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集う決意(6)


「それはどうか分からない。


 第五番フィフスに関しては、『まだ幼い』としか聞いていないんだ」



「我モ、ユーリ以外ハ、会ッタ事ガナイ」


 ヘルツが見るからに落ち込んでいるので、クロイツは慌てて話題を変えた。


「じゃあ、今クスリラを襲っている魔体は何番だ? その、ユーリって奴か?」


「奴ハ、死ンダ」


「じゃあ、きっとボクがフィフスです。

 だって、だって檻にずっと一人だったもの。そんな大事なこと、何で、ハルトは教えてくれなかったのかな」


 それを耳にしたリヒトが目を見開く。



「先ほどから気になっていた。そのハルトというのは……、まさかインハルト・ライエンの事か?」


 クロイツはその名を聞いて古い記憶を辿った。ヘルツはおどおどとした様子を見せる。


「ハルトの名前なら、ハルト・オルギネスでしたよ」


 クロイツは首を横に振った。


「詳しいことは俺も分からないんだが、インハルト・ライエンは魔体錬成の生みの親の名だ。オルギネスという名は聖国に産まれれば誰にでもつくんだぞ」


 それを聞いたヘルツは困惑した様子で首を傾げた。


「で、でもクロイツの名前は『クロイツ・グナーデ』でしょ」


「ああ、グナーデは母さんの名前なんだ。俺は聖国の姓を捨てたから。本名はクロイツ・オルギネスだ」


 俯いたヘルツの顔色が悪い。クロイツはそんな彼女の肩にそっと手を置いた。ミルヒがボソリと呟く。


「だんだん、話が繋がってきたな」


「ハルトが魔体を造っているなら、やはりボクがフィフス……。ボクは殺戮兵器なんだ」



 そう呟いたヘルツの表情は真っ青で、今にも泣き出しそうである。

 クロイツはその震える肩へそっと手を置いた。


「殺戮兵器がなんだ。俺はちっとも気にならない。魔人だからって俺はお前を嫌いにならないだろ? ヘルツはヘルツだ」


 そうすると彼女は少し複雑そうな顔で瞳を閉じた。

 クロイツはいたたまれなくなって、わざと大げさに手を打つ。


「なぁ、こんな時間だし、もう休もう。ミルヒ達も出発前に少し眠った方がいいぞ。って言っても、俺のベッドか、後は床しか無いんだけど」


 クロイツは誤魔化しついでに、ヘルツの髪をぐしゃぐしゃっとなで回した。

 窓の外を見ると、もうすっかり宵が深い。


「では寝台は、私が有り難く頂くとしよう」


 ネージュはそれだけ言うと、さっさとクロイツの部屋へ行ってしまう。当然のようにその後をリヒトが追う。


「おいおい、そりゃないぜ」


 クロイツが苦笑すると、ミルヒが壁際の床に座る。フォーゲルがその隣にいそいそと移動した。


「毛布もないんで、すまんな」


「気にすんな。屋根があるだけで十分だ」


 ミルヒはそう言って歯を出して笑った。旅をしていることもそうだが、本当に凄い子だと思う。


 ヘルツが、クロイツの服袖を引っ張る。


「ああ、ヘルツはどうする?」


「ボクは起きてる」



「そうか、じゃあちょっくら外の様子でも見に行くかな」


 ヘルツの手を握るとそれは小さい。

 でも、とても暖かかった。


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    挿絵(By みてみん)


  ©️ヴァルキリァ/挿絵イラスト 画像 2015

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