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57、反撃の時

57話です

俺は、魔力を練り上げていく、周りから、集められるだけいつも以上に。

目の前の敵を殺すために、目の前の不愉快な者を消すため、一切の情を捨て、ただ破壊するのみ。

 

俺の体が今にも爆発してしまいそうなくらいに熱い。

今までのネリーとの幸せは嘘だった。

それを考えるだけで、一瞬で自分を見失いそうだ。

まさか、ここに転生してまで裏切られるとはなつくづく俺はついてない奴だな。


「《氷よ纏え》」


俺の体から爆発的な魔力が溢れだし体を覆う。

そうだ、魔神はフェンリルが言っていたように人じゃなかったんだ。

やろうと思えば、多分出来たんだ。

でも頭の中で躊躇(ちゅうちょ)していたんだと思う。

人をやめることを、自分が人の枠から外れることを。

でも、もういいや、人を信じたらダメなんだからさ。

人なんて止めてしまおうよ。


俺は足に魔力を爆発させ、ネリーの目の前に一瞬にして距離を詰めた。


「え!!」

 

お腹に思いっきり、俺の拳を打ち込んだ。

だがネリーが瞬間的に、持っていた鎌の柄で拳を防いだが、俺の拳の威力に耐えきれずにぶっ飛ぶ。

そのまま壁までかなりのスピードで激突し壁に埋まった。

俺がその様子を冷たい目で見つめていた。


いつの間にかネリーが俺の後ろに回り込み、鎌を振りかぶろうとしていた。

焦ることもなく、ネリーが振った鎌の刃近くの柄を掴み凍らせた。

ネリーが慌てて鎌から手から離して俺から距離を取った。

そのまま自分の背中の方に鎌を放り投げて捨てる。

 

「どうしてこうも魔神達は化け物なのでしょうか。

ここは一時撤退するべきですかね。」

「俺が目の前の敵を逃がすと思ってるのなら、甘い考えは捨てた方がいい、俺は殺すと言った。」

「ならば、私もムネモシュネ様のために全力でお相手するしかありませんね。」

「秒で終わらしてやる。」

 

ネリーが拳を握りこっちに向かってくる。

俺はネリーの放ってくる拳が手に取るように分かる。

あー、これがフェンリルの世界であり、魔神の世界なのか。

ネリーが放ってくる拳を両手で(さば)きすぐさま背後を取って、蹴り飛ばす。

またもや壁に頭から激突して、壁の奥に突っ込む。

すると壁の奥でいきなり詠唱を始めた。


「原初なる雷よ、」

「させるわけねーだろうが!」


俺が再び壁の奥に一瞬で移動してコロシアムの真ん中まで殴り飛ばす。

もはや勝負にもならない、一方的な殺し合い。

俺は壁からゆっくりと真ん中まで飛ばしたネリーに向かっていく。

 

「うっ、くっ!」


ボロボロになったネリーが、辛そうにしながらも立ち上がる。

(とど)めまであと少しの状態だった。

ネリーを殺すと決めたのに、さっきから痛め付けたネリーを見ていると心が辛い。

今まで優しかったネリーの記憶が頭にちらついている。


「ネリー、最初から僕を殺すために近づいたのか。」

「えぇ、そうですよ、すべてはムネモシュネ様のために。私はあの方に育てられ、私の命はムネモシュネ様のためにあります。」

「なら何故!!」

 

急に後ろから殺気を感じて、慌てて飛び上がった。

空中を回転しながら確認すると・・・。

背後から姉ちゃんが俺に剣を横に振りかぶっていた。

何故!!姉ちゃんが俺に攻撃するんだ。

2人から距離を取って着地した。

 

「姉ちゃん何で俺を攻撃するんだ!」

「姉ちゃん?何を言っているのですか?氷の魔神ちゃん。」

 

俺がわかってない!!!!

いったいどういうことなんだ!!

 

「ネリーちゃん、一旦退きましょう。」

「分かりました、ナツキさん。」

「ま、待て!!」

「はぁ!《インパクトスラッシュ》」


 

姉ちゃんが地面に剣をぶち当てた瞬間砂が舞い上がり、目の前に砂が迫ってくる。

「くそ!」すぐに地面に手を付き、氷の壁を想像して作り、砂を防いだ。

魔法を解いて、前を見たが二人の姿はすでに消えて無くなっていた。

あーーーもう、訳がわからないことだらけだ。

考えても仕方がない。


俺はジンの方に近づいていった。

魔法を解いて、ジンの様子を確認する。

お腹に乗っていた、ドラが俺の方に飛び付き頭に乗って来た。

 

「うっ。」ジンがうめきながら目を開けて、一瞬で立ち上がり刀を構えて、俺を斬りかかろうとした。

慌てて避けようとしたが間に合わない!衝撃が来るのを覚悟して魔力を高める。

・・・だが、俺に当たる直前で刀が止まった。

 

「み、ミツキ君か!」

「びっくりさせるなよ、大丈夫かジン。」

「申し訳ありません。私は確かアリッサ君に背中を刺されたはず!ミツキ君が助けてくれたのですか?」

「あぁ、俺じゃなくドラがだけどな。」

「ありがとうございました。」


ジンが俺に頭を下げてきた。

そして周りを見渡して、倒れているアリッサの姿を見て再び俺に視線を戻した。


「ネリー君とナツキ君はどうしました?」

「戦ったが逃げられた、あれはいったい何が起きてるんだジン!」

「どうやら、魔族側の敵に操られているようですね。

こちらがだいぶ劣勢な状態です。」

「それじゃぁ、ネリーは敵じゃなかったのか!」

「えぇ、その可能性は高いですね。

まさにフェンリルが殺されたときの状況に似ているのですよ。」


そうだったのか、俺は危うくネリーを殺してしまうとこだったのか!

