14、ミツキVSジン
14話です。
俺は今、まどろみの中にいた。
ふかふかのベッドに横たわっている。船の上のあの固いベッドとは雲泥の差だ。体が沈むような柔らかさで、このままずっとここにいたくなる。
しかも……何かに抱きしめられているような心地よさ。
顔に柔らかいものが押し当てられていて、甘い香りまでしてくる。
あまりの心地よさに、しばらくそのまま流されていたが――ふと我に返った。
(……あれ? そういや、俺いつの間にベッドに寝たんだっけ?)
昨日の記憶を辿る。そうだ、お風呂に入って……そのまま眠くなって……。
――まさか。
ゆっくりと目を開ける。
そこには、ネリーの裸が全面に広がっていた。
「……う、うわっ!」
思わず声が漏れて、ベッドから跳ね起きた。
なんでネリーが裸!? 夜は裸族だったんですか!?
そして俺も案の定、裸。
うん……なんかもう色々ありすぎて、自分が裸でいることにすら驚かなくなってきた。
慣れって怖いな。いや、恥ずかしいけど!
俺の動きで目が覚めたのか、ネリーがまぶたを擦りながらゆっくりと起き上がる。
「……どうしたんですか、ミツキさん?」
シーツが滑り落ちて、胸が――。
「ちょっ、ネリー! 見えてる見えてるから! 隠して!」
慌てて顔を背ける俺。
「え? 何を恥ずかしがってるんですか? 女の子同士じゃないですか」
……いや、言うことは正しいんだけど!
俺は元・男だから無理なんだって!
「そ、それより服! 俺の服どこ行った!?」
「服? あぁ、それなら私のトランクに入ってますよ」
そう言ってネリーが空中からマジックトランクを出す。中から俺の服を取り出して渡してくれた。
急いで着替え、支度を終える。やっと肌色地獄から解放された……。
壁にかかった古時計を見ると、針は8時を指していた。
試験は10時から。あと2時間――朝食をとるにはちょうどいい。
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下の食堂は人であふれていた。
今日試験を受ける子たちだろう、同じくらいの年齢の少年少女たちがざわざわと談笑しながら食事をとっている。
空席を探していると、ちょうど食べ終わった二人組が席を立った。
(ラッキー、今日ついてるな)
すかさず席を取り、ネリーにメニューを読んでもらって同じものを注文する。
出てきた朝食は、野菜と肉と卵が挟まれた分厚いサンドイッチに、黄色いスープ。
(……パン派の俺としては大正解だな)
手でつかみ、口いっぱいにかぶりつく。うん、うまい。思わず一気に食べ終えてしまった。
ネリーを見ると、微笑みながらこちらをじっと見ている。
「ネリーは食べないの? 美味しいよ」
「全部は入りませんから、半分差し上げますね」
ナプキンで丁寧に切ったサンドイッチを、俺の皿に移してくれる。
ありがたくもらい、再びかぶりついた。
……その間もネリーは、スープを口に運びながらずっと俺を眺めていた。
(お腹でも痛いのかな? それとも……いや、考えるのやめよう)
食事を終えた俺たちは、いよいよ学校の正門へと向かった。
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空は晴れ渡り、試験日和といえるだろう。
……まあ、俺が受かるかどうかは分からないけどな。
門の前にはまた長蛇の列。
最近は並んでばかりで、いい加減うんざりだ。
「はい、次の方」
ようやく自分の番が回ってきた。
ポケットからコインを取り出して受付の女性に渡す。
「はい、確認しました。ではこちらが受験票です。そのまま中にどうぞ」
手渡されたのは、512番と書かれた緑の紙。
(512番……ってことは、俺の前にもう511人? いったい何人受けるんだこの学校……)
中に入ると、広い廊下と高い天井に圧倒される。まるで城そのものだ。
遅れてきたネリーの番号は513。やっぱり続き番号だった。
人の流れに従い、大広間に入る。奥には舞台のように高く設けられた場所があり、そこに教師らしき人物が立っていた。
受験生たちはざわつき、不安げに震える者もいれば、余裕の笑みを浮かべる者もいる。
俺も今さらながら緊張してきた。
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「それでは試験を開始します。皆さん、受験票を破ってください」
……破るの? 普通は提出するんじゃないの?
