表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
46/54

46話

夏休みが、始まった。

朝から蝉の声がうるさくて、カーテンの隙間から差し込む光が、やけに眩しい。


「……夏休みかぁ」


カレンダーを見上げて、私は小さく呟いた。

赤い丸が、ひとつだけ付いている。

去年のこの日を私は覚えている。


『めごたん……来年はさ。今年の分も、夏休みしよ』


そう言ってくれた累くんの顔を声を……私は忘れるわけがない。

夏休みが何もなく終わってしまう私を気にかけて、一緒にコンビニでアイスを食べて、約束げんまんをした日。

私は、その約束をちゃんと覚えてる。


でも……


ふと、回りを見渡す。

リビングは静かだった。

朝ごはんの匂いもしないし、テレビもついていない。

今日も、累くんはいない。

分かってる。

夏休みだからって、仕事が休みになるわけじゃない。

むしろ、累くんにとっては、一番忙しい季節だ。

私はカレンダーの赤い丸を、指でなぞった。


「……楽しい夏休み、だよね」


誰に言うでもなく、もう一度だけ、そう呟く。


その約束が、ちゃんと守られるかどうかなんて、まだ分からない。

けれど、少なくとも私は今年の夏を、お兄ちゃんの約束を、少しだけ信じてみようと思った。


ーその時。

私のスマホの通知が鳴った。


〈明日から、予定空けててね〉


突然の累くんからのメッセージだった。


「……明日から?」


急な申し出に、私は一瞬だけ驚いた。

本当に怖いくらい、妹の気持ちが分かるんだね……。

胸の奥が少しだけ、暖かくなる。

そして、私はそのメッセージに、

〈りょうかい!〉

と書かれた、かわいいクマちゃんのスタンプを送った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