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剣の世界〜とある村の一日〜  作者: なえみ
キャラバン編

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14/58

第五節 宿泊地 購入

午後。


さあ。

今度は買う番だ。


昨日の担当者さんからもらった紙を手に、紹介してもらったお店を回る。


――その前に。

わたしには、一軒だけ先に行きたいところがあった。


洋品店。

昨日、販売所へ来てくれたお客さんが着ていた服。

今朝も、同じような服を着ている人を見かけた。


形がちょっと違う。

色の合わせ方も面白い。

わたし達の村ではあまり見かけない作り。


気になって。

気になって。

とうとう着ていた人に、

「それ、どこで買ったんですか?」

って聞いてしまった。


教えてもらったのが、このお店。


「こんにちはー!」

扉を開けて声をかける。

少しして、奥から声が返ってきた。

「はーい! いらっしゃいませ!」


出てきたのは若い女の人。

わたしより少し年上かな。


「実は……」

わたしは事情を話した。

キャラバンで来たこと。

この村で販売をしていること。


昨日、お客さんの着ていた服を見たこと。

今朝も同じような服を見かけて、気になってお店を聞いたこと。


女の人は、

「うんうん」

と何度も頷きながら聞いてくれる。

「それで、よろしければ――」


ちょっと姿勢を正す。

「この服を作った方をご紹介していただければと思いまして」

「なるほど!」

女の人がぱっと笑った。


「いいですよ」

「ありがとうございます!」

「わたしですから!」

「え?」

……ん?


「わたしより少し年上かな」

なんて思っていた人を、じっと見る。


「あなたが?」

「はい!」

女の人はちょっと胸を張る。


「ここで売ってるのは、全部わたしが縫った物です」

「全部?」

店の中を見る。


上着。

シャツ。

スカート。

ズボン。

色も形も少しずつ違う。


これ。

全部?