と疑問に思いつつも、言われた通りに破る。
すると――視界がぐらりと歪んだ。
(うっ……な、なんだこれ……)
目の前がぐるぐる回り、気持ち悪さに膝をつきかける。
だが数秒後、視界が戻ったとき、そこは広大な闘技場だった。
「すげ……ワープした……。流石、魔法の世界」
感心していると、目の前に人影。
「え……ジン!?」
そこに立っていたのは、白スーツのイケメン――ジンだった。
「では今から試験を開始します。方法は一騎打ち。どちらかが倒れると自動で戻ります。安心してください」
「いやいや、ちょっと! ジン、どうしてここに――」
「5、4、3、2、1……0。スタートです」
スルー!? 説明求む!!
だが俺の抗議など無視して、ジンは右手に剣を出現させ、そのまま自然体で襲いかかってきた。
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(速っ!!)
いきなり頭上から振り下ろされる斬撃。
かろうじて剣筋を見切り、氷の剣を作り出して横に跳ぶ。
「っぶねぇぇ!! 開幕から殺る気満々かよ!」
続けざまに横薙ぎの一撃。
俺は氷剣で受け止め、火花を散らしながら弾いた。
反撃に斬り込むが、ジンは軽やかにジャンプしてかわし、空振り。
お互い距離を取り、睨み合う。
(小手調べって感じだな……。向こう、本気出してねぇ)
なら、こっちから行かせてもらう!
俺は両手を掲げ、ジンの周囲に巨大な氷柱を次々と生成。
逃げ場を封じ、頭上には巨大な氷塊を形成。
「死ねぇぇ!!」
振り下ろす動作と同時に、氷塊が落下。氷柱ごとジンを押し潰す。
轟音と共に粉塵が舞い上がった。
(……やったか!?)
だが、砕け散る氷の中からジンが飛び出してきた。無傷で。
「はっ!? いやいや、おかしいだろこれ!?」
空中で風の刃を三つ放つジン。
俺は慌てて分厚い氷壁を出現させる。
ザシュッ、ザシュッ!
鋭い風刃が壁を切り裂き、ヒビを入れる。
(あっぶね……あと少しで貫通してた……!)
なら――こっちも全力だ!
俺は半円状に氷槍を展開し、両手を閉じる動作で一斉に突進させる。
だがジンの背後に突風が巻き起こり、中心に竜巻が形成された。
俺の氷槍はすべて吹き飛ばされ、ジンは涼しい顔のまま竜巻を消す。
「……いやいや、おかしいから! 学生相手にそれはねぇだろ!」
俺は怒鳴りながら氷柱を地面から突き出し、ジンを空中に弾き飛ばす。
すかさず空中に氷ブロックを作り、上下から挟み込んだ。
ガンッ! 鈍い音と共に閉じる氷。
(よし、これなら!)
だが――ザンッ!と一閃。氷は砕け、ジンが飛び出す。
「ならば……これでどうだッ!」
頭上に再び氷塊を作り出し、背後からジンにぶつける!
そのまま地面に叩きつけ、衝撃で砂煙が舞い上がった。
「……どうだ。今度こそやっただろ」
静寂の中、氷塊にヒビが入る。
ピシ……ピシ……バリィィンッ!
砕け散る氷。
ジンはやはり無傷だった。服に土埃がついた程度。
(……はい、これ無理ゲーですね。よくある“負けイベント”ってやつですね、分かります)
そう内心で悪態をついた瞬間――。
ジンの姿が消えた。
「え……どこ――」
首筋に衝撃。
次の瞬間、俺の視界は真っ暗に閉ざされた。
ジンが現れた
・たたかう
・とくぎ
→まほう
・アイテム
・逃げる
ミツキの氷の魔法、しかし攻撃は外れてしまった
ジンの攻撃、9999のダメージ
ミツキは目の前が真っ暗になった。




