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「それなら魅了にかからないようにしようぜ!」  作者: イチイ アキラ


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57/62

57 そして輝く魔法印文。

「そうだね。気がついて今の人生を大切にしてくれる「主人公」さんたちだと良いんだけど……」

 触らぬ神になんとやら。リィナも話題をさっさと進めることにした。彼ら高位貴族男児が受けているという……淫紋であると聞いた途端に彼女も吹き出した、アレ。

「それなら、お聞きした対策……えと、魔法印文とかで対策できているし、大丈夫なんじゃあないですか?」


 説明を聞いたらちょっとばかり赤面する魔法印文であったが。

 たとえ中の人がすでに三十路であろうとも。


「高位貴族の皆さんが、そういうものを受けているとは知りませんでした」

 男爵家であり、もともとは平民の彼女は知らなかったことだった。

 そしてそれはメルヴィンたちの計画のうちだ。

「そう、「主人公」さんたちには知られないようにしてあるので」

 きっと同じように下位貴族の令嬢たちは知らないだろう。

 むしろ、あえて、だ。

 高位貴族の男子がいるお家にはかねてから周知してあるが、ワクチンのように受けるか受けないかは各ご家庭におまかせしてあるが。

 そう、魅了対策をするかどうかは。

「それでも魅了とか……美人局とかにかかるなら、そのお家の問題で」

 けれども実は周知の中に、とあることも含んで。高位貴族たちは察し良く。

 それは下位貴族にはまだ(・・)、この魔法印文を教えないように、だ。

 とくに男爵位の家々には。

 「主人公」の家となる可能性のところには。


 魅了対策をしてあるとはいえ、もしも「主人公」がこの魔法印文を知ってしまい、超える方法を取ってきたら?


 メルヴィンが前世の知識でこのように対策したとして。

 もしも「主人公」がメルヴィンの想定以上の魅了方法なり、もっていたとしたら。

 前世の知識。

 メルヴィン自身はプレイしていないゲーム内容を熟知している存在がいるかもしれない。いや、リィナの報告でいることは確信された。


 そして恐ろしい――強制力。


「……だから、二周目目当ての人たちは放っておきます」

 彼女らはそのゲーム内容を熟知している存在だ。メルヴィンやリィナ以上に。

「本当なら味方になってくれたら……」

 リィナのように。

 いや、こうしてみたらリィナは実に得難い存在であると、人となりを知った今のメルヴィンには感謝しかない。

「ゲーム内容を熟知している人たちって、つまりはオーレリアを悪役令嬢にって人たちでもあるんだよな……」

「私みたいにオーレリア様好きがいたら良いんですけれど……」

「うーん……」

 いるかなぁ、というのが正直な感想だ。

 ゲーム中のオーレリアは、悪役令嬢だ。

 定番の、別に高笑いしたり取り巻きに。虐めをさせるようなものではなく、「主人公」と競い合うタイプの。

「いやむしろ乙女ゲームのライバル役令嬢って、そういう存在だったらしいんですけれどね」

 けれども流行りに乗ったのか、後半からは恋愛要素が強くなり、攻略対象たちと彼女の対決も起こり始める。

 その対決とは、例えばレオナルドが相手ならば婚約者としての立ち場から。メルヴィンならば妹としての立ち場から。

 親しい存在が男爵令嬢に堕ちていくのを、そりゃあ止めるのが普通だろう。それを悪役令嬢と言われてしまうのは嫌なところだ。


「そういえば商人のとか、いなくなってるんだよね……」


 彼らの場合はどうだったか。自分でプレイしていなかったメルヴィンは首を傾げる。リィナも同じく。

 コントローラーをぶん投げた彼女はレオナルドを一応クリアしただけで、ソフトは封印してしまっていた。中古に売りに行くにはパッケージの姫が好きすぎて無理だったらしく。


 ちなみにテオドールは後半からの恋愛ルートで分岐する。

 聖女コースへとパラメーターを振り分けたら、だ。

 ちなみに魔法の方面が高まれば王宮付き魔法使いのジスランも満を持して登場だ。

 そしてルカは……帝国方面でもある。

 後半までにかなりパラメーターを上げたら、彼に餌付け……ではなく、彼の存在を気がつけるほどのスペックを身につけることができたという。それは二周目に入れるという一歩手前な段階でもあり。

「オーレリア様、本当にどこが悪いんですかね……悪役だとぉ……」

 リィナの目がすわっている。

「オーレリア様、お労しい……」

 対決相手としての帝国の血を引く高スペックな存在。

 オーレリアの悪役令嬢としての最大の役割はそこだ。

 最期には冤罪で国外追放となるが。

 その冤罪も様々だが、その国外追放先は帝国に、だ。

 当然だろう。

「悪役令嬢として主人公の前に立ちふさがるけれど、あれ……つまりは悪役令嬢と競い合うためにパラメーターを上げているんだよね」

 高スペックなオーレリアを上回ると恋愛イベントが起きるというわけだ。

「……でも、主人公設定とかであれだけこだわれたら、主人公に感情移入してしまいますよね」

「尊きが過ぎる相手には、人は憧れを持ちますが、感情移入できるかどうか……」

 本当にリィナは得難い存在であった。


 そんな彼女が、ふと気がついた。

「……あの、これ、そんなに面白いゲームだったんですか?」

「流行ったころは流行ったと思いますけど……僕の知る頃はワゴンでセール」

 しかしリメイクはされていたから。


「……流行は無情」

「……本当にそれ」




 はまりにはまって限定版とか買っていたゲームが、時代と共にめっちゃ安く買えるようになったり…。いや、たくさんのひとが遊べるのは、よいこと…うん…

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