祖は欣幸を得るか?(7)
ネージュはため息をつく。
「なんて、五月蝿い奴だ。保護者がいないとこのざまか」
「――あああああ、あっ!
やっぱり死ぬ時は好きな人に看取られたいのかな?」
叫んでいたノヴァがふと真顔になって、首を傾げた。
皆が「何を言い出すのか」と言った表情で彼を見る。
「だって相棒、好い人がいるんだよ。きっと最後も会いたいよ!」
むうっと頬を膨らませてからノヴァは叫んだ。
「ここから近いから相棒を連れて行こう。早く、死んじゃう! もう死んじゃう!?」
ノヴァがトロイアの腕を引っ張って、引きずろうとするので、ネージュが再び頭を抱える。
それから従者の方を見た。
「リヒト、どうする? どの道、ここにいても助からんが」
リヒトは静かに目を伏せた。ミルヒが言う。
「フォーゲルに運ばせよう。その方が速いんだ」
フォーゲルは大きく頷いて、その体を持ち上げた。
「僕が案内するよ~」
ノヴァがもう駆け出さんとしている。
ネージュはこめかみを押さえる。
「はぁ。ではフォーゲルよ、我々は後から着いて行く。
それから、ミルヒはすまないが、ヘルツと先に首都へ向かってくれ。
運び終われば、すぐフォーゲルも其方へ行かせる」
「分かった」
ミルヒが頷くと、フォーゲルが動き出した。
――そんな様子を、少し離れた場所から視差する人影がいる。
男は分厚い眼鏡の奥に潜む瞳を輝かせ、白髪を揺らしながら踵を返して森の中へと消えていった。