「あの!」

「はい?」

「お洋服売ってください!」

「はい?」

「あ」


違う。

いや、違わないけど。


「いやいや。わたしが着るんじゃなくて」

「はい?」

「交易品として購入したいんです」

「……は?」


女の人の顔が止まった。


「わたしに、お洋服を卸していただけませんか?」

「わたしの洋服を?」

「はい」

「……え?」


少し間があって。


「えーーーーー?!」

「えーーーー! ですよ!」


わたしも笑ってしまう。


「だって、そんな……在庫なんて無いですよ!」

「大丈夫です」

「え?」

「わたし達、帰りにもこの村へ寄りますから」


そう。

ここは帰路でも立ち寄る村。


「それまでに作っていただければ」

「……ほんとですか?」

「ほんとですよ!」


女の人の目が大きくなる。

なんか。

ふるふるしてる。


「お願いします!」

わたしが頭を下げる。


女の人はしばらくわたしを見ていた。

そして、

「ふう……」

大きく息を吐いた。


「夢じゃない?」

「はい」


思わず笑う。

女の人も笑った。


「ありがとうございます!」

「こちらこそです!」


こうして。

わたしの初めての買い付けが決まった。


「では、まずはこのくらいの数で」


紙に書きながら相談する。

種類。

大きさ。

色。

帰りまでに無理なく作れる数。


そして――

「額は、これくらいで」

わたしが数字を書く。


「……」


女の人が紙を見る。

もう一度見る。


そして。

「?!」

顔を上げた。


「こんなに?!」

「はい」

「いやいやいや! 半分くらいで出来ますよ!」

「え?」

「材料と手間を考えても、そんなには……」


「でも」

わたしは店の中に並んでいる服を見る。


縫い目。

形。

布の合わせ方。

昨日見たお客さんの服。

今日見た人の服。


たぶん。

これは売れる。


「これは、わたしがこの服に付けた値段です」

「でも……」

「これでも充分売れると思ってます」


女の人が困ったようにわたしを見る。


「そんなにいただいていいんですか?」

「はい」


少しだけ考えて。

言う。

「自分を安売りしないでください」

「……」

「いい物なんですから」


女の人が自分の作った服を見る。

それから、また紙を見る。


「……いいんですか?」

「もちろん」


しばらく迷って。

ゆっくり頷いた。


「では……これで」


そして小さな声で、

「ほんとに夢じゃない……」


わたしは笑う。

「はい」

夢じゃないですよ。


こうして。

売るだけだったわたしは初めて、

自分で見つけた品物を。

自分で値段を決めて。

自分で買った。

――初めての買い付け。


なんか。

商売してるって感じがする。


さあ。

次は、担当者さんから紹介してもらったお店。

紙を見る。

「革加工職人さん……」

よし。

行ってみよう。


「こんにちはー!」

「はーい、いらっしゃいませ」

店の奥から、穏やかな声が返ってくる。


「あのー」

「ああ」

出てきた店主さんが、わたしの顔を見て笑った。


「担当者さんが言っていた、キャラバンの方ですね」

「あ、はい」

「すごいやり手の美少女さんが来るから、と聞いてます」

「え?」


――あの人、なんて紹介してるの?!


なんか顔が熱い。

「……ありがとうございます」


とりあえずお礼を言っておく。

店主さんは楽しそうに笑った。


「製品を見に来られたんですよね。どうぞどうぞ」

「よろしくお願いします!」


店の中へ入る。

革製品が、棚に。

カウンターに。

壁にも。

鞄。

帯。

小物入れ。

靴。

道具袋。

いろんな物が並んでいる。

一つ手に取る。

縫い目を見る。

端を見る。

触ってみる。


――まあ、確かに丁寧。

綺麗には作られてる。


でも。

「んー……」

普通かなぁ。

もちろん悪くはない。

むしろいい物だと思う。

でも、わざわざ遠くの村まで運んで売るほど珍しいかと言われると――


ふと、値札を見る。

「……え?」

もう一度見る。


見間違い?

隣の商品を手に取る。


値札。

「……え?」

こっちも?

その隣。

壁。

棚。

カウンター。

次々と値段を見る。


「……安い」

いや。

安いなんてもんじゃない。


店主さんを見る。

ニコニコしている。


「あの」

「はい?」

「値段ですよね?」


店主さんのほうから言われた。


「はい。これ……普通の半額に近いと思うんですが?」

「そうですね。半額まではいきませんが、比較的安価だと思います」

「比較的じゃないですよ!」


思わず声が大きくなる。

店主さんは笑った。


「ありがとうございます」

「?」


何が?


「これはですね」

店主さんが棚の商品を一つ取る。

「この製品達は、再生品なんですよ」


「え?!」

これが?


わたしは手に持っていた商品をもう一度見る。

表。

裏。

横。

斜め。

ひっくり返して。

近づけて。


じーっ。

「……」

分かんない。

どこが再生品?


「ありがとうございます」

また言われた。


いや。

全然分からないことを褒められてる?


