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人たるべく  作者: 絵目リア
プロローグ 王都魔法学校
36/73

会議

 

重厚な扉の奥には如何にもなシャンデリアが天井からつるされ床には深紅のカーペットが敷かれてどこぞのパーティー会場かと思わされるほどの部屋があった。


中央には円卓が置かれ既に数人の待ち人がいるようだった。


「遅かったのぉオスカーくん?」


「申し訳ありません校長、道中生徒たちに囲まれてしまいまして…」


円卓に肘を着き顔の前で手を組みながらガオナン校長がそうオスカーに言う、オスカーは特段申し訳なさそうな素振りは見せず席に着く、オスカーに促され俺たちも席に着く。


「さて、呼びかけに応じて皆に集まって貰って事をまずは感謝させて貰おう、顔合わせも軽くしておくかの。」


その言葉で席に着いた者たちの軽い自己紹介が始まる、大した人数は居なかったためすぐに終わった。各学年の主任教員とガオナン校長、生徒会の面々それと生徒会担当教員のシエン先生とマーシャル先生も何故か同席していた。


「そういえばシエン先生は生徒会担当だったの。」


「はい、まぁ担当と言っても特に何するでもないですがね。」


シエンはつまらなそうにそう言うと煙管に手を伸ばし火をつける。他の教員はあからさまに嫌そうな顔をする、マーシャルはその空気を感じおどおどしているがシエン本人はどこ吹く風といった感じで悠々とふかしている。


「で、では私マーシャルから話を進めさせて頂きます!」


マーシャルは両手で掴んだ資料を皆に回す。


「今回皆さんに集まって頂いたのは他でもない以前の魔族襲撃の件に関しての事であります。」


ここに来て初めて内容を知らされた俺たちとしては通りで俺たちがこの場に居るのかとやっと合点がいった。


「生徒会のウィルマー・グリンデル、メイ・オービス、ルーク・バイロン、ケイ、四人含むカーク先生の一学年実地演習講義の際ボス部屋内で魔族と交戦、カーク先生含む先行した生徒四人の死亡、生徒会四人も行動不能の負傷を負い魔族は離脱。間違いありませんね?」


「その通りだと思います。」


マーシャルの問いかけにウィルが答える。


「思うじゃと?」


ウィルの返答にガオナンが突っかかる。


「お恥ずかしい話、私は交戦とほぼ同時に気絶していました。」


「…ほぅ、となると最期まで実情を把握していたのは誰じゃ?」


ウィルとルークがメイと俺を交互に見る。


「わ、私も敵の攻撃で気絶してしまったので最期となるとケイ君…だと思います。」


メイは急に話題を振られたことに動揺したどたどしくそう言うと一同の視線が俺に集まる、さて困った。


「となると俺ですが…俺も大してメイとかわりはありませんよ、魔族に与えた有効打と言えばルークの頭突きくらいですし…」


俺がそう言いよどむとルークは恥ずかしそうに顔を赤らめ頬を掻く。


「俺も防戦一方で何故か起きたときには生きて学園に帰ってきていた状況ですので…てっきり俺は生徒たちが呼んでくれた増援が撃退したものだとばかり…」


俺は悲壮と悔しさたっぷりで顔を歪め顔を伏せる、手でこめかみを押さえ笑いを堪える。


「そうじゃったか…となると魔族は目標である勇者のオスカーがおらんかったから離脱した…ということかの?」


ガオナンは申し訳なさそうに目を細め白い顎髭に手を伸ばし撫でている。


「いずれにせよ頼れるのはコレだけということだな。」


シエンが席を立ち魔族の使っていた大剣を円卓にのせる。


「それは…魔族が使っていた…」


「そうだ、ダンジョンに置き去りにされていたものを私が回収した。」


ウィルの言葉にシエンが応える。


「ところでこの大剣面白いことがわかってね、君たちが見た時のものとは少し違って見えないかい?」


「確か刀身が緑色だったはずだよな?」


ルークが不思議げに首を傾げる、その言葉にシエンはニヤリと笑う。


「やはりか…」


「どういうことじゃ?」


一足早く合点がいった風なシエンに対し訝しげな表情でガオナンは問う。


「この大剣を預からせて貰って色々と調べたんですよ、そうしたら付与魔法の残滓が確認できましてね、おそらく彼らが緑色に見えたのはそのせいでしょう。」


「付与魔法…ってなんだっけ?」


「本来の付与魔法は生き物に向けてステータスアップやその逆など様々な効果を与える魔法の事だが、物に対してもこの魔法はものによっては効果がある、この場合大剣に魔法をかけたのだろう…これは私の講義で二学年には既に教えたはずだがアンバー?」


首を傾げるアンバーに対してシエンが面倒くさそうに説明する。


「まぁいいか、ところでこの大剣には詳しくはわからなかったが封魔の魔法が付与されていた。封魔は魔族や魔物の力の一部をものに封じ込める魔法で聖や光などに対して非常に効果的だからおそらく勇者のオスカー対策だろうが…」


「封魔…ですか。」


オスカーが眉間に皺を寄せ大剣をにらむ。


「まぁ付与魔法自体はそこまで難度は高くない。」


シエンは煙管に魔法を循環させると火皿の部分から火が噴き出す。


「自身の属性魔法であればやり方さえ知っていればこんな風にすぐ出来るわけだ…だが属性の中でも光や闇、固有魔法などは難度が跳ね上がる。封魔といえばそれこそ付与魔法の中でも最高難度といっても過言ではない、封魔の魔法自体がかなり希少ということもある、そしてそんな芸当が出来るヤツは私は一つしか知らない。」


「法国…じゃな。」


ガオナンのその言葉に教員たちはざわつく。


「一つこの件の他言は無用とする、二つ同時にこの会議の内容はグリンデル王に報告することとする、異論は許さん、わかった者から部屋を出るのじゃ。」


今日一番の威厳と迫力を持ったガオナンの言葉で会議は終了となった。


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