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「それなら魅了にかからないようにしようぜ!」  作者: イチイ アキラ


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26 ――んんんん?


 帝国の宮廷魔法使いのお力をお借りした以上は。

 やはり帝国に成果のご報告は必要。


 ならばどなたか偉い人がくるのも当然か。


 その前にあれこれ、「素人質問で恐縮ですが……」と、怖いツッコミきたらどうしようかと皆で再確認だ。


「あ、魅了効果ある薬か何か混ぜられた場合は?」

 ゲームやファンタジーにお約束。

 お菓子作り好きなメルヴィンがそれに気がついた時。

 伸ばすパラメーターには「料理」なども確かあったはず。そして19は「主人公」から食べ物をもらって好感度があがるのだ。

 言い換えれば19を狙うならば「料理」のパラメーターもある程度の数値まで上げる必要があるというわけだ。

 その前に美味い菓子でこちら側に引き入れだが、もしも薬とか使われちゃったらどうしようと。

「いや、それはもう別分野……薬物の分類だから」

 それは王宮付き魔法使いでも違う部所の管轄だと、魔法印文の研究家のアルベルトさんが。ちなみにジスランも本来の専門は違うらしい。彼は魔力の流れなどをみるのが上手い人なのだとか。なるほど。

 けれども帝国の伝説級。ゲルトルーゲには抜かりなく。魔法薬に特化した王宮付き魔法使いもチームにきちんと招いていた。

「魔法印にその手の薬を口にしたときも発熱するようにしてあります」

 摂取時にも。

 それは精神に作用したと魔力が反応するからだそうだ。

「ただし、食べ物を口にして反応したときは、すぐさま発熱したと解毒に来てもらうしかないわ……」

 やはり分野外。それでも判明するだけでもありがたい。

「ようは、知らない人から食べ物もらっちゃ駄目、てわけだから」

 メルヴィンがルカを見ればしっかりと頷かれた。彼はもう大丈夫だ。

「レオナルド聞いてる?」

 心配なのはむしろこいつ。

 なんか最近逞しくなってきてるけど、粗野にもなってないかな? 拾い食いしてないよね?

「もしも発熱したら、すぐに近くの治療院へ」

 それをよくよく、覚えておくこと。決して軽く考えないで。治療院にいる神官に解毒を頼むこと。その際に可能ならば摂取した食べ物に残りがあれば提出すること。

 そんなことも魔法印文時に注意説明されることとなった。


 こんなところだろうか。


 そうして準備を整え、帝国からの使者を迎えた。


 帝国の第三皇子フリードリヒを。




「なんで隠しキャラがもう来ちゃうのぉ……」

 使者の第一に書かれたお名前に、メルヴィンが何とも言えない顔に。しおしお(・・・・)、だ。


 帝国の第三皇子フリードリヒ。

 彼は帝国の皇太子の息子である。現時点では。

 帝国もまだ代替わりはしておらず、メルヴィンたちの大伯父が皇帝なままだ。


 帝国は基本的に「跡取り」が産まれてから後継に替わる。跡取りができると証明があって(・・・・・・)、それが継承の条件にも。

 属国たちもそれに習っていたが、この国は帝国からも位置が遠く、まだ属国になって歴史が浅いこともあり、レオナルドが近く王太子となることをゆるされていた。

 まだ婚姻前でも王太子に、だ。

 それは帝国の血を引くオーレリアを婚約者に――王妃にするという前提がまずあり。


 ――ゲームのエンディング後、オーレリアに婚約破棄を告げたレオナルドのその後は……末路は――……。


 フリードリヒは隠しキャラだ。

 全パラメーターをある程度高めなくては登場解禁されず。

「二周目キャラだよね……」

 一度で彼を出そうと思ったらできたのだろうか。やればできないこともないらしいが、なかなか高難易度である。


 作中の彼は。

 彼は属国のこの国に同じ帝国の血を引く者たちがいると話を聞き。

 祖父である皇帝も気にしている国だと事前に入手し――帝位争いに何か得るものがあるかと……。

 そう、祖父の皇帝が気に入っている姪の娘ならば、彼女を手に入れれば自分もまた皇帝に気に入られると笑いながら。

 そして潜り込ませていた19をはじめとした影たちより話を収集し。

 この属国に置いておくには惜しい才女――「主人公」を見染める。

 そして惹かれ合う。

 彼女に敵対していたというのが己の血縁であるという公爵令嬢をまた、断罪し。本来の目的であったその「悪役令嬢」より、「主人公」の方が自分に相応しく価値がある――と。

 そして「主人公」は帝国の皇子に、この国のよりもさらに上の存在に溺愛されるエンディングに。


 ――……なのだが。


「淫紋じゃね、これ? 秋葉原でよくその手のゲームパッケージ見かけたわ……」


 報告書を読んだ皇子の。

 ボソッと、思わずつぶやいてしまったらしき言葉に。

 たまたま近くに――この魔法印文のきっかけとなったし、帝国の血を引くことで身分釣り合う存在として、王宮付き魔法使いたちからお願いされて側に配置されていたメルヴィンの耳に届いてしまったその言葉に。

 素人質問のあれこれな怖い質問より、何か……。



 ――んんんん?



 秋葉原は昨今は魂ネ◯ション目当てでしか訪れていなくて詳しくなく申しわけないのですが。

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