対等ではない関係
「あの、ご主人…奥さまはもう老眼なんですよ。
携帯の文字が見づらいんです。分かって上げて下さい。」この夫婦の歪さに気付いた三笠が説明すると、明らかに旦那が動揺した。
「エッ、老眼?いや、白髪を必死で染めてるのは知ってましたが、携帯が見づらいとか聞いた事ありません!そんな…」そう、旦那は依存気質なのだ。
老けるとかそんなのは気にならないが、能力や知能が減退するのは恐いのだ。
みゆきはスポーツ大好きでいつまでも身体は元気だ。
ただし、視覚や聴覚は確実に年齢で衰えるのだ。
「チッ!だから電話して!って言ってるでしょ?
アナタは私が言った通りに動いてれば、何でもうまくいくのよ!」弱点を知られるのが何より嫌いなみゆきは思わず目をそらす。
「さあ、そんな事はどうでも良いです。
私がココに来たのは公くんの話が気になったからです。
専務のお宅での現象はお手伝いさんが、ご家族を妬み呪っていたからでした。
奥さまが謝り縁談を紹介して嫁がれて出られたら現象は収まりました。
公君には、朝登校前に会って何も問題無かった。少し勉強で追い込まれてるだけで。
旦那さんも何も憑いてなかった。なので家自体に何か憑いてるのかとこちらへ来ましたが…それも違った。
みゆきさん!
アナタですね?
アナタに猛烈な生霊が憑いてます。
多分、十分念を閉じ込めた依代をアナタの生活圏に置いてます。
おかげでアナタは悪夢を見せられ、精神が受験で不安定な公君が感知したのです。」とまたあの探偵の女みたいな事を言う。
「はあ?そんな事が叶うならそこら中で事件なってるわよ!
アナタ達、こんなインチキ詐欺師に騙されないでよ!
皆、いい歳の大人が!」とみゆきが憤る。
「申し訳ないが、人の気持ちと言うのは恐いモノなんだ。
幽霊なら、まだ効く者と効かない者に分かれるが、生きた人間の憎悪や悪意は絶対悲劇を巻き起こす。
会社はそれを早めに察知し人の配置を決める事が重要だから、人事に強い権限を与えているんだよ。
奥さん、アナタも元社員なら人事権の強さは分かってるだろう?」と専務が足を組んで説明する。
年下だが、さすが上司だ。
ドンマダムに近い気力と知力を持ってる。
「ふん、まあいいわ!お好きにすれば?
祈祷でも何でもお好きなように!」とみゆきはその場を離れようとする。
「…ダメですよ。アナタが問題なんだ。その後ろのバケモノに心当たりがあるはずだ。
アナタの血縁?縁者ですよね?
その方に許して貰えるように取り計らえませんか?」と三笠は構えてみゆきに向かって数珠を握ってお経を唱えだした。
中目黒の探偵と同じような事を!
「本当にやめて!」みゆきは思わず三笠の数珠を取り上げた。
「人を侮辱するのもいい加減にして!
私は、親切に従兄弟の奥さんにモノを教えてあげただけよ!
葬儀は一家の大事な晴れ舞台なの!
そこでの恥やミスは末代まで言われ続けるの!
だから、私が気を利かせて上げただけよ!」内容を話すとみゆきが非常識とさっき中目黒の探偵事務所で言われたので言わないで数珠を床に捨て2階へ逃げた。
夫に老眼バレたのが1番嫌だ!
常に信頼され尊敬され頼りにされる。それが2人の関係だったのだ。