「あの!」

「はい。なんでしょう?」

「失礼ですが」


ちょっと迷って。

「うちの革職人を連れてきてもいいですか?」


店主さんは一瞬目を丸くして。

それから、にっこり笑った。


「もちろん。構いませんよ」

「ありがとうございます!」

わたしはお礼もそこそこに店を飛び出した。


広場へ戻る。

キャラバンの革職人さんを捕まえる。


「ちょっと来てください!」

「え? どこへ?」

「すごい革屋さんです!」

「すごい?」

「わたしには何がすごいのか分かりません!」

「……?」

「いいから来てください!」

半ば引っぱるようにして、再び革加工のお店へ。


革職人さんが商品を手に取る。


じっと見る。

裏返す。

縫い目を見る。

革の継ぎ目を指でなぞる。

少し曲げる。

光に透かす。

長い。

長いなぁ。

わたしは横で待つ。


やがて。

「……なるほど」

革職人さんが小さく呟いた。


「分かります?」

「よくよく見れば、分かります」

「やっぱり?」

「ただ」


もう一度商品を見る。

「ぱっと見では、まず気づかないでしょう」

「ですよね!」

よかった。

わたしだけじゃなかった。

「わたし、全然分かりません!」


胸を張ることじゃないけど。


「これ」

わたしは商品を指さす。

「黙って新品ですって売られても、わたし買いますよ」


すると店主さんは、静かに首を横へ振った。

「それでは、この子達に失礼ですから」

「この子達?」

「はい」


店主さんは並んでいる革製品を見る。

「一度役目を終えた革ですが、もう一度手を入れて、また使える物になったんです」


なんだろう。

その言い方。

ちょっと好きかも。


革職人さんが頭を下げる。

「失礼かと思いますが……どのような工程で?」

「そうですね」

店主さんは少し考えた。


「それなら、実際の作業をお見せしながらにしましょうか?」


「いいんですか?」

思わず、わたしのほうが聞いてしまう。


「そんな、すごい事でも秘伝の技でもありませんから」

そう言って笑ってるけど。


いや。

十分すごいと思う。


「でも、わたし何にも買ってないのに……」

すると店主さんがこちらを見る。


「革職人さんを連れて来られたということは」

「はい?」

「わたしの技術を認めてくださった、ということだと思ってます」

「……」


確かに。

わたしの判断では手に負えないと思った。

だから専門家を連れてきた。


「それで充分ですよ」


そう言って、店主さんは革職人さんと話しながら奥へ入っていった。

二人とも、もう楽しそう。


「……」

置いていかれた。


まあ、いいか。

わたしに分からない話になるだろうし。


一人で革加工のお店を出る。


紙を見る。

次は――

「武器屋さん……」


うーん。

これは。

さすがに、わたしじゃないなぁ。


さっきので学んだ。

専門のお店は、専門家。


ということで。

またキャラバンへ戻る。


「御形さーん!」

「ん?」

御形さんがこちらを向く。

「一緒に武器屋さんに行きませんか?」

「武器屋?」

「はい!」


御形さんは少し考えて。


「んー。暇だから付き合おうかな」

「ありがとうございます!」

よし。

これなら安心。


やっぱり。

専門のお店には専門家だよね。


武器屋さんへ到着。

「こんにちはー!」

「はーい、ちょっとお待ちをー!」


奥から声。

少しして、店主さんが出てくる。


「いらっしゃ――」

止まった。


「……」


わたしを見る。

御形さんを見る。

またわたしを見る。


――まあ。

そりゃそうか。


美人と美少女が二人で武器屋に来るなんて、ちょっと珍しいのかもしれない。


「あの?」

「はっ!」


店主さんが我に返る。

「ああ! あなたが、あの美少女!」

「はい?」

「やり手の!」


――また、あの担当者さん!

何言いふらしてるの?!


御形さんが横で、

「ははは」

笑ってる。


「よろしくお願いします……」

「あ、はい! こちらこそ!」

店主さんはまだ少し慌てている。


そして。

御形さんへ目をやった。

「あの、あなたが……」


言葉が止まる。


視線が、御形さんの腰へ。

長刀。

「あの」

「ん?」

「その腰の長刀……見せてもらっても?」

「ああ」


御形さんはあっさり腰から外した。


「どうぞ」


店主さんは両手で受け取る。


ずしり。

「おお……」

横から。

縦から。

鞘。

柄。

金具。

何度も角度を変えて眺める。


「鞘から出しても?」

「どうぞ」

「では……」


店主さんは鯉口側の留め金へ指をかける。


カチッ。

ジャコンッ!

