集う決意(5)
「なんだと!? リヒト!
私も知らない秘密をこんなところで暴露するなっ!
貴様、初めて会った時に魔人ハーフと言っただろうがっ」
「聞かれなければ答える義務もない。それに嘘は付いてない」
「むっ、そんな屁理屈が通るとでも思うのか。まだ隠している事があるんだろ!? 今吐け、全部吐けいっ」
ネージュはリヒトの首元を掴んで前後に激しく揺らすが、彼は素知らぬ顔をしている。
「リヒト、六年前に森で拾ってやった恩を忘れたか!」
「もう忘れた」
ふいっと顔を逸らす彼にネージュが悔しそうに歯を鳴らしている。
その中でクロイツはおずおずと手を挙げた。
「あのさ、話を戻してもいいかな?」
そう言うと、ネージュが睨みつけてきた。
しかし、リヒトに嗜まされると渋々といった様子で彼女も着席をする。
それを確認してからクロイツは話を続ける。
「ところで、フォーゲル。
お前は俺のことをなぜ知ってるんだ」
「クロイツ、デアッテ、クロイツ、デハナイ、男」
「それ、たぶん兄さんだ。俺は若い頃に聖城を去ったから。今、残っているのは兄さんだけだからな」
クロイツはその懐かしい顔を思い出して胸が一杯になる。
「ニイサン?」
フォーゲルは不思議そうにミルヒを見た。彼女は、血の繋がった兄弟のことだと教えている。
「ナルホド。デハ、『リヒト』ハ我ノ『ニイサン』カ?」
その問いかけに対してリヒトが怖い顔をして口を噤むと、フォーゲルは首を横に傾けた。
そんな彼にクロイツは新たに浮かんだ疑問を投げかける。
「じゃあ、フォーゲルはなぜ俺の兄さんを知ってるんだ?」
「我ノ檻ヲ、ソノ男ガ、開ケタ」
フォーゲルは続ける。
「我ハ、廃棄サレル、ハズダッタ。シカシ、ソノ男ガ、鍵ヲ開ケタ。ダカラ、逃ゲタ」
「そうか」
クロイツが彼を見ると、翡翠色の瞳がキラキラと美しく輝いて見えた。
本当は初めて会った時からそうだったのかもしれない。自分が真実を見ようとしなかっただけだったのだろう。
ミルヒが神妙な表情を浮かべている。
「オレたちは、どうやら、全くの他人じゃなさそうだ。時間は惜しいが、ここでしっかり話をしておいた方が良さそうだな」
そこで、何か考え込んでいる様子のヘルツ以外は、皆頷いた。
「あのうっ」
突然、ヘルツがテーブルに身を乗り出した。
クロイツはその真剣な眼差しから、一抹の不安を感じ取る。
「あの、ボク。ボクも魔体なのでしょうか」
ヘルツが体を震わせると、ミルヒは腕を組む。
「なぁ、フォーゲル、魔体って全部で何体いるんだ?」
「第一番ノ、リヒト。
第二番ハ我ダ。第七番ガ、ユーリ。残リハ『第三番』と
『第五番』。他ノ者ハ廃棄サレタ」
クロイツはフォーゲルの言った言葉に補足をする。
「俺が兄さんに聞いて知っているのは第三番だけだ。それは女で、確か名前はリーニエだったと思う」
「じゃあ、ボクはフィフスなの?」
ヘルツが大きな瞳で見上げてきたので、思わずクロイツは視線を逸らした。




