集う決意(3)
「やっぱり聖王様が黒幕かぁ」
ミルヒがボソリと呟いた。その言葉に、クロイツは驚いて目を見開く。
「なんだって……?」
「んー、フォーゲルの話だとどうやらクスリラで起こってんのは国ぐるみの悪事らしいんだな」
クロイツはそれを聞いて冷や汗を垂らす。焦ってために椅子代わりの木箱をガタガタと鳴らした。
今度はネージュが口を開く。
「やはり聖国は怪しい事この上ない。常に病らしい王には、魔王の娘とて会ったことがないからな」
クロイツはついに机に身を乗り出した。一方のミルヒはというと、丁寧にペコリと一礼した。
「おお、ネージュさんはお姫様だったのか? これは失敬したなぁ」
ミルヒは相変わらずのんびりとした口調でそう言い終わると、表情を一変させた。
その鋭い視線がクロイツを刺す。
「さてと。クロイツさんよ、あんた何を知ってるんだ。オレにはお前さん話が必要だと思うんだわ。話してくれんかな?」
クロイツは迷った。
過去を語れば、家族を巻き込み兼ねない。
今日、会ったばかりのネージュやミルヒをどこまで信用していいか分からなかった。
そこで、ヘルツが急に手を引いてくる。
「クロイツ。ボクね、実は言ってなかったことがあって」
そこまで言って彼女はそっと目を伏せた。
「ボク、本当はお城から来たんだ」
その場にいた全員が一同にヘルツの方へ目線を向ける。クロイツは、戸惑って思わずその手を離した。
「ヘルツは連れて来られたんじゃないのか?」
「実はよく分からなくて。あのね、ある日、起きたら檻の扉が開いてた」
ヘルツの肩は小刻みに震えている。
「怖かったけど逃げたんだ。檻の前に階段があって、上ったら光か眩しかった。これが、話で聞いてた太陽なのかと思って、それから」
「……それから?」
「見たら、そこは大きな建物だったんだ。
ハルトがよく話してくれた魔王が住んでるお城みたいだったから、お城かなって。
それから、赤い服の人が沢山こっちを見て叫んでて怖くなって、逃げたいって思った時には、ルクライアで倒れていて……」
そうだったのか、とクロイツは思った。
「でも、それを話したら戻れって言われるかもって。クロイツだったらそんなこと言わないって分かってたけど怖くて」
ヘルツは目に涙を一杯ためて、クロイツを見た。
「黙、っていて、ごめんな、さい」
ヘルツはうわっと泣き出す。クロイツは胸が痛んだ。
ヘルツの頭をそっと撫でると、だんだん落ちを取り戻してきた。
そんな彼女の必死な様子を見ていると、クロイツは自分が何を悩んでいたのかと、馬鹿馬鹿しくなってきた。
「俺も、話すよ。ヘルツも勇気出して話したんだ。俺も知ってる事を全部言うよ」
そうして、クロイツは真実を語り出した。




