(とど)めをさせるかよ!」

 

すぐさま近づいて、再び殴りつける。

「くっ!」ムネモシュネが再び障壁を張り身を守っていた。

くそ、他に魔力を使っていて、火力が出ない!!

再び、距離を置いてにらみ合う。

魔力を絞り出してぶっ倒れる覚悟で、殺るしかない。

こいつを逃がしたら、後がまずい。

 

「行くぞ、ムネモシュネ!!!」

 

俺は魔力を爆発させて、飛び出した。


「ふん、いくらでも防いでやるわ!

魔力が尽きたときがお前の最後じゃ。」

 

ムネモシュネが障壁を張って身を守りだした。

フェンリルの使った技を今こそ使うときだ!!


「喰らえ、《乱打氷撃(らんだひょうげき)》」

 

俺は魔力を纏わせて何度も障壁を殴りつける。


「無駄じゃ、何度やっても割ることなど不可能じゃ!」

「うるせー!絶対に割ってやる!」

 

くそ、俺じゃ無理なのか!!!

そんな考えがちらついた時だった、ムネモシュネの障壁にヒビが入った。

 

「なんじゃと!!」

 

絶対な自信があったのだろう、ムネモシュネが驚きの声を上げた。

行ける、もってくれよ俺の魔力!

魔力を振り絞り、殴りつける。

ムネモシュネの障壁が徐々に亀裂(きれつ)が大きくなっていく。

 

「嘘じゃ、妾が魔力量で負けるなどそんなわけない。」

「お前は絶対にここで殺してやる!!」

 

そして、遂にムネモシュネの障壁が『パリーン』と甲高い音をたてて砕け散った。


「ひぃ!!」

「当たれーーー!!!」

 

ムネモシュネの顔面を殴り付けた。

洞窟の岩にぶつかりながら地面に叩き付けられて衝撃音が響いた。

俺はすぐさま近寄って止めを刺しに向かった。

ほとんど魔力を使いきって今にも倒れそうだが踏ん張る。

 

「い・嫌じゃ、わ・妾がこんな・ところで。」


地面にを(はい)いつくばりながらも逃げようと必死になっている。

俺はムネモシュネの目の前にたって冷たい目で見下ろした。

 

「ひぃー、わ、妾を見逃してもらえないかの!」

 

命乞いを始めた。

今さら何を言っているのだろうか。

俺はそのまま魔法の詠唱を始めた。

 

「自分の罪を悔い改めろ!!

氷結爆破(フリージングブラスト)》」

 

ムネモシュネの周りに氷の粒が囲みぐるぐると周りだす。

 

「ま、魔王様ー!!」

 

ムネモシュネが手を上げた状態で、凍りつき、その状態から花が咲いたように周りに砕け散って、空中にへと霧散していった。

その光景を眺めながら、俺も魔力切れで地面に崩れ落ちた。

 

「やった、やりきった。」

 

全身に疲労が重くのし掛かり、ゆっくりと意識を失った。


 



四天王一人目撃破です。

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