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白い家  作者: たま


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手紙

10時過ぎに帰ってきた公(こう)はどんどん口数が減る。予備校の模試でマーチがほとんどCかD判定なのを母に叱られてから話す気が無くなったようだ。

「どう?少し成績上がった?」と聞いても「さあ〜良く分かんない。」と誤魔化すだけだ。

みゆきが用意した夜食もほどほどで部屋にこもる。

午前様の夫も、最初は玄関で待って文句言ってたが、

「もう外で食べたから風呂入って寝るだけ。お前に用無いよ。寝ててよ。」といくら怒っても版を押したように同じ言葉しか返ってこなくなった。

元々、年が離れてるので話し合いと言うよりは一方的みゆきの言った通りに動く人だったのだ。

しかし、今は行動変えなくなったし、それにみゆきが文句言っても聞く耳も持たなくなった。

ヒスを起こせば昔は聞いてたが、今は2.3日帰って来なくなるだけだ。

誰かに絶対入れ知恵されてる!

浮気調査して離婚するとかは全く考えない。

離婚なんて格好悪い。年の差婚で60近くなって離婚なんて、それ見たことか!と人に言われるだけだ。

多少薄汚れているが立派な家に息子も居る。

人から見れば何一つ不幸の欠片もない幸せな妻なのだ。

寝つけないまま先に床に就いた。

母の電話で気になる事があった。

「覚えてるかな?従兄弟亡くなった時、アンタが棺桶や祭壇写真撮ってあげたの、後から手紙で非常識とか言ってきた嫁さん!

あの人が、アンタの近くに家買ったんだって。ムサコとかにタワマン買ったって!」と話していた。

従兄弟のお母さんから聞いたらしい。

「へ〜ッ、再婚でもしたの?子供が沢山居た気がしたけど。」と聞くと、

「そう思うでしょ?それが公務員なったらしくてね〜ローン組んで自分で買ったらしいのよ!

でも、絶対あの葬式の香典を元手にしたのよ!

それと義父亡くなった時の孫への遺産よ!」と従兄弟のお母さんと話したそうだ。

今日登った暗闇坂(くらやみさか)からもムサコは近い。良く見えた。

車なら15分ほどの距離だ。自分もショッピングに良く行ってる。

みゆきの駅前のショッピングモールは海外ブランドや国産の古株ブランドばかりで結局普通に着たり身につける服屋が少ない。

確かに住宅街は成熟して60以上の人が多いが。

売ってる服まで年配向けばかりで、みゆきはこの頃あまり好きじゃない。

若い働いてる女性が着るザラとかが好みなのだ。

雅子様ファッションもだんだん卒業してきた。半端丈のスカートは履かなくなった。

40代の旦那に合わせるならザラくらいが丁度いい。

ムサコにしかないのでそっちへ買い物に行ってしまうのだ。

母に合わせて遺産だ香典だろ?とか言ったが、東京で子供育てながらタワマン買うのに20年前の香典や1人100万程度の遺産、学費の足しにしかならない。

ほとんどローンだろ。自分より10歳くらい下だったから48歳くらいか?

相当頑張っているのだろう。

「私にはそんなの無理〜てか、する必要もないしね。」と呟きながら眠りについた。

まだ夫が帰宅してないので浅い夢の中で暗闇坂に立っていた。

「あれ?また来たのかな?私?」と思ってると、あの人形が石のベンチに座っている。大きくなって。

ギョとしたが、特に動かない。汚れた片目がつぶれた人形が座ってるだけだ。

「なに?なに?これ、絶対夢よね?」の自分でも分かる。

男の子?少年の「わあああああーーーッ!」と言う声が、山の下!白い家から聞こえる。

思わず山の下の我が家を見る。2階の息子の部屋の窓が開いてる。両手を振ってコチラを見てる。

「母さん!危ない!危ないよ!」と山の上のみゆきに必死で手を振ってるようだ。

背中に気配を感じて振り向くと大きな人形が立って坂の階段からみゆきを突き飛ばす!

所で目が覚めた。

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