むしろ姉ちゃんに助けられたのか。


「私達もそろそろ戦う準備を整えなくては行けませんね。それに敵の情報はアリッサ君が知っているでしょう。」

「あぁ、そうだな。」

 

俺とジンは倒れているアリッサに近づき、ジンが担いで学校の方にへと向かっていった。


治療室にアリッサを寝かせて、起きるまでジンと話をしていた。

 

「取り敢えず、水の魔神は回収した。

そこで魔族のベルフェゴールと言う奴と戦ったが、相討ちで倒せなかった。」

「ベルフェゴールですか、向こうのわかっている敵はたったの2人、ムネモシュネとベルフェゴール。

あちらの戦力がわからない時点でかなりまずい状況です。」

「どうする、このままじゃぁ、いづれ魔神が殺られるのは時間の問題じゃないのか?」

「えぇ、ですから少しでも情報を集めるために、アリッサ君に聞かないといけないのですよ。」


そうしているうちに、アリッサが目を開けて、起き上がり俺達を見て顔を(うつむ)かせた。


「話してもらうよ、アリッサ君。」

「ジン様、すみませんもう私はもう終わりです、殺してください。」

「何故、君のような真面目な人が魔族の仲間なんかに、アリッサ君もまさか誰かを操られているのですか?」

「・・・・。」

 

アリッサは口を固く閉じて、しゃべらない。

しゃべらない、と言うことはきっとそう言うことなのだろう。

 

「アリッサ君、話してもらえなければ、このままでは皆死んでしまうのですよ。」

「・・・・。」

「そうですか。ならもう、勝手にしてください。

何処にでも好きなとこに行って下さい。

もし、次に私を狙いに来るのなら貴方を敵と見なします。その時は覚悟しておいてください。」

 

ジンがアリッサから離れて、治療室から出ていこうとする。

 

「おい!、ジン聞き出さないとヤバイんじゃ無いのかよ。」


俺はジンに向かって、叫んだが無視して、そのまま出ていった。

俺はアリッサに向き直って問いただす。

 

「何故、ジンを刺したんだ!」

「・・・。」


俺は流石にキレた。

 

「お前、いい加減にしろよ!!!!」

 

俺はアリッサの胸ぐらを掴みかかった。


「お前が1人の問題じゃねーんだよ。

すでに、みんなの命がかかってんだよ。

そんなときに1人でうなだれて、不貞腐れてんじゃねーよ、馬鹿にしてんのか!!!」

「じゃぁ、私にどうしろって言うんですか!!!!

力のない私に、どうやって魔族に立ち向かえばいいんですか!!!

操られた妹をどうやって助けたらいいんですか!!」


泣きながら、俺に向かって叫びだした。


「だったら、強いやつに頼れば良かっただろうが、お前の近くにジンがいたんじゃねーのかよ。

敵の言うことにしたがって、最後に裏切られるのは、わかるだろうが!」

「そこまで言うなら私の妹を助けてくださよ!!!!

貴方に力があるのなら私に見せてくださいよ!!!」

「なら敵の情報を教えろよ、俺が潰してやる、俺の仲間に手を出した馬鹿をこの手で潰してやる!!!」

 

俺はアリッサに向かって、言い返した。

そして手を離してアリッサの言葉を待った。


「・・・、もしジン様にを殺したときは、連絡をして取引をするはずでした。妹は転移魔法を使えるのでそれで移動するつもりだと思います。

ですが、ムネモシュネの部下は何処に潜んでいるかわかりません。もうすでにばれているかもしれません。」

「何処で連絡をするんだ案内しろ。」


アリッサは考えていたが、やがて頷き

ベッドから立ち上がった。

アリッサに連れられて治療室から出て廊下を歩き、荒れ果てた中庭を抜けて大きな建物の教員宿舎(きょういんしゅくしゃ)の所に連れてこられ、アリッサ部屋に通された。

特にこれといった物はなく、生活に必要最低限の物が置いてあった。

壁の方に本棚が3つ並んでいる。

そして、アリッサが本棚に近づき本棚から3冊抜き、奥に手を伸ばして、何かを押した。

『カチッ』と音がしたとたん本棚が奥に入りスライドした。

すごい、こんな仕掛けが部屋にあったとは。

壁の奥にバスケットボールほどの、水晶玉が台の上に置いてあった


「これが〔通信水晶(つうしんすいしょう)〕です。これに魔力を込めると通信が出来ます。」

「俺が話すから、見えないとこに下がってろ。」


アリッサが頷いて後ろに下がった。

俺は水晶玉に手をだして魔力を込めた。

すると水晶玉の中に煙が出来て、次第に部屋の映像が映った。何処だここは。

すると目の前に、着物を来た女性が現れた、頭に角が生えているところを見ると魔族か、そしてこいつがムネモシュネか!

