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王者の道(4)


 フレーテが叫んで、掴んでいた執事の腕にすがりつく。



「仮にそうであったとしても、面会はお断りします」


 彼はそう言うと、フレーテを庇うように彼女の前に立ちはだかった。


 ザイデルが口を開く。


「ヘルツ、フードを脱いでくれ」


 彼は言われた通りにはマントを脱ぎ捨てた。


黒の鎧に身を包んでいるその相貌を見てインハルトは一瞬言葉を失ったようだ。


「ヘルツか」



 驚愕の表情を浮かべるそれは先ほどの清楚な執事の姿を打ち消している。


「やっぱり、ハルト……なんだね」


 ヘルツは悲しそうに眉を潜めて呟く。

 フレーテが怖々といった様子でインハルトを見上げた。


 彼は冷静さを取り戻したようだが、表情が強ばっている。


「ハルト、本当のことを教えて。ボクは魔体なの。殺戮兵器なの?」



 ヘルツが問うとインハルトは不適に笑む。


「ええ、そうですよ。ヘルツ、お前はバケモノだ」


 涼しい顔でそう言い切られて、ヘルツが肩を震わせながら俯く。


 すかさずザイデルが、震える少年の肩に手を置いた。


「本当の事を言え。ヘルツ、いや、この御方は、

 バケモノなどではない。


 真聖王国の第一皇子様、そうだろう」


 ヘルツが、信じられない者を見るような目でザイデルを見上げる。しかし、彼の双眸はインハルトから外れない。


 その鋭い眼光で本物の悪魔を睨みつける。



「どうなんだ、インハルト。皆、お前の正体も知っているぞ。もう諦めたらどうだ」


 インハルトが苦虫を噛み潰したような表情で頬をひきつらせた。


「まさかっ、何を証拠にそんな事をおっしゃるのか」


「皇子様の瞳は聖王様のそれだ。御顔立ちもフレーテ様に非常に近しいだろう」


 ザイデルがそう言うと、彼は口を噤んだ。さらにミルヒが叫ぶ。


「今すぐクスリラから魔体を引き返えさせてくれっ!」


「――はははははっ」


 インハルトは唐突に高笑いを始めた。その表情は発狂して歪んでいる。



「それは無理ですよ! だって、魔体はそこにはいないのだからなッ。――来い、第三番サード!」



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