↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白い家  作者: たま


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
3/18

赤ちゃん人形

「やっぱ見晴らし良いからベンチあるんだあ〜」暗闇坂のてっぺんには石づくりのベンチがあった。

座ろうと近づくと薄汚れた人形が。

「エ〜ッ、これって昔流行ったポポちゃん人形だよね?確か20年前くらい?

なんでこんなとこに?それに髪型が…」そう昔流行った背中のヒモを引くと「私ポポちゃん!仲良くしてね!」とか言う人形だ。

それに髪の毛はミュージカルの女の子みたいな赤毛の天パだったような…黒髪のワンレンボブになってるのだ。違和感しかない!

ヒモも無いし、もう縦横にしても目も閉じたり開いたりもしない。

と言うより片目がバーベキュー用の串で貫かれている。

「何よ!気持ち悪い!」思わず手放した。草むらに転がり落ちた。

「とっとと帰ろう!お茶会なかったしノド渇いたわ!」元は白かったが、灰色で緑のコケまでうっすら生えてる我が家の外壁を眺めながら階段を駆け降りた。

輸入品のテラコッタの屋根瓦が白い壁とコントラストで新築時は南欧風だった我が家だが、今となってはどうでも良い。

「重いから外壁にヒビ入りやすくなるよ〜」と大工さんが言ってたが無視したのだ。

海外旅も独身時代山ほどした。そこでよく見たのだ。石造りの家の屋根と日本の家とは違うのだが…

テラコッタの輸入品の瓦は、普通の日本瓦のほぼ3倍の重量があるのだ、1枚で。

「たった17年でこんなに傷むなんてね〜いやだいやだ」この階段から本当に家が良く見える。

顔を伏せて駆け降りた。


家に戻るとすぐ手を洗いうがいをする。

あの流行病のせいですっかり習慣ができた。

予防接種は厳重に5回受けた。昔からそういうのは積極的に予防するのが好きだ。

この頃、汗をかくと脇腹や首すじが痒くなる。つい引っ掻いてしまうので常に赤っぽい。

「あ〜あ、皮膚が弱くなったのかなあ〜」とボヤきながら、ふと鏡に映る自分がさっきの赤ちゃん人形と同じ髪型なのに気付いた。

20歳過ぎてから、ほとんどワンレンボブだ。この年まで変えたことない!

「やだあ〜やめてよ〜気持ち悪!」思わず髪をクシャクシャにする。それくらいさっきの目を串で貫かれていた人形に似てるのだ。

ガッチリした体型でエラとかしっかりしてるので赤ちゃん人形に何となく似てる、元々。

シャワー浴びるか悩んだが掻きむしりながら冷たいアイスコーヒーを先に飲んだ。

エアコンで冷やされて痒みもかなり収まる。

電話が鳴って出ると関西の母だ。

このごろ、しょっちゅう掛けてくる。父が亡くなってから気弱になった。

「公(こう)くんは元気?ちゃんと勉強してる?大学受かりそう?」と矢継ぎ早に聞いてくる。

「大学まである学校だから大丈夫だよ。全部落ちたらそこへ行けば良いし。

勉強はちゃんと予備校行ってるし。学校終わったら、そのまま予備校行ってるし。だから帰ってくるの夜10過ぎよ〜予備校近くのコンビニで適当に買い食いしてるから、栄養バランスが心配だけど…」と母から旦那の話は出ない。

前に泊まりに来た時に亭主がほとんど家に居ないのは分かったようだ。夕飯ももう長く家で食べてない。

出世すると残業代がつかないので、会社もどんどん拘束時間が長くなる。

しかし、毎晩午前様はどうなのだろう?

そして朝は普通に出勤していく。

現在の職場は東京本社だし、知り合いは皆定年退職してしまったし、実際良く分からないのだ。

「ほぼほぼ1人暮らしみたいなもんよね〜」と電話を切って溜め息をついた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。