 

「お前は、アリッサではないな誰じゃ!!」

「お前がムネモシュネか、僕がお前が殺したがっている氷の魔神だ。アリッサは殺したよ残念だったな。」

 

俺は冷たい目でムネモシュネを見つめた。


「ちっ、しくじったのかあのクズは、まぁ良い、で初めましてかの、憎き魔神よ。」

「さんざん卑怯な手を使ってるようだな、殺してに行ってやるよ。」

「はっ、何とでも言うがよい、所詮負け犬の遠吠えよ。」

「いいのか?俺を殺すチャンスがくるんだぞ?お前もそろそろ僕を殺せなくて魔王に殺されんじゃねーのか?うん?

あ!そうか、ムネモシュネは弱いから自分じゃ戦えないのかごめん、無理だね、雑魚魔族だしね。」


俺はわざと挑発して怒りを煽る。

するとムネモシュネが怒りの表情を浮かべて俺を睨み付けてきた。

は、挑発に乗ったか。

 

「いいじゃろう、妾が全力でお前を殺してくれるわ!!!!嘆きの洞窟まで来るがいい!!」

 

と言って、ムネモシュネが水晶玉を殴り付けて割った。

はっ、所詮は煽られたら、あんなもんか。


俺は後ろにいたアリッサに向き直った。

 

「嘆きの洞窟って何処だ?」

「そこは、ミツキさんが死んでいた場所ですよ。」

「わかった、行ってくる。

ベッドにでも寝て待ってろ、すべて片付けてやる。」

 

俺はアリッサを部屋に残して、外に向かった。

嘆きの洞窟に行く前にジンのとこに向かうか。

俺は校長室に向かっていった。


「ジン、いるか?」

 

ドアを開けて中に入ると、部屋が散らかり物やら紙やら色々な物が散乱して更に壁には穴が空いていた。

ひでーな、この部屋。

執務机の椅子に座って、机に肘を付き、何かを考えていた。

 

「ジン、ちょっとだけ学校を出る。

アリッサが話してくれたから、何とかムネモシュネを引っ張り出せたよ。」

「それは本当ですか!!!」


ジンが椅子から立ち上がり机に身を乗り出した。


「流石にこいつは俺は殺さないと気がすまないからな、このままこの世界にこいつが居続けるなら害が大きい早めに殺すべきだ。」

「それなら私も行きましょう、私も教え子をこんなめに会わせた奴を、そのままにしておくわけにはいきませんからね。」

「嘆きの洞窟にいるそうだ、何故あそこで俺を殺したがるのかはわからないがな。」

「フェンリルが亡くなっていた場所ですか。

わかりました行きましょう。」


俺とジンはムネモシュネを殺すために、学校の外にへと向かった。

学校の外にでて、すぐさまグリフォンを召喚する。


「来い、《グリフォン》!」


魔方陣からグリフォンが姿を現して、俺の方を向いた。


「今度は何処にいきたいんや?ご主人。」

「飛びながら指示する。ジン乗ってくれ!」


俺とジンはグリフォンの背中に乗って、大空へと飛び立った。


「ジン、嘆きの洞窟は何処にあるんだ?」

「エンヒィールド王国に行かないといけない、だから南西に向かって飛ぶんだ。」


と言って指差して方向を示した。


「任せとき!!」

「急げグリフォン、今回は本気で飛べ魔力はいくらでも使え!!」

「ほんじゃぁ、しっかりと捕まっとれや!!!」


俺の魔力を使い、グリフォンがものすごいスピードで進んで行く。

あっと言う間に、街とダイヤル街を越えて海に出た。

しばらく海を進んでいると、大陸が見えてきた。


「あれがフォレスト地方の大陸です。

今見えている城に向かって、飛んでください。」

「了解したで!!」


グリフォンが高度を上げて大陸にへと向かっていく。

そして懐かしい、リーフ街の港を越えて、エンヒィールド王国の街の上を飛んでいた。


「あそこに見える森に向かってください。」

 

再びジンが指示を出して誘導する。

今となっては懐かしい、そんなに時もたっていないのだが。


「あの森のなかにある岩山を目指してください。あそこの(ふもと)が洞窟の入り口です。」

「わかった、俺はここで降りるから、グリフォンお前はジンの指示に従え。」

 

俺はグリフォンから降りて森の中に着地した。

ここは俺が一番最初に来た場所。

俺は魔力を練り上げながら森のなかを走って洞窟へと向かっていった。


「待ってろよ、くそ野郎が必ず俺が殺してやるからな!」

 




現キャラ最強コンビ結成や!!!

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