回線
ミハイの能力によって作られた人型の分身が家に帰ってくる。
「ん、どうした?」
俺は分身に歩み寄ると分身は薬の取引で手に入れたのであろう金の入った袋をこちらに手渡してくる。
「おうご苦労様、それにしても…ミハイもかなり頑張ってるみたいだな…」
俺は分身のかぶっているフードを外すと顔面が半分鳥のようになっていた、普段のミハイの分身では完全な人型なのだが距離の問題なのか、それとも分身を完全に作る魔力リソースの余裕が無いのか不完全な分身だった。
「お疲れ様、流石に金ももう必要無いしミハイに要らない気を遣わせるのは心苦しいからもう密売は止めで良いと伝えといて貰えるか?」
俺がそう言うと分身は身体を次第に数体の鴉に変え崩れ去った。数体の鴉は家から飛び立ちミハイの元へと飛んでいった。一羽だけこちらを向いたまま動こうとしない鴉がいた為俺は不思議に思いながらもミハイが好きだったように顎下を指先で撫でてやるとグルグルと嬉しそうに鳴き声を上げた。
「ウ…ウゥ…アァ…」
鴉は俺の肩に飛び乗ると何やら言葉を吐き出そうとしている。
「お前は帰らないのか?」
「…ミハイ…ガンバル…ジブン…ケイミマモル…シゴト…ミハイイワレタ…ノコル…イイ?」
鴉は途切れ途切れになりながらも言葉を紡ぐ、まぁおそらくミハイが警護用に一羽残したのだろう。
「そうかありがとうな。」
俺はそう言いながら頭を軽く押さえてやると鴉は目を細めた。
今日は特に生徒会の仕事もないので以前金を支援してやった店に行くことにした。
俺の壊したドアはボロいトタンでできたドアと呼んで良いのか悩むものに変わっていた、閉店中と書かれた札がかかっていたが俺はお構いなしに中に入る。
「邪魔するぞ…なんだこの暑さは…?」
俺が中に入ると熱風が身体を包む、奥からは鉄を打つ音が響いていた。
俺が奥に入ると髭は伸びきり以前見たよりも病的に痩せた店主が何かに取り付かれた用に鉄を打っていた。
「おい!閉店の文字が見えなかったのか?!出て行ってくれ!」
「おいおい俺だよおっさん。」
聞き覚えがあったのか店主は勢いよく振り向く
「あぁ…ケイさんか…」
「さんは止めてくれ年上に言われると気持ち悪くってしょうが無い、それでどうした酷い姿だなおっさん飯食ってないのか?」
「飯…?あぁそういえば腹減ったかも知れないなぁ…」
半ば死人のようなボーっとした表情でそう言うと店主は再び鉄を打ち出した。俺は店主のその異様な執念に軽く驚きながらも取りあえず飯を買って来る。
「おいおっさん取りあえず休憩してくれ、頑張ってくれるのは俺としても嬉しいけど死なれたらいよいよ俺に武具作ってくれるヤツがいなくなっちまうんだ。」
俺は適当に買ってきた食料を店主に渡す。
「そ、そう…か、そうだな…なにからなにまで本当に済まねえなぁ…」
店主は俺から食料を受け取ると勢いよく食い始めた。
「…にしてもどうしたんだ?」
「…俺にとって最後なんだ…最後のチャンスだと思ってるんだ…借金まみれで死んでいくしか無いと思っていたが…本当に助かったんだ…ありがとうケイ。」
ポツポツと語り出した店主を眺めながら俺は打ち終えた武器をチラリと見た。
「あぁ…これか、一応武器を使ったことがないって聞いたから俺の作れる種類は一通り作ったんだが…」
「どれも遠目で見てもわかるなまくら揃いだな。」
「だっ!だから言ったじゃねえかよ!」
店主は怒りながら言う。
「まぁ怒るなよ、それにしてもこの数たった数日でそろえてくれたのは感謝するよ。」
俺は一通り武器を振ってみる、斧や槌、槍、剣など申し分無い種類がそろっていた。
「全部貰っていくが、何故銘が無いんだ?」
「こんななまくらに銘なんて恥ずかしくて入れられたもんじゃねえよ。」
「そう言うもんかね、まぁ次から銘は入れといてくれ、盗品だと思われちゃ敵わない。」
俺の言葉に渋々頷く店主、俺はそれを見ると俺は金貨の入った袋をカウンターに置く。
「ケイ?前金は貰ってるからこれは貰えねえよ。」
「これはおっさんの勤勉さと命を削ってまで武器をそろえてくれた事に対する敬意だと思って貰って構わない、それに飯代って考えてくれ。」
それだけ言うと俺は武器を持って店から出て行く。
コイツ戦争でもおっぱじめるのかという量の武器を抱えて家に帰るのはかなり人目を引いた。
もっと親切でわかりやすいタイトルの方が良いのかな?と思いながらも妙案が出てこない今日この頃。




