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改変

長らく間が空いてしまいました。

読みにくかったらすみません。

瑠璃の様子がおかしかった。

多分、夢のせいだろう。

夢は改変されたはずだ。

なぜなら、力の半分以上を使ってまであいつは瑠璃を救う道を選んだのだから。

あの影だけは力が通用しない。でも、これから起きる運命を捻じ曲げることはできる。

それをやってのけた。

そのせいで、あいつは当分表に出てこれない。

あいつは瑠璃の夢に干渉した。

それは、瑠璃を救う代わりに自分が食われるということ。

それをわかっていながら、あいつはやった。

あいつ自身の人格が消えるかもしれないっていうのにやりやがった。

「・・・胸糞わりぃ」

御子神は苦虫を噛み潰したような顔をする。

夢は改変され、起きる運命は変わった。

だけど、瑠璃はその改変された夢について何も話さなかった。

何もなかった、と言った。

瑠璃のことだ。

最後まで話す気はないのだろう。

そして、改変された夢を元に戻そうとする。

御子神が瑠璃を護るために改変した夢を、瑠璃が御子神を護るために改変しなおそうとする。

御子神が食われる未来を、自分が食われる未来に戻そうとする。

それを瑠璃はやろうとしている。

本当ならそれを阻止しなければいけない。

だが、俺には阻止する術がわからない。

俺に出来るのは壊すことだけ。

守る術はわからない。わかるのはあいつだけ。

「何であいつは自分で護ろうとしないんだ。俺は壊すことしかできねえの知ってるくせに」

頭の中でもう一人の御子神に話しかける。

しかし、応答はない。

「クソッ!」

床をドンと叩く。

瑠璃がやろうとしていることを阻止しなければならない。

瑠璃を護らなければならない。

改変された夢の通りになるようにしなければ。

今までの守護者たちのようになんか絶対にさせない。

「……お前が、戻ってくるまで命賭けてあいつを護ってやるよ」

もう一人の御子神が答えないことはわかっている。だから自分自身を奮い立たせるために言葉にする。

御子神の目は揺るがない。


「?」

瑠璃が不思議そうに御子神の部屋の方を見る。

何か床を叩くような音がした。

「どうせ何か物でも落としたんでしょ」

綾が呆れたように言う。

「ところで、大丈夫?」

「何がですか?」

「何がって御子神のことよ。だって、あいつ今は違う方のでしょ?」

「ああ。大丈夫ですよ。今の御子神さんは態度こそ悪いですけど、根はそこまで悪い方じゃないですから」

笑って言えば、綾は安心したように顔を緩ませた。

「ならよかった」

「はい」

二人で笑いあう。

緊張した状況の中の束の間の和やかな時間だった。

「おい」

二人が顔を上げると、眉間に皺を寄せた御子神が立っていた。

「いつまでいやがるんだ」

「あら。私の勝手でしょ。あなたに関係ないと思うけど」

綾がそう言うと、御子神の眉間の皺が深くなった。

「チッ……。チビが」

御子神が小さく呟いた。

「なんですって?」

綾の耳には届いたようだ。

顔を険しくさせながら、綾は立ち上がる。

「聞き捨てならない言葉が聞こえたんだけど?」

「あ?」

「ちょ……」

「事実だろうが」

「なんですって! あなたに言われたくないわ。図体ばっかりでかくて中身が子供のあなたにだけは!」

「あ!?」

御子神と綾が睨みあう。

その間で瑠璃がわたわたとしている。

「すみませーん」

店先に女性がひょっこりと顔をのぞかせていた。

瑠璃はそれを見た瞬間、

「ぐっ」

「いたっ」

御子神を殴り、綾にはぺしんと頭を叩くことで喧嘩を強制終了させた。

「いらっしゃいませ! どうぞご覧ください!」

痛がる二人を押しのけて、瑠璃が笑顔でお客さんのもとへと行く。

瑠璃はお客対応をしている。

残された御子神と綾は叩かれたところをさすりながら、瑠璃を見る。

「……あんた。ちゃんとあの子のこと護りなさいよ」

「……言われなくても」

綾が御子神を見ると、諦めたような複雑な表情をしていた。

「なら、いいわ」

綾はゆっくりと立ち上がると、庭の方へと歩いていく。

それを横目で見送りながら、御子神は小さくクソガキと呟いた。

綾が帰り、目線を瑠璃へと戻す。満面の笑みでお客と話をしていた。

あの笑みは護らないといけない。

それは御子神二人の総意だ。

「…影なんざに食わせてやるかよ」

御子神の中で力が膨れ上がった。

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