「おおっ!」

鞘の鯉口側。


全体の三分の二ほどを覆っていた左右のカバーが、ばね仕掛けで開く。

刀身の大部分が一気に露出した。

先端側の三分の一ほどだけが、本鞘の中に残っている。


店主さんの目が輝く。

「ほー……なるほど!」

刀身を少し引く。

残っていた先端部分が、するりと本鞘から抜けた。


「これなら、この長さでもそのまま腰から抜けるわけだ」

「そういうこと」

御形さんが答える。


「なるほどなぁ……」

店主さんは開いた鞘をしげしげと見る。


「長い刀だと、普通の鞘では抜き切れない。それなら鞘のほうを開く、と」

「うん」

「しかも、鞘を抜いて捨てなくて済む」

「それが一番大事かな」

御形さんらしい。


捨てたら帰りに困るもんね。


「はー……よく出来ている」

店主さんは感心しきり。


「納刀は?」

「そのまま押し込んで」

御形さんが長刀を受け取る。


先端側を本鞘へ差し込み。

そのまま、ぐっと押し込む。


すると。

開いていた左右のカバーが連動して動き――

カシャン。

ゆっくりと刀身を挟むように閉じていく。

最後に鯉口が固定される。

元通り。


「ほおー……」

店主さんが完全に夢中になってる。


「これはいい物を拝見させていただきました」

「なんなら」

御形さんが笑う。


「もう一人、お見せしましょうか?」


店主さんの顔が上がる。

「もしかして……あの大剣ですか?」


「その通り」

「是非!」

即答。

早い。

御形さんと顔を見合わせる。


「籐吾、呼んでくる?」

「ですね」


ふと。

わたしはさっきの革加工のお店を思い出した。

向こうでは、こちらの革職人さんに惜しげもなく技術を見せてくれている。

そして、ここでは。

わたし達の村の武器を見て、こんなに喜んでくれる人がいる。


物を買う。

物を売る。

それだけじゃないんだ。


技術を見せてもらって。

技術を見せて。


話して。

持ち帰る。


「……」

これで。

さっきの革加工職人さんへのお礼も――

少しくらい出来たかな。


キャラバンへ戻ると――


「あ」

広場に荷物が増えていた。


交易品だ。

昨日の話で、こちらが受け取ることになった品物。


荷車の近くには、あの担当者さんもいる。

わたしに気づくと、

「おーい」

笑いながら手を振ってくる。

わたしも手を上げて振り返した。


「お疲れ様です!」

「ご苦労様です!」

近づいて、にっこり笑う。

担当者さんも、にっこり。


「……」

なんだろう。

今日はなんか、この人にずいぶん踊らされた気がする。


お店を紹介してくれて。

行く先々では、

『やり手の美少女』

なんて紹介されていて。

革加工職人さんのところへ行って。

武器屋さんへ行って。

気がつけば、あっちへこっちへ。


――まあ。

今日は踊らさせていただきましょう。


まずは仕事。

届いた品物を、一つずつ確認して回る。


種類。

数。

状態。


昨日お願いしたものと合っているか。

紙と見比べながら確かめていく。

「これ、よし」


次。

「これも……よし」


数えて。

確認して。

最後の一つまで終わった。


「はい、問題ありません!」

「それはよかった」


確認が終われば、みんなで品物を荷車へ積み込んでいく。


ここで積んだ物は、この先の村で売るもの。

帰り道で売るもの。

そして、わたし達の村まで持って帰るもの。


積む場所を間違えたら大変。

「それは奥です!」

「これは次でも使うので手前に!」

「はい、それはそっちでお願いします!」

次々に積まれていく荷物。


空になったところへ、また新しい品物が入っていく。

なんだか不思議。


昨日まで、わたし達の村の商品がいっぱいだった荷車。

今は、この村の商品が積まれている。


これをまた、次の村へ持っていくんだ。

積み込みがひと段落したところで、担当者さんのところへ行く。


「今回は、良い取引をありがとうございました」

わたしが頭を下げる。

担当者さんも笑った。

「いえいえ。こちらこそ」


そして少し考えて、

「新鮮で、楽しい取引でした」

「ふふ。わたしもです」


本当に。

こんな商売もあるんだ。

お店で野菜を売っているだけじゃ、絶対に分からなかった。


「次は、帰り道にお寄りになると?」

「はい。その予定です」

「それなら」

担当者さんが、にやっと笑った。


なんだ?


