路地
グリンデル王国城、その巨大な建築物はグリンデル王国の威光を示すものである、城の中心最奥部には王族の居住区域がありその周囲を囲むように研究施設や兵舎などが多く配置された構造になっており王国で最も安全で最高戦力の集う場所と呼ばれている。
城下町郊外に居を構える王都魔法学校からは徒歩一時間ほどの距離にあり、王都の中心に城があるためアクセスは良く城下に住む者は常に視界の端に王城を捉えているが基本的に大半の人間がこの地に足を踏み入れること無く一生を終える。
そんな王城の玉座の間に魔法学校長アブダイク・ガオナンは招かれていた。要件は勿論魔族およびそれに関与の疑われる法国の件である。
学園で行われた会議の内容を一通り王の側近に伝え帰るつもりであったガオナンからすれば玉座の間への招待は衝撃であった。
ガオナンは腹を決め玉座の間へと入り王が来るまで膝を付き地の一点を見つめながら頭を垂れる。それから数十分はそうしていただろうか、人の気配を気配を感じより頭を深く垂れる。
「面を上げろガオナン。」
威厳を十分に帯びた声が部屋に響く、ガオナンは短く返事を返し顔を上げると眉間に深く刻まれた皺が印象的な初老を少し過ぎたほどの歳の男がこちらを見下ろしていた。
「久しいなガオナン?」
グリンデル王は顔をほころばせる。
「一年ぶりくらいでしたかの?して今日は何故わざわざワシを呼ばれたのか?」
「なに、学園に通う我が息子ウィルマーは上手くやってるのか気になってな?それに久々の友人の来訪だ、顔を見ずに帰す手はあるまい?」
王の言葉にガオナンも目を細め喜ぶ。
「とは言え今はお互い立場がある身…全くままならんな。」
「そう言われなますな…王よ。」
二人の交錯する視線はお互いを見ながら何処か遠くを見ているような目だった。
「ウィルマーくんも非常に優秀ですぞ、最近は生徒会にも新しい友人が出来たようじゃしのお。」
「ほうそれは興味深い、あの堅物に友人とはやっとルーク以外の話し相手を見つけたか。」
王は軽く笑い声を上げるとすぐに表情を冷静なものへと戻す。
「無駄話が過ぎたな…さて本題に入るが報告の件確かか?」
「ほぼ確実かと。」
王は深くため息をつく。
「あの生臭どもめ…いちいち手を出してくるとは思っていたが…まさかここまで直接来るとはな…」
「そうなると学園対抗の武闘大会も何かしてくるかも知れませんの…」
「だとしても武闘大会の開催は通常通り行うのだ、これで中止しては相手につけいる隙を与えかねない、なにより舐められるのは我が王国として許されんなんとしても開催せよこれは王命であると思って貰っても構わん。」
語気を強める王に対してガオナンはただ静かに頭を下げ承服するのだった。
※
俺は今アルスに学園であった事の報告に来ていた、一度ニシャトに紙で情報の共有はしていたものの定期報告も併せて訪れることにしたのだ。
「うーん法国が絡んできたのかぁーきな臭くなってきたし引き時かもしれないよね。」
「やっぱりそうですかね?」
俺はカップに注がれた髄液を啜る、中身がどうであれ味が好みなので出されたら普通に飲んでいる。
「まぁ急務もないしケイが良いならもう少し続けても良いかもだけどね?」
「そうですね…同学年の奴らなら問題は無いですね…少なくとも俺やアルスさんの脅威にはなり得ないですね、ただ俺より上の勇者のオスカーとアンバーは少し変わった能力を持ってる可能性はあるのでもう少し見極めたいですね…。」
俺の言葉にアルスが頷く。
「確かに勇者は脅威になる可能性はあるかもね、あと個人的にアンバーちゃんだっけ?あの子の目は欲しいかもね。」
「機をうかがってぶっ殺して目玉くり抜いて来ましょうか?」
「うーん…生け捕りにできたら色々できて面白そうだよねー、まぁどちらにせよケイがまだ潜入続けるならまだ後の話かな?」
俺は同意の言葉を短く言うともう一つの用事を思い出す。
「そういえば、大した用事でも無いんですが…」
アルスは微笑をしたまま俺の続きを促す。
「ニシャトの紹介がまだだったなと思いまして、アルスさんさえ良けれ色々見て貰いたいと思いまして。」
「あぁ前回資料を報告してくれた子だね良いよ、僕も興味があるしね。」
「ありがとうございます、おいニシャト!」
俺が呼ぶとニシャトは煙の状態で入ってくる、俺の隣まで来ると煙の濃度が増し一瞬で人化する。
「おー見事なものだね、人化を優先して覚えたのはやはりミハイちゃんとケイの影響が強いのかもね。」
「あ、ありがとうございます!初めましてケイ様からニシャトと名を頂きました種族はギズモです。」
ニシャトはガチガチに緊張しており手の先まで伸びきっていた。それを見てアルスはニヤリと笑う。
「まぁまぁニシャトくんそんなに緊張しないで座ってよ。」
そう促されニシャトは若干わたわたしながら席に着く。
「早速だが見せて貰おうケイから僕の能力の事は聞いてるのかな?」
「はい確か読心でしたよね?それ以上の詳しい事はあまり…」
「うんうんそれくらいで十分さ、じゃ手を出して貰えるかい?」
ニシャトは言われたとおりに手を出すとアルスはその手を両手で掴むと青色の淡い光が腕を中心に光り出す。
「うん?ケイの雰囲気が随分可愛くなったとは思ってたけどレベルを分けてたのか…二十五レベルか凄まじいな…」
こうしてニシャトのステータス検証が始まった。




