霊媒師
「ほんとに!マダムの紹介じゃなきゃ!」帰り道、みゆきは奥歯をギリギリ噛む。
自分に変な生霊憑いてるとか!いい加減なことを!
しかし、マダムの紹介を断ったら今度こそ婦人会で立場が無くなる。ドンマダムは相談役として今も婦人会のご意見番なのだ。
探偵を変えたいが無理だ。
「あ〜っ、あんな奴らに金払うなんて!ムカつくわ〜」とプリプリと家に帰ると玄関に見知らぬ靴が。
夫の靴まである!まだ勤務時間のはず。
公を病院に連れて行かなかったのがバレたのか?
焦ってリビングに入ると、なぜか旦那が上司らしき人と変な長髪の若い男にお茶を出していた。
「も〜〜っ!どこ出掛けてるんだ?どこに茶のセットあるのか分からなくて苦労したぞ!」と怒られた。
ほんとにこのごろナマイキになった。
『こっちは20歳も年上なんたぞ!立場をわきまえなさいよ!』と心の中で舌打ちした。
携帯見たら確かに大量にラインが溜まってる。
みゆきは携帯の細かい字が、実はこのごろツラいのだ。それで、あまり携帯は見なくなったのだ。
自宅のノートパソコンもあまり開いて見てない。
画面が眩しくて目が辛いのだ。
そう老眼が始まってるのだ。なので携帯はもっばら電話としてしか使っていない。
主人に話しても全く通じないので話してない。
実は声も下を向いてボソボソ話されると聞き取りづらいのだ。
何もかもイライラする。
「あら〜ごめんなさい。携帯見てなかったわ。電話してくれれば良いのに。」ワザとゆっくり動いて話す。
「ところで、そちらの方たちは?」とわざと女主人として毅然と聞く。
「コラッ!うちの専務だぞ!そして、横にいらっしゃるのは霊媒師として有名な三笠 大僧都様だ。」と専務も部長も坊さんも全員年下男子に偉そうに言われる。
「はあ、そうですか?はじめまして。主人淹れたお茶ではマズイでしょうから淹れ直しますね。
で、ご要件は?」とお茶を引き下げながら聞く。
「コラッ!わざわざ先日のお前の悪夢とか公がおかしくなったのを心配して来てくださったんだぞ!」とまた20個も下の男が偉そうに!
「いやだ!あなた、あんな事会社で人に話したの?
ヤメてよ〜恥ずかしいわね〜」とにかくみゆきは人に弱みを見せるのが嫌いなのだ。
みっともないのは許せないのだ。
だから従兄弟の葬儀でも同じ一族として奥さんがヘマしないように写真を撮っておいたのだ。
なんで、それを恨まれるのか?意味が分からない。
恥かくのが1番世の中で嫌なことなのだ。
当たり前だろ?
「奥様ですか?いや、お祖母さん?どちらでも良いかあ〜
公くんが私の動画へ相談されて来たんですよ。
お父様の会社名が、こちらの専務と一緒だったのでご自宅うかがえるか?聞いてみたのです。」三笠も一瞬でこの女が鼻持ちならないクセ強女だと見抜いてワザと失敬な物言いをする。
「ハァッ?この人の母親ですって!失敬な!」とみゆきが怒る。しかし…本当に旦那の母親とは5歳しか変わらない。それは事実なのだ。
が、みゆきがそんなの認める冷静さがあれば結婚なんかまずしてない。
「あなた!なんでこんな人達、家に上げたのよ!
誰の許可取ったのよ?」いつもの調子でまくし立てる。
「だから携帯に連絡入れただろ?なんで、ちゃんと携帯見ないんだ?この頃?」この夫婦は、この上下関係でやってきたので普通だと思っているのだ。