「洋品店から聞きましたよ」

「え?」

もう?


「納品もこちらで受け取っておきますので、帰りにお寄りください」

「……」


あ。

あのお姉さんの服。


「ありがとうございます!」


ありがたい。

帰りに直接受け取りに行くつもりだったけど、役場でまとめて預かってくれるならずっと楽になる。


でも――

「ということは」

わたしは担当者さんを見る。

「交易品としてお認めに?」


担当者さんが笑う。

「そう取っていただいて構いません」


「……」

あ。

それ。

わたしが昨日言った言葉。


担当者さんを見る。

担当者さんもわたしを見る。


そして――

にっ。

わたしも、

にっ。

なんか。

この人とは、また商売したいな。


そして翌日。

出発の朝。


荷車の準備も終わった。

牛もよし。

積み荷もよし。

人も――たぶん、よし。


広場には見送りの人達が来てくれている。

あの担当者さん。

革加工職人さん。

武器屋のご主人。


そして。

「菖蒲さん!」

洋品店のお姉さん。

「はい!」

駆け寄る。

「必ず納品日までに間に合わせますから!」

「お願いします!」

「絶対です!」

「無理はしないでくださいね?」

「でも、作ります!」

「ふふ」


手を取り合う。

お姉さんも笑う。

わたしも笑う。

「楽しみにしてます」

「はい!」


初めて。

わたしが自分で見つけて。

自分で値段を決めて。

自分で買った商品。

帰りには、ここにある。


楽しみ。


そして。

もう一組。

キャラバン隊の最後尾。

荷車の後ろ。


「……」

萱さん。

宿屋の赤毛の娘さんと向かい合っている。

二人で手を取り合って。

何か話してる。

娘さんが笑う。

萱さんも笑う。

「……」

――いい感じですねー。


ふふふ。

何を話してるのかなぁ。

ちょっと聞きたい。

いや。

すごく聞きたい。


でも、さすがに邪魔するのはやめておこう。


「みんな乗ったかあー!」

リーダーさんの声。

「はーい!」

みんなが次々と荷車へ乗り込んでいく。


「あー……萱がまだ!」

「萱! 早く乗れ!」

「はい!」

萱さんが慌てる。

娘さんの手を離して。

何か最後に言って。

こっちへ走ってくる。


「遅いぞ!」

「すみません!」

みんな笑ってる。

萱さんだけ、ちょっと顔が赤い。


――ふーん。

わたしも自分の荷車へ乗り込む。


「よいしょっと」

座って。

振り返る。


「出発します!」

ゴト。

ゴト。

ゴト。

荷車が動き始める。


一台。

また一台。

ゆっくりと広場を離れていく。


担当者さんが手を振っている。

革加工職人さんも。

武器屋のご主人も。

洋品店のお姉さんも。

宿屋の女将さんも。

そして。

赤毛の娘さんも。

みんな、手を振って見送ってくれる。


わたしも大きく手を振る。

「ありがとうございましたー!」


だんだん遠くなる。

宿屋。

広場。

人達。

家々。


そして。

大きな木の門をくぐる。


村の外へ。

最初の宿泊地。


初めてのよその村。

初めての交渉。

初めての販売。

初めての買い付け。

たくさん売った。

たくさん買った。

いろんな人と知り合った。

いろんなものを見た。


遠ざかっていく木の壁を振り返る。

ここには、帰り道でもう一度来る。


その時には。

あのお姉さんの服が出来ている。

革職人さんは何か覚えて帰るのかな。

武器屋さんとも、もっと話が出来るかもしれない。


ふふ。

帰りも楽しみだ。


ゴト。

ゴト。

ゴト。


荷車は乾いた道を進んでいく。


最初の村。

よかった。

――無事に終わりました。

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