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「それなら魅了にかからないようにしようぜ!」  作者: イチイ アキラ


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27/34

27 ご興味ありますともさ!


 秋葉原。

 その明確な――地名。


 とある分類の人間にはたいそう馴染みある地名ながら――この世界にはない地名。


 んんんん?

 メルヴィンが内心で引っかかっても仕方ない。

「今、アキバ……って言った? んんん……うん、言ったよね?」

 しかも彼は明らかに淫紋を理解して口にした。


 ゲームパッケージ、と。


 んんんんんん?

 メルヴィンの唸りが増える。かつておなじようにゲームパッケージが気になって購入したくなったことがあるだけに。

 それとなく見るフリードリヒは帝国の皇子らしく威厳ある佇まいだ。

 黄金の髪に妹と同じく金の混じる橙の瞳。

 さすが満を持して登場する隠しキャラらしく、自分たちの中で一番の美形だと思う。


 どことなく中性的な美貌枠の神官ユベールと王宮付き魔法使いジスラン。ユベールは神秘的で優しげ。ジスランは謎めいた年齢不詳の皮肉気な。彼等は中盤のルートよって分かれるので彼等目当てでルート――進路を決めるプレイヤーもいる。

 爽やか筋肉枠のテオドール。

 可愛らしい美少年枠のジョナサン。

 冷たく怜悧な美貌のメルヴィン。

 そして王道王子枠のレオナルド。


 それらすべてを混ぜ合わせながらすべての上を行く、皇子としての威と美を持つ黄金のフリードリヒ。


 これは確かに、彼を目当てに二周目をやるひともいるのではとメルヴィンは思う。

 攻略本を読んでいたので存在は知ってはいたわけだが……――。


 ――このひと、もしかしたらご同輩? いやさ、むしろご同郷?


 フリードリヒは思わずつぶやいてしまっただけらしく、切り替えて王宮付き魔法使いたちに質問をしている。事前に打ち合わせしておいて良かったと皆が内心で胸をなで下ろし。

 本来フリードリヒは七年後に登場するわけで。現在は十五歳。作中では年上で身分ある存在でもあるのだ。

 「主人公(ヒロイン)」とはまた歳の差があるにはあるが、彼ならば歳の差もまた魅力になるだろう。

 ルカやテオドールも同じ年頃だし、更に年上のジスランとている。年下枠も一人だけ、ジョナサンだけだ。いやそれでも彼も同時入学の数カ月年下というところ。

 このゲームの制作陣は年上好みが集まっていたのだろうか。いや学園に入学してからがスタートだから、年下は設定上無理だったのかしら。

 それとも自分が知らないだけで、ダウンロードキャラとか追加キャラとか、あったのかしらとまたメルヴィンは悩みつつ。

 帝国の皇族は十五歳で公務を任せられるようになる。そのため、今回彼がこの地方の属国を任せられたのだ。

 第三皇子の初公務として、属国の視察はなかなかほどほど、良い落とし所なのだろう。


 そうした難しいお話が終わって。

 政治的にもあれやこれやも終わって。

 王国側がほっとした時だった。


「ところでコーディング公爵子息にお会いしたいのだが?」


 第三皇子のお願いに。

 こちらとしてはどんなことでも応えねばならず。

「……はぁい」

 実ははじめからいました。

 プルプル震えながら手をあけるメルヴィンだ。

 あ、そこにいたの? という目を一瞬した皇子は、思ったより近くにいてこれ幸いと、近寄って。

 メルヴィンにだけ聞こえるよう、小声で。


「白米とかぬか漬けとか、そういうのご興味ねぇかい? あ、わかんなかったら聞かなかったことに――」

「はいはいはい! ご興味、めっちゃあります!」


 それは喉から手が出るほどに。


 ぬか漬けは、昨今の夏の日本では難しいですね。糠床、冷蔵庫に入れっぱなしです。


 今週は…今流行りの、人魚の、映画を観て、きて…赤魚、美味しゅうございました。しるこサンド美味しゅうございました…。

 ちょっと短いけど、察して…。

 たこ焼き…ケバブ…す…け…。

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