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「それなら魅了にかからないようにしようぜ!」  作者: イチイ アキラ


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11 レッツクッキング(そしてめちゃんこ大事な教育)

「と、いうわけで皆、手はしっかり洗ったね? これ大事だからね?」


 公爵家の調理場。

 いつもは料理人さんが腕を振るうその場所に、子供たちは立ち入りを許可してもらって。

 そしてお菓子作りは楽しいよね、ということで。ここからはオーレリアも参加だ。人が身包み剥がされるところなんて見せたくなかったのでここからは、だ。

「オーレリア、エプロンかわいいーっ」

「に、似合ってる……」

「えへへ」

 兄馬鹿と婚約者に褒められて照れているオーレリアは可愛らしい。

 子供用エプロンがあるのはメルヴィンの趣味が料理だからだ。

 これは前世に引っ張られて。


 始まりは妹たちがお菓子作りをしてみたい、そんなお年頃になってめでたく。

 当然、兄馬鹿は材料から調理具までバイト代から出しましたとも。

 ケーキやマドレーヌの型やクッキーの抜き型もそろえたら結構な御値段になるので。それに材料も。奇しくも乳製品の値上がりは痛手だったけれど。お菓子作りに使うバターと砂糖の量にビビってはならない。

 カロリー=美味さだ。

 肉付きに旨いと書いて「脂肪」という字も完成するのである。

 それはさておき。

 一号はアウトドア派というかすぐに興味を失ったのたが、二号は引き続きお菓子作りが好きだった。某クリーニング屋さんの絵本ありがとう。

 そんな妹のお手伝いをしているうちに、お兄ちゃんもお菓子作りに興味を。いっときは進路を製菓の専門学校にしようかと思ったレベルだ。

 なので日頃から作っていたこともあり、そうしたレシピも今世まで引き継げて。

「はい、ここに室温で柔らかくなったバターと砂糖を混ぜます。白くもったりするまで皆頑張って。あ、オーレリアは疲れたらビアンカに手伝ってもらうんだよ」

「うん、ビアンカ、よろしくね」

「おまかせくださいませ、お嬢様。お手伝いできますこと、このビアンカ光栄の極み」

「ビアンカの言葉、ちょっとむずかち……」

「お嬢様の、お手伝い、ビアンカとっても楽しみです」

 にっこり。ビアンカさんの笑顔に19くんが驚いてる。黒蛇ってどんなイメージだったんだろうとメルヴィンはちょっとだけ気になりつつ。

 今回作るのは型抜きを使わないジャムサンドクッキーだ。

 料理長がレオナルドと19の補佐をしてくれる。本当なら休憩時間だろうに申し訳ない。

 メルヴィンは彼らの邪魔にならないよう、空き時間を使わせて貰うつもりだったのだが。

「若様の思いつかれる菓子は素晴らしいですよ。美味しいですし」

 けれども料理長は料理長で楽しんでくださっているようで。メルヴィンが作れないときに料理長が自ら作ってくれるとのことで。レシピをメモにとってくださり。

 そうだ、メルヴィンが公爵家の跡取りとしての勉強が本格的になってきたら菓子作りする時間があるかどうか。

「お菓子、ありがた……」

 きっと大変な勉強の合間の楽しみになるはず。

 それは前世のお菓子作りのレシピ本をたくさん出してくだされた料理人さんたちのおかげで。遠い世界に頭を下げるメルヴィンだ。

 厨房を使わせてもらえるようになったばかりなので、まだまだ簡単なレシピからだ。料理長のお知り合いにそうしたケーキ型などの加工ができる人がいるらしいから今度紹介してもらう。

「百均にあった型抜きとか、あれすごかったなぁ。土器とか花札とかまであったなぁ……」

 職人さんはすごいや。

 今世もそのレベルまでいけるだろうか。

 はてさて、そこはメルヴィンの分野外。職人さんに会ってからだ。

「何で俺まで……」

 そう小さなつぶやくのは同じくエプロンを装備させられた19だ。

 子供たちは二人一組でボールと泡だて器を持って。

 レオナルドと19。補佐は料理長。

 メルヴィンとオーレリア。補佐はビアンカ。

 メルヴィンは指示役でもあるので基本はビアンカが作ってくれる。彼女の手首のスナップあれば泡だてはおまかせできよう。オーレリアにはまだまだ重たいからね。

 

「さて、もったりしてきたら溶き卵いれて。バニラオイル……は、まだない国らしいから今度調べてお取り寄せするとして。うん、また混ぜたら振るった粉類をまとめて入れて、さっくりまとめて……」


 粉類。つまり小麦粉。


 小麦粉は倉庫にたくさんあるのでこうして使わせてもらえてありがたく。

 王家に納めるのから品種改良品の確認まで、いろいろと。

 父が母と結婚を許されたのはコーディング公爵家の領地が穀倉というのがあるのだろう。この国の食卓を守っていることから数代前に公爵に格上げされたのだ。

 小麦。

 つまりはパン。

 やはり人間、食わねば死ぬのだ。帝国も麦の確保はしておきたかったのだろう。

 パンがなければ何とやらとそんな貴族にならないようにしなければ、と――気を引き締めて。妹にも。ついでに幼馴染にも。ギロチンはノーセンキュー。


「僕は米食いたいけどね」


 自分が公爵家を継いだら領地の隅っこ借りて稲作やってみようかな……?


 そんなことを考えているうちに生地はまとまったので。

「ここで少し休ませます。その間に使った道具のお片付けだよー。あとオーブンの予熱、そこは料理長お願いします」

 お片付け、それは自分たちがという料理長やビアンカにメルヴィンは真面目に。

「自分で使ったのを片付ける、大事ですから」

「若様……」

「なんとご立派な……」

 感動している使用人たちにちょっと背中がむず痒いけれど。

 でも大事。

 兄が褒められていることにキラキラとした目をしている妹と、ついでに友のためにも。

 これが狙いです。

 妹たちもそうだったなぁと思いながら、自分が使ったり汚したら自分で片付けるのは当たり前だと背中で見せる教育成功メルヴィンである。兄馬鹿とは今日は言わないで。

「……ふん」

 一人、わけがわからないという顔をしている19少年も、片付けを手伝ってくれた。

「……貴族でも、自分で出来る奴がいるんだな。変な奴」

 不敬とビアンカが行くのをなんとか止めてあげたメルヴィンだった。



 最近の百均の型抜き、面白いのたくさんあって楽しいですね。(何故これにしなすった、な品もあってすごいし楽しいwww)


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