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集う決意(7)


 そのまま外へ出ると、雨も風もすっかりどこかへ消え去っていた。



 黙って下を向く彼女の手を引いて、クロイツは納屋の近くまで連れて行った。


「ちょっと座るか」


 クロイツは納屋の隣に生えている大木の根に腰掛ける。ヘルツも黙って隣に座った。


 空を見上げると嵐が去って、満天の星空と丸い月がこちらに微笑んでいるように穏やかな光を向けていた。



「おお、星が綺麗だなぁ」


「……」


「見ろヘルツ、今日は満月だぞー」


 クロイツが黙り込むと夜の静寂が二人を包む。虫と鳥の声だけが響くそれを、先に破ったのはヘルツだった。


「クロイツ。ボク、ミルヒさんの旅に同行しては駄目かな」


「えっ?」



 突然何を言い出すのか、クロイツには意味が理解できなかった。


「知りたい。ボクは本当に魔体なのか。ハルトに会って真実を確かめたい。だから聖国へ行きたい!」


 なんてことを言い出すのか、聖国を目指すだけでも危険なのにとクロイツは思った。


「駄目だ」


 叫ぶようにそう言うと、木の上にいたのだろう鳥が驚いて飛び去っていった。


「行くな。行くなよ、ヘルツ。


 真実なんて知らなくても生きていけるだろ。

 お前はお前なんだから気を使わないで、ずっとここにいていいんだから」


 すると、しばらくの間だけヘルツは黙っていた。

 そして静かに頷く。


 そんな儚さをクロイツは抱き寄せた。じんわりとその温もりが伝わる。


「ヘルツ、お前はもう家族だ。居なくなったりしたら、妹たちも悲しむぞ」


 クロイツは幼い彼女らまで、引き合いに出した自分を卑怯だと思った。それでも手放せない。

 

クロイツには、この小さな温もりを、どうしても離すことができないーー。




 †


 眩しい暁光で、クロイツは目を覚ました。木の根で丸まって寝ていた様で、全身が痛んだ。


 立ち上がって玄関を開けると、ネージュとリヒトが争っているところである。


「ミルヒの旅に、ぜひ私も同行したいんだが良いだろう?」


「ふざけるな。魔国(くに)へ帰るぞ」


「ミルヒ、私と共に聖国へ行こう。いいな」


「俺の話を聞け!」